パンサラッサ サウジC優勝 | 米の心

米の心

野球にサッカー、NBA、F1とスポーツ全般から、西洋や江戸、日本の歴史、経済、文化、社会や科学、時勢ネタその他種々雑多をただただとりとめもなくぼやくブログです。

橋田調教師が定年引退となり、そのことで稀代の逃げ場サイレンススズカについて少し記述したばかりですが、現役を代表する逃げ場であるパンサラッサが偉業を達成しました。国内のG1ではなかなか優勝することができなかったパンサラッサですが、サウジCで優勝し、賞金1000万ドルをゲットするとなりました。

サウジCはダートであり、パンサラッサは国内でダートを使われたこともありましたが、国内のダートで芳しい実績があったわけではなく、メインは芝で走ってきた馬です。

その中での海外ダートの挑戦となったわけですが、このあたりはさすが矢作厩舎といった印象ですね。

ダートという表現でまとめられがちですが、同じダートでも日本のものと海外のものは全く異なるケースというのはしばしば見られます。

芝ですら国内の超高速馬場の芝と海外の深い芝は全く違うものであり、いまだに凱旋門賞でなかなかいい結果が出ないというのが現状ですが、ダートは例えばアメリカと日本では全く異なります。

BCのダートを初めて勝ったということで一昨年マルシェロレーヌが話題になりましたが、マルシェロレーヌもまた国内のレースで実績十分というわけではありませんでした。彼女の場合は、混合G1ではちょっと厳しいかなくらいの立ち位置だったわけですが、芝でも勝利経験のある彼女にとっては、アメリカのダート適性というのが高かったのかと思います。

そのマルシェロレーヌをBCディスタフに送り出したのもまた、矢作厩舎でした。

矢作芳人は現在最も海外G1を勝利している調教師と言えます。

国内での実績も素晴らしいですが、海外でなぜここまで結果が出せるのかというところについては、正直なところ、適性の見極めがうまく、そして海外での経験が豊富であることが大きいのかなと思います。

海外に積極的に馬を出すということは、それだけ調教師として海外のレースの経験が積まれていきます。どう管理をすればいいのか、送り出せばいいのか、アメリカの、ドバイの、サウジの馬場はどのようなところなのか、そして、そういうものが積まれていくと、ではどういう馬であればそのレースに勝てるチャンスが生まれるかというところがわかってくるわけです。

パンサラッサをサウジCに出すということはおそらく他の調教師なら選択肢にはなかなかならなかったと思います。使うとすれば京都記念あたりを使ってそこから大阪杯とでもいくのではないでしょうか?

昨年国内G1は取れなかったものの天皇賞・秋ではあと一歩というものすごい逃げを見せてくれましたし、国内の古馬の中では実力トップクラスであり、となると芝の大きなレース、大阪杯あたりを狙うという発想にどうしてもなるからです。

そこをダートでも使うという選択肢ができたのは、サウジCがただ国内のダートに強い馬が勝つレースではないということを見極めたからかなと思います。

そして、それにパンサラッサも応えたというわけです。

結果からするとカフェファラオも上位にいるために日本のダート馬が不得意とする馬場ではないかと思いますが、それでもジオグリフが4着に入るなど、ダート芝関係なく、オールウェザーではないですが、日本でのダート芝適正というのはあまり意味がないのかなというところが結果として出ている印象を受けますね。

パンサラッサは最近では珍しい、逃げて勝つ、強いと思わせてくれる、面白いレースをする馬です。大逃げをする馬はどういうレース展開になっても見せ場があるのがいいですね。パンサラッサは二の脚が使える馬ですから、その分このレースでも最後粘り強さというのを見せてくれました。

逃げという選択肢でレースをする分スタートが鍵になりますが、そのスタートがうまくいったというのが大きかったかと思いますね。

サウジCを優勝した矢作厩舎ですが、ここの強みはそれだけ海外の経験があるということもさることながら、その選択肢が他の厩舎よりはるかに広くあるということにあるでしょう。

例えば、過去の管理馬でいけばリスグラシューは、19年宝塚記念勝利後にオーストラリアのコックスプレートに出場しています。

コックスプレートは10月26日にこの年レースがあったのですが、距離などを考えると別に天皇賞・秋でいいのではないか?となるわけです。

しかし、管理馬に対してどのタイミングでどのレースを使えば、よりチャンスがあるのかそれを考えた場合、海外という選択肢が自由にあるのと国内だけしか選択肢がないというのでは大きく異なります。

ちなみにこの年19年の天皇賞・秋の勝利馬は名牝アーモンドアイ。東京競馬場で圧倒的な相性の良さ実績を持つ、当時の日本のトップの馬が完勝した年となります。

もし、この年天皇賞・秋使っていたらどうなったかはわかりませんが、コックスプレートを選択したというのはどちらの馬にとっても結果が伴うものとなりました。

矢作厩舎は傾向として、早い段階から海外というよりは、古馬になったり充実してきたタイミングでチャンスがあるといったときに海外に出す印象がありますね。

その意味では昨年もパンサラッサをドバイターフに出したりもしていますが、今年はパンサラッサの海外での活躍の機会ももう少しあるかもしれませんね。

パンサラッサ優勝おめでとうございます!今後も豪快な逃げというのに期待したいですね!