エネイブル連覇でキングジョージ史上初の3勝目 | 米の心

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25日エネイブルがキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(KGVI&QES)で連覇を飾り、史上初の同レース3勝目を挙げました。

凱旋門賞の連覇や凱旋門からブリーダーズカップ・ターフの制覇など様々な偉業をなしてきたエネイブルがまたやってくれましたね。これでG1は11勝目、デビューから17レース連続複勝圏内、G1に関しては13レース連続連対という抜群の安定感です。

昨年の凱旋門賞では3連覇ならず、そして、今年の初戦、エクリプスSでも2着と全盛期の活躍からは徐々にといった印象がある中で貫禄を見せつけました。

追い出してからの手応えは素晴らしく、騎手のデットーリが後方を確認する余裕があるくらいの内容でした。

史上初の3連覇となったわけですが、そもそもKGVI&QESについてはその特殊性がゆえに3連覇は現実として非常に難しいレースであると言えます。

なんと言っても、凱旋門賞もそうですが、3歳の斤量が圧倒的な有利なこと、そして、以前からも記述しているようにここを連覇できるレベルの馬は牡馬なら種牡馬入りさせ、3回出馬するというのはなかなか考えにくいケースだからです。

日本で言えば、欧州三冠として、英国ダービー、KGVI&QES、凱旋門賞がクローズアップされることも多いですが、一方でKGVI&QESは斤量が有利とは言え、時期が早いため、欧州三冠レースをそのまま使うケースはそれほど多くはないです。

エネイブルの場合は牝馬ですから、英国ダービーではなくオークスの方に向かいましたし、欧州三冠馬は過去にもラムタラとミルリーフの二頭のみ、日本の場合はとりあえず三冠レース全てに出場ということはありえますが、欧州三冠全てに出ている馬の数そのものが少なかったりします。

有利な3歳時に出場せずに3勝しようと思えばかなり難しいですから、よけい3勝というのはなかなかできないわけですね。

今回見事に3勝目をエネイブルはあげたわけですが、内容も強かったとは言え、その意味では恵まれたところもあったと言えます。

一つは、3歳馬が出場していないこと。これは大いにコロナの影響があると思います。コロナの影響で英国ダービーが延期されました。それ以外のレースも延期などがあった中で、3歳馬がどれほどの実力があり、また実績をつめるかというところでKGVI&QESを標準に合わせるのが非常に難しかったと言えます。

また、輸送リスクなども考えれば、大レースとは言え無理に他の地域からというのも難しいですし、(この辺って英国EU離脱の影響って今後どうなるんですかね?)実際それもあってか今回はわずかに3頭(4頭)のみの出走でした。

その4頭を見てみると、(出馬しませんでしたが)昨年の英国ダービーの勝利馬とはいえアンソニーヴァンダイクは成績、臨戦過程共に見劣ります。ジャパンは昨年のこのレースの覇者ですが、昨年の凱旋門ではエネイブルに後塵しています。大逃げしたソヴリンにしてもアイルランドダービーは抑えているもののこれまで使われてきたレースからすれば伏兵といった立ち位置に過ぎないと言えます。

実際倍率でみても、1.4倍という倍率ですし。

つまり、出場した競走馬のレベルからすれば、3勝目は割と堅いレースだったというわけです。

とはいえ、それだけ確実視されたレースでもそれをなすのは素晴らしいことであり偉業であることには間違いがないでしょう。今年の特殊性でもなければ3勝というのはおおよそ難しいレベルの結果だと言えます。

エネイブルの血統はといえば、ゴリゴリの欧州血統ですね。ガリレオ産駒のナサニエルに母父はサドラーズウェルズですから。サドラーズウェルズの3x2のクロスですから結構血統としてみると扱いづらさがあるような印象があります。

凱旋門賞を勝った牝馬といえば、ガリレオやシーザスターズを生み出したシーザスターズなどが仔出しのいい印象がありますが、あれはミスプロ系と欧州血統の相性の良さもあってかと思ってます。ミスプロxサドラーズウェルズなんて結構走る馬いたりしますね。ガリレオがまさにそれですし。(ちなみに凱旋門賞そのものはサドラーズウェルズ系の欧州血統がやはり強い印象ですね。)

エネイブルをどこで将来的に繁殖するかにもよりますが、血統背景からすれば欧州でってよりはアメリカなどの方が面白そうな気もします。

この辺りもあって繁殖入りではなく現役が長い要因になっているのかなという印象を受けますね。

いずれにしろ偉業おめでとうございます。次は凱旋門の3勝目を目指すそうですが、今年はある意味では衰えがあるとは言えチャンスのある年であるだけに頑張って欲しいですね。