第15話 二人の男

ウヨンは先にアイスコーヒーを頼んでジュンス社長を待っていた。 自分から赴くべきだと。

物語的には誰もが予想するこの場面。

そう、社長は他の相手に比べて圧倒的に有利な条件を備えていたにも拘らず、

ウヨンの元カレになってしまった。 

「好きになる理由はたくさんあった。それでも私は恋愛が出来ないんです」

「それは僕だからですか?」 「…」 「気遣いが辛いですね」

「我慢は辛くないですか?」 「他の男と間違えたら怒るべきです。憎むべきです。私を責めないと」

「君が離れてしまいそうで…」「彼への未練が残っているから待っていたんだ。我慢すれば僕を見てくれると信じたんだ。分かってくれませんか?」「起きるかもしれない事態に備える必要があった」

「どうして備えるの?」「何で一人で抱え込むの?努力しても不安を拭えないから全部抱え込んで、自分を見失う恋愛。そんなの恋愛じゃありません。だから、別れましょう。ごめんなさい」

 

”努力が無駄に終わった時の空しさは人を絶望させる。それは…努力の逆効果だ”

 

ジュンスはスに会おうと車を走らせる。 

そう、元々の原因はスのウヨンへのアプローチなのだから。それが彼の不安の原因だったのだから。

ウヨンの家の近くのコンビニの外でスと出会い、二人は殴り合いの喧嘩を始めてしまう。

「資格があるのに我慢するのか」と社長を煽ったイ・スが青臭くて憎たらしいね~

大人な社長もこれには切れてパンチをお見舞い。 売られた喧嘩は買わなくっちゃね~

「ウヨンに振られたのか」 スも負けちゃいない。

「そうはいかない」と出された腕を掴みやり返す。

「彼女の心を掴めても君じゃ幸せに出来ない!」 「何であんたが決める」 

「10年も泣かせてきた奴だから。人の気持ちが分からないやつだから」

悔しそうにうつむくイ・ス。 それでも「やっと気付いたんだ。俺はウヨンが好きだ!」 

二人ともウヨンに振り向いてもらえない鬱憤を吐き出すように殴り合いを続けるのだ。

【ここは見ている方も鬱々が分かるだけに、やれ!やれ!って思っちゃう】

 

バスから降りた家路に向かうウヨン。 聴衆に囲まれて喧嘩をしているのはあの二人!

「一体何をしてるの!」 驚いた二人は相手の胸倉を掴んだ手を放す。「涙も枯れたわ」

 

社長(だけ?)の傷の手当てをしながら

「子供でもあるまいし、唇まで切れている。ボクシングをする人が人を殴るなんて」

「経験者が素人を殴ったのか? 暴行罪だぞ。俺の父親は弁護士だぞ」って子供っぽい!

「僕が悪かった」とウヨンだけを見つめる社長。

蚊帳の外に置かれたイ・ス、「俺もケガ人だぞ」 とウヨンに手当てをねだる(やっぱり可愛い~)

「口は元気なのね」と塗り薬を雑にスの口元に塗り付ける。痛がるス。 「差別するな!」

「ジュンスさんとあなたは違うでしょ。聞いてるの?」 

とスには手加減せずテープを顔に貼り付ける。 「痛いよ~」 

【この様子、冷静に社長は見てる。この二人の関係性。遠慮のない言い合い】

ウヨンは「辛い恋愛はやめたい」「傷つけられるのも傷つけるのもウンザリよ」「私には無理」

「二人とは付き合えない。いえ、付き合わない」

 

ジュンスが

「傷つくのは僕の勝手だって言ったでしょう。未練がましく口実を作って

あなたに逢いに行きます」とウヨンの左手を取って言えば、

スも「待ってるよ、お前が俺の元に来るなら、ずーっと待ち続ける」と右手を取って言う。 

両方の手を振り払って「勝手にして、私には関係ない。私は私自身が一番大事なの」

と言い残し、ウヨンは一人帰宅する。

 

この回はクスクス笑える楽しい展開だ。ウヨンはまた元カレを一人増やしてしまった。

それが本当はイ・スのせいだとしても(そのことにウヨンは気付いているのだろうか?)、

社長に申し訳なくてスの元に戻ることも出来ない。

社長も諦めきれない様子なのが物語を複雑にする。