ヨーカ堂上場へ | 米の心

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セブン&アイ・ホールディングスが子会社のイトーヨーカ堂を中核とするスーパー事業について株式上場を目指す方針であるとのことです。ヨーカ堂が上場された場合セブン&アイ・ホールディングスの名前は変わったりするんでしょうかね?元々はイトーヨーカ堂がセブンの権利を購入したところから今ではセブンの方が強い立場になったと言われていますが、それだけでなくヨーカ堂部門を切り離すという動きになるのはなんとも皮肉なところがあるように感じますね。

上場に至ったのは、スーパー事業の立て直しにある程度目処が立ったからのようです。

以前のヨーカ堂といえば食品から日用品、衣料品なども揃える総合スーパーでしたが、衣料品などは縮小し、食品スーパーに方針を切り替えました。

ヨーカ堂に限らず少し昔のスーパーといえば、総合スーパーも結構多かったですね。ダイエーなんかも昔は総合スーパーって感じでしたし、地方で店舗を伸ばしているスーパーは総合スーパーで1階は食料品売り場、2階に衣料品売り場があるみたいなところは多かったりした気がします。2階にはちょっと子供が遊べるメダルのゲームコーナーがあったり、ちょっとしたフードコートなんかがあるようなところも以前は見かけた気がしますね。100円ショップが入っていたりとかですね。

デパートみたいな感じではないですけど、食料品売り場の他はドラッグストアだったり、クリーニング屋さんが入っていたりで、総合スーパーにいけば一通りなんとかなる、そんな感じの結構周辺の住民にはありがたいお店、それが総合スーパーの役割であったように思います。

しかし、専門店やディスカウントストア、インターネット販売などが増えてきたことによって、敷地面積が広い総合スーパーは苦しい状況になるケースが増えてきました。

食品に特化した食品スーパーなどに対しても、敷地面積がより狭くできる上に、商品を限定できるがゆえに食品スーパーの方が効率化が進み、結果総合スーパーより安い設定で販売できるケースなどが多いですね。長年の不景気の中で、家計への影響もあり、そのため安く購入するのであれば、食品スーパーやディスカウントストアを選択するという消費者も多かったのではないでしょうか?

実際個人的には総合スーパーとして提供しているお店は、ヨーカ堂も含めて割高な印象があるところが多いですね。

衣料品や日用品はそれほどに回転率が高いものではないので、そもそも売上は伸びにくいものの一つかと思います。

また、衣料品も専門のお店が増えましたし、安くて機能性が高いユニクロのようなお店もできていたことによって、スーパーの衣料品売り場でわざわざ購入するという人は少なくなったように思います。特にスーパーにあるだけにどこのブランドかはわからないけど少しダサくて安いみたいなものへのニーズというのは、それこそ他に衣料品店が家の周りになかったり、高齢の方であれば需要はあったかと思いますが、専門の衣料品店なども増え、様々な交通手段も発達していく中で、スーパーの衣料品売り場で購入するメリットがあまりないわけです。

少しでもおしゃれに関心がある人であれば、専門店などで購入する方を選択しますし、今ではネットでも購入できるわけですから、確かに総合スーパーの衣料品などは苦しい立場にあるように思います。

改めて、時代とともに専門店の発達や交通手段の発達というところを感じますね。

そうなってくると、総合スーパーは立場的に苦しくなり、店舗の縮小や、ビジネス転換が迫られるという流れになるのも仕方がないかもしれません。

個人的には地方だと、やはりある程度総合スーパーみたいな場所があることで助かるところがあると思いますが、ビジネスはボランティアではないのでそこはどうしようもないですね。

そんな中、セブンについてはコンビニとして店舗を増やしていったわけですが、他のコンビニと差別化をする上でも、プライベートブランドとしてセブンプレミアムなどを提供していき、品質の高い食料品を提供することで消費者を獲得していくことに成功しました。

そして、セブンのプライベートブランドはセントラルキッチン化することにより、セブンだけではなく、ヨーカ堂に対しても提供することができるようになり、つまり、スーパーにもコンビニにも質の高いプライベート食品を提供できることの効率化ができたということは一つ、スーパー事業の立て直しの上では大きかったのではないでしょうか?スーパーとコンビニ互いの強みを生かしながらの商品開発ができるというのは、一つ特徴ですね。(まぁローソンは三菱商事の子会社ですし、ファミマも伊藤忠などの子会社なのでそのあたりは、商社を親会社に持つ強みというのはそれぞれにありそうですが。)

その上で、食品スーパーとして事業転換し、赤字スーパーを閉鎖していくことによって、スーパー部門についても見通しが立ってきたというところでしょうか?

さて、その上での上場とのことですが、個人的にはスーパー部門を切り離すということの意味合いはわからなくはないのですが、果たして上場が成功するかはどうかなという気がします。

人口減書社会の上に、ディスカウントショップやネットの発達などを考えるとそもそも食品スーパーにおいてすら先行きというのは芳しいものではないと個人的には考えています。

円安やウクライナ侵攻、インフレが進むと安さなどをある程度ウリにしているスーパーからするとなかなか苦しいところがあります。万引きなどが出てしまうと利益が飛んでしまいますし、最近では無人レジなどの導入によりコストも増大しています。

東京などの人口が多いところであればともかく、そうではないところでスーパー事業は苦しいところはより今後は出てくるかと思います。

ヨーカ堂は赤字店舗を閉鎖して都心部に集中するという意味では、効率化が進み、確かに、人口縮小などの影響は限定的になるかと思いますが、それでもなお、スーパー事業というところでの先行きが改善される抜本的な何かがあるとは思えないというのが現状です。というより、そういう抜本的な何かがあるのであればわざわざ子会社化する必要もないかなとも思いますね。うるさい株主への対応をしないでいいわけですし。

ということが、株を買う側からしたら思うわけです。

今の時代スーパーが上場して、10倍になるから今のうちに仕入れておきたいと思う人が一体どれほどにいるでしょうか?

スーパーの合併などが繰り返されている現状からすると、確かにヨーカ堂が上場すれば上場しているスーパーの中でも大きいものとなるのかもしれませんが、それでもなお将来的に明るい素材と言えるものは限定的であるように感じます。

株主からしてつまり魅力的に映らないわけです。株主優待や配当を頑張れば変わるかもしれませんが、配当はスーパーで頑張るのは難しいでしょうから、イオンの株主優待みたいにそちらで頑張るしかないように思います。しかし、株主優待目当てのユーザーはホルダー以上の役割は果たさないですし、そういうことを踏まえた上で上場するメリットがどこにあるのかという気がちょっと個人的には不透明なように感じます。また都心に集中したヨーカ堂となると株主優待を活用するのが地方にとっては苦しくなります。セブンに対しても使えるなどの付加価値が必要になるでしょうか?イオンの場合はイオン系列の多くのスーパーで優待を使えるというのはイオン系列のお店が多いという点からしても非常に大きなメリットになるわけですが、株主優待のメリットをそこまでにアピールできるかといえば疑問です。セブン自身が株主優待をしていないわけですし。

上場そのものが成功するかどうかすら疑わしく思うわけです。まぁ上場には数年かかる見込みとありますから、その間に抜本的な変化というのがあればどうかはわかりませんが、投資しようと思う側が購入したいとなる何か強みというのが現状としては見えてこないというように思います。

それを前提でなお、上場の動きになるというのはやはりスーパー部門を切り離したいという意図の方が大きいのかもしれません。この部門の見通しを考えると早い段階で独立できる状態にして切り離した方がいいというわけです。

もちろん協力関係には今後も子会社としてあるというのが当初の前提かもしれませんが、果たして上場の意図は、セブンとして、あるいはヨーカ堂としてどういう未来を見ているのか注目ですね。