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「福島第一原発で大事故を起こした東京電力が、近くの福島第二原発も廃炉にする方向で検討する、と表明した。7年前の事故以来、福島県をはじめ地元自治体や議会から廃炉を再三求められていた。遅きに失したとはいえ当然の判断。廃炉について明言を避け、曖昧な状況を長引かせたことは被災地復興の足かせになった。東電は計りしれない深手を負わせた責任を改めて胸に刻み、後始末をやりとげなければならない」と「朝日」社説(6月15日)。

「まずは廃炉を正式に決め時期や進め方など、具体的な計画づくりを急ぐ必要がある。大切なのは安全の確保。東電は今後、2カ所で廃炉を並行して進めることになる。東日本大震災で福島第二は大事故を免れたが、通常の廃炉でも大量の放射性廃棄物の管理などに細心の注意が求められる。一足早く着手した福島第一では、事故で核燃料が溶け落ちた炉内の状況を未だつかみきれず、作業は難航を極めている。数十年に及ぶ廃炉を安全に進められるのか、不安を抱く住民も少なくない。体制の整備に万全を期さなければならない」(朝日)――。

「原発周辺では事故後、住民が長期の避難を強いられた。生活の基盤が根こそぎ壊され、今も帰還が進まない地域も目立つ。廃炉作業に伴う雇用や、県が進める再生可能エネルギー関連のプロジェクトへの協力などを通して、東電は地域の再生にも、積極的に貢献するべきだ。
 福島第二を廃炉にすれば、震災前に福島に10基あった原発は全てなくなり、東電は半数以上の原発を失うことになる。これを機に、原発頼みの経営から転換を図るべきではないか。

「実質国有化された東電は巨額の事故処理費用を賄うため利益を大幅に増やすことを求められている。柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働や東通原発(青森県)の完成をめざすが、どちらも実現の見通しは立っていない。福島第一の事故以来、国内では原発に批判的な世論が強く、安全対策コストも大幅に上がった。この先も多くの経営資源を原発に割くことが東電にとって得策だろうか。海外では多くのエネルギー企業がコスト低下や技術革新が進む再エネなどを新たな成長分野と見定め、先を競って投資や研究開発を進めている。

「福島第2廃炉に確かな道筋を」と「日経」社説(6月15日)――。「福島第2原子力発電所について、東京電力ホールディングスの小早川智明社長が廃炉にする方向で検討すると福島県知事に伝えた。廃炉の検討は当然だろう。まず地元の住民や自治体が福島第1原発事故を起こした東電に抱いている不信や不安はなおも強い。技術的にみても、第2原発で津波や地震への対策を施し、国の規制基準に合格するには巨額のコストが見込まれる」…。

「現実的に再稼働は極めて厳しい状況といえる。福島第2は出力110万キロワットの大型炉4基からなる。廃炉費用は計2700億円以上と見積もられ、東電が積み立ててきた準備金だけでは足りない。だが国が廃炉の会計制度を見直し、東電は損失を一度に計上する必要がなくなった。これらの制度見直しが東電の判断を後押ししたとみられる」(日経)――。

「福島第1の事故後、関西電力美浜1、2号機(福井県)、四国電力の伊方1、2号機(愛媛県)などの廃炉が決まり、廃炉になる原発は18基まで増えた。これに福島第2の4基が加わると大量廃炉時代を迎える。電力会社が乗り越えるべき大きな課題が廃炉に携わる技術者の確保や必要な技術・資機材の調達。廃炉になる原発をもつ電力各社が解体の順番や工程表を綿密につくり、原子炉メーカーとも協力、人材や技術を着実に手当てする必要がある」(日経)…。<廃炉>のメドが立たない限り、<再稼働>のメドも立たない。理の当然――。

「福島第二廃炉。復興を進める契機としたい」と「読売」社説(6月16日)――。「福島の復興を少しでも前進させるための判断。東京電力ホールディングスの小早川智明社長が福島県の内堀雅雄知事に対し福島第二原発4基を全て廃炉にする方針を表明。福島第一原発含め10基あった福島県内の原発は全て廃炉になる。東電は安全かつ着実に作業を進めねばならない。福島第二原発は大震災以降、稼働していないが、大量の使用済み核燃料が残る。

小早川社長は「曖昧な状況を続ければ復興の足かせになる」と廃炉を決めた理由を説明した。背景には廃炉作業が続く福島第一原発で放射性物質トリチウムを含む処理水が増え続けている事情もある。福島県民が求める第二原発の廃炉に応じることで、処理水の海洋放出を実現する突破口にしたい思惑があるのではないか。廃炉には通常でも20~40年かかる。しかも事故で大きく破壊された福島第一原発と並行しての作業。熟練した技術者をいかに確保するか。大量に出る放射性廃棄物をどう処理するか。様々な難題が待ち受けている。

「東電は具体的な作業手順を定めた工程表の作成を急ぐべきだ。政府や他の電力会社との連携を密にすることも大切である。両原発の廃炉費用の捻出にメドが立っていないのも問題。福島第一事故を巡る賠償や廃炉にかかる22兆円のうち16兆円を東電が負担する。これに福島第二の廃炉費用が上乗せされる。今後30年間、毎年5000億円を超える資金を確保しなければならない計算。東電の利益は2000億円~3000億円程度に留まっている。<収益力>強化が喫緊の課題である」(読売)――。優遇が過ぎる人件費も高コストの要因。

「東電は昨年の経営再建計画に原子力や送配電事業で他社と協業する方針を盛り込んだ。だが目立った成果は出ていない。巨額の債務を抱えた東電との協業に二の足を踏む他電力は多い。政府の支援が欠かせまい。収益改善のカギとなるのが新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働。1基動けば最大900億円の利益拡大効果があるという。柏崎刈羽の6、7号機は原子力規制委員会の安全審査をパスしているが、新潟県の花角英世知事は早期再稼働に慎重。政府と東電は再稼働に対する地元の理解を得るよう説得に全力を挙げるべきだ」(読売)――。
(平成30年6月16日)