走り幅跳びルール変更を検討 | 米の心

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陸上の走り幅跳びや三段跳びについてルール変更が検討されているとのことです。

検討されているのは、計測方法について。

現在は幅20センチの踏み切り板と、その先に粘土板があり、踏み切り板を超え粘土板に跡がついた場合はファウルとなります。検討されているルール変更によると、踏み切り板の前にテイクオフゾーンを設置、そのゾーン内の踏み切り足の先端部分から計測をするというもの。早ければ年内にも試行をされるとのことです。

もっと早くに柔軟な変更をすればよかったのにと思うところではありますが、この変更というのは非常に魅力的なものだと思います。

記録を目指す上では、どれだけ踏み切りのギリギリで飛ぶかということはこれまで重要でした。そこで10cm違えば、飛距離が10cm変わってしまうわけですから、その10cmの間で順位も変わってくる可能性があるわけですから当然ですね。よって、踏み切りについて非常に神経を使って飛ぶ必要があったのですが、今回の変更によって踏み切り位置について神経を尖らせる必要性がなくなります。

踏み切り位置で踏みきろうとすれば、当然それに合わせて歩幅などを調整する必要も今まではありました。それによって、せっかくの加速が落ちてしまったりということもあったかと思うので、選手にとってはこれまでのルールからすると非常にただ走って跳ぶということに集中しやすい状況になるのではないでしょうか?

またこの変更は陸上競技ファンにとっても魅力的な変更になるかと思います。

なぜならば、ファールが減少することによって走り幅跳びがより円滑に進捗することになり、ファールによるわずらしい時間というのがなくなるからです。

さらに審判からしても、踏切位置についてその見極めというのが重要であったわけですが、そこに人を十分にかける必要もないというのは大きいかもしれません。

というよりは、今の時代であれば、センサーやカメラによる測定で、人が図らずとも測ることは簡単に、正確にできそうですので、そのあたりいっそ機械化を進めてもいいのではないかという気もしますね。

今回の変更は計測方法の変更ということですが、実質的に言えば、この変更はこれまでの走り幅跳びとは別競技になるといってもいいほどに大きな変更になるように思います。そして、より純粋に、どれだけ人は跳べるのかというところへのアプローチになるといった点では素晴らしいですね。

走り幅跳びの男子の世界記録はマイク・パウエルが1991年に出した8m95cmだそうです。ちなみに三段跳びは、ジョナサン・エドワーズが95年に出した18m29cmだそう。

陸上において、道具や靴などの進化があり、そして科学的なアプローチやトレーニングもされていく中、記録というのはどんどんと塗り替えられてきます。

ウサイン・ボルトの100mの記録がすぐに塗り替えられるかといえばあれは簡単には行かないでしょうが、実際多くの競技で記録というのは更新されています。

あまり更新されていない競技としては、円盤投げやハンマー投げといったものがありますが、これらの記録が出たのが86年頃であり、このあたりの競技というのは今でもドーピング検査で剥奪などが多い競技であり、そのドーピング検査という意味では今ほどに精度が高くない時代などの影響ももしかすればあるのではないかという気もしますね。

鳥人ブブカとして日本でも有名になった棒高跳びのブブカが持っていた6m14cmという記録も昨年ついにスウェーデンのアルマンド・デュプランティスにより更新され、6m22cmとなりました。

さてそうして考えた時、多くの記録において00代以降に更新されている中で、走り幅跳びや三段跳びが90年代の記録というのは、この踏み切り線からというルールの影響もあったのではないでしょうか?

走高跳びや棒高跳びの場合も歩幅を調整するなどの必要はありますが、基本的に踏み切り位置がどこであるかということに走り幅跳びなどほどまでは求められないものと言えます。

走り幅跳びの記録を見てみると、その10傑の中で実に5位までが90年代以前の記録となっています。

5位タイでようやく09年のフィリップスの記録が出てくるくらいです。

それほどまでに走り幅跳びというジャンルにおいて記録の更新というのがこれまでは難しい競技だったということが言えます。

それを考えると、このルール変更はより思い切りのいい幅跳びへつながるかと思われるので、これまで更新されなかった記録というのが塗り変わっていく可能性というのも高まるのではないでしょうか?

もちろん、イーブン条件ではないため、これまでの記録と同一視することはできないかもしれませんが、このルール変更によりより純粋な走り幅跳びとしての人類の限界について迫っていけるのではないかと期待したいですね。