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「<恋心>――クラシックをライブで楽しもう」。上野の東京文化会館のモーニング・コンサートだ。歌い文句がいい。ピアノを見てカブリツキの<A列22番>を選んだ。70分も早く並んだ。今日の演奏者やいかに…。長身ですらりとした女性が二人現れた。メゾ・ソプラノは白のレース。ピアノは漆黒のドレス。<白黒>コンビだ。

竹久夢二が<作詞>したという「宵待草」。お馴染みの前奏で始まったが、第一声を聴いて震えが来た。凄い。びっくりしたのが宵待草は夢二の造語で<月見草>のことだという。歌い終わって、メゾ・ソプラノがマイクを握った。「一年半前、文化会館主催の第一回<東京音楽コンクール>で入賞したのがご縁で今日ステージを踏ませていただきました」。謙虚に言っているが、声楽部門<優勝>。2月に新国立劇場「ルル」出演。4月バッハコレギアム出演。6月に都響と<第九>を歌う。

日本の歌曲で始めアイルランド民謡「庭の千草」まで。「洋の東西はあっても同じ島国。<恋心>は通じ合うものがある」というあたり、憎い。野上彰作詞の「落葉松」が圧巻。第二部はお得意のオペラ。「フィガロの結婚」から「恋とはどんなものかしら」。「カルメン」から2曲。有名な「ハバネラ」は客席を回って熱唱した。なかなかやる。

最後がサンサーンスの「サムソンとデリラ」。火山の大好きな「君の御声にわが心ひらく」。パレスティナのガザが舞台。ヘブライの民は異教徒のペリシテ人に征服されている。だが古今無双の力持ちサムソンが現れ、ガザを救う。だが絶世の美女・デリラがヘブライ人のサムソンを誘惑する。ペリシテ人の陰謀だ。

メゾ・ソプラノが言った。「女性の皆さんはお分かりでしょう。女性は下心があると一段と魅力が増す」――酷い。だが2度までもデリラの誘惑を退けたサムソン。ついに陥落する。デリラが歌うのが<妖艶>な<君の御声…>だ。半音階に下がってくる歌いだし。最後の<Je t’aime.Samson>というところが凄い。<I love you,Samson><Ich liebe dich,Samson>だ。が、こればかりはフランス語が一番。

東京文化会館も館長が前ソニー会長・大賀典雄になって宣伝が上手になった。<クラシックをライブで楽しもう><山下牧子><日本の恋、世界の恋を歌う><今から聴けます><500円>――。大好きな小ホール。名曲名演に客席から嘆声とブラボーが聞こえました。