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「『働き方』関連法案が成立する見通しだ。働く人の<健康>を守り待遇<格差>を是正する。そこに疑問と不安が残ったままでは、とても額に汗して働けない。働き方の実情を知るため今月、スウェーデンを訪れた際、こんな体験をした。ある研究機関の研究者に話を聞いていて1時間ほどたった頃、彼は『これから学童保育に子どもを迎えに行くのでこれくらいで』と場を後にした。時刻は午後4時半頃。<子育て>を退勤の理由として堂々と言える」と「東京」社説(6月29日)…。ナルホド、これが<裁量>という働き方――。

「何より勤務時間を自身で調整できるような『裁量』のある働き方をしていた。この国の労働者は誰も残業はしない。仕事と生活の両立ができているようだ――。<裁量のない働き方>…。国情はもちろん違うとしても、日本の『働き方』関連法案は働く側にとってどうか。政府は、高度プロフェッショナル制度(高プロ、残業代ゼロ制度)を働く本人が労働時間や仕事の進め方を決められる働き方だと説明してきた。だが法文上、明確とはいえない。政府の説明をうのみにできないのは日本では裁量のない働き方が大半だからだ」(東京)…。

「欧米では猛烈に働く専門職はいる。能力が評価されれば高年収を得られるし、労働条件が合わなければ転職する。働く側の立場は弱くはない。高プロは年収1075万円以上の人が対象だ。だが収入が高いからといって自分で業務量を調整できるか、甚だ疑問だ。日本の会社の正社員はどんな業務でもこなし、どこへでも転勤する働き方が主流だ。業務の担当範囲が不明確なため次々と仕事を振られ過酷な<長時間>労働に追い込まれかねない」(東京)…。

<対象者拡大する懸念>…。高プロとは労働時間規制から丸ごと外す働き方だ。行政の監視の目が緩みやすい。更に労働時間の把握がされないことで労災認定が難しくなるとの懸念も指摘されている。厚生労働省が約7600事業所を対象に行った監督では、約4割で違法な時間外労働があった。時間規制という<重し>がある今の働き方でも違法に長く働かせる例は潜んでいるだろう。この状況で高プロ導入は過労を増やし過労死を増大させかねない。

野党の質問もここに集中した。だが加藤勝信厚労相はじめ政府側の答弁は、知りたい点を明らかにしたとは言い難い。この制度に対する最も根本的な疑問と不安は消えていない。対象業務は金融ディーラーやアナリストなどに限定すると政府は言うが、これも疑問だ。高プロは経済界が長らく導入を求めてきたもの。経団連は同種の制度導入を求めた2005年の提言で対象を年収<4百万円>以上とした。これでは多くの人が対象になってしまう。経済界の制度導入への思惑は<人件費>抑制だろう」(東京)…。火山も同感!ホンネ、ミエミエ!

<経営者の皆さんに言いたい>…。労働コストの抑制が生産性の向上策と考えていないでしょうか。本来なら人材育成に取り組み収益の上がる業務を追求、業務量を減らして効率化を進めるべきではないか。無理でしょうか。もちろん政府・与党の姿勢は批判を免れない。経済界の意向を受けて高プロ創設が盛り込まれた法案が15年に提示された際、当時の塩崎恭久厚労相が『(制度を)小さく産んで大きく育てる』と発言した。対象業務の拡大を想定したとして批判を浴びた」(東京)…。「小さく産んで大きく育てる」とは言い得て妙――。

「過去には制度の対象を広げてきた例がある。労働者派遣法は、制度創設後拡大を続けた。製造業にも拡大され08年のリーマン・ショックでは『派遣切り』で失業者が出た。立場の弱い労働者が追い詰められてしまった。制度ができれば、対象を広げたいというのが政府の考えではないのか。15年当時、高プロは批判されて法案は国会を通らなかった。安倍政権は今国会で『働き方改革』を前面に出し、『長時間労働の是正』と非正規で働く人の『同一労働同一賃金の実現』を目玉に掲げた。

<不誠実な政権の対応>…。批判されにくい政策を掲げる陰で、<過労死>を生むような高プロと裁量労働制の対象拡大を滑り込ませる手法は<姑息>である。首相は、高プロを批判する過労死の遺族との面会を拒み続けている。一方、国会では数の力で法案成立を強行する。政策の責任者として不誠実ではないか。とても働く人の理解を得られる法案とは言えまい。論点が多い8本の法案を一括提案、成立へごり押しした政府の責任は重い」(東京)――。

「同一労働同一賃金」の原則…。1957年(昭和32年)4月、慶大経済2年となった火山20歳。日吉キャンパスで「賃金論」で頭角を現した若手・俊英<K>助教授のサブゼミの門を叩いた。「日本資本主義発達史」講座の受講。江戸期の農村に貨幣が次第に浸透…。商品経済が農民層の分解を促進する。貧農と富農の発生…。貧困と格差、資本の本源的蓄積が始まり、明治維新への胎動が起こる。黒船の来航も討幕、尊王攘夷のエネルギーとなる。明治維新は「ブルジョア革命」か「絶体主義王政」の成立か。「労農派」「講座派」の葛藤――。

無知な火山、サブゼミで1年先輩(病弱で留年)の美人女子学生と激しく論争を繰り返した。彼女は共産党系(講座派)の論客だった。火山、知らぬ間に「労農派」の文献ばかりを読んでいた。加えて、昭和初期からの<論争史>に無知だった。見かねたのだろう。<K>助教授がポツリ。「要するに、火山君は<労農派>なんだ」――。そう、言われても当時の火山、ピンとこなかった。今なら分かる。「労農派」は明治維新を「ブルジョア革命」と観る。単純に言えば、戦後日本は一気にプロレタリア(社会主義)路線を走れる、という誤解――。

<本>ばかり読む<青白き>秀才!「<二段階>革命論」(講座派)に無知だった。革命への<戦略>の違いを意識できない。でも火山、3年ゼミ卒論に「資本主義における窮乏化法則とプロレタリア革命」を選んでいた。でも安倍一強の「同一労働同一賃金」には驚き――。
(平成30年7月4日)