カップヌードルの話 | 米の心

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みんな大好きかは知りませんがおそらく多くの方が一度は食べたことがあるであろうカップヌードル。ノーマルのタイプにカレーにシーフード、チリトマトあたりが定番となり、最近では高齢者向けに味噌を定番化しようとしてるなんて話も聞いたことがあります。

味噌に関してはこれまでも何度か定番化を試みたようですが、その度に撤退を繰り返してきましたが今出ている味噌味はなかなか評判が良いらしく、うまくいくと定番化にも繋がるかもしれません。

日清といえばチキンラーメンにカップヌードルと世界的に愛されているインスタントラーメンを提供しているところですが、改めてその定番化された商品としてカップヌードルを見た時になかなか面白いようにも感じます。

そもそもチキンラーメン誕生後に食べやすく食べるために考案されたのがカップヌードルとされていますが、その味付けや具材といったところを見ると明らかにその展開として日本だけを意識していたわけではないことがわかります。

まぁ発想がそもそもアメリカのロサンゼルスのマーケットに売り込んだ際に、橋や丼がない環境で、コップにフォークで食べるという食べ方を思い立ったというわけですから、国際的にどういう味であるべきかというのは根底にあったのかもしれません。

具材を見てもフリーズドライされたスクランブルエッグに、エビにに謎肉とも言われるダイスミンチ肉。

ラーメンは日本で最も愛されている食文化の一つかもしれませんがでは、屋台で家で食べるとなった時に、スクランブルエッグを入れるご家庭というのはそう多くはないかもしれません。

最近でこそラーメンは細分化され様々な形でのラーメンが提供されるようになりましたが、その具材などを見ても、定番どころで言えばメンマに味付けたまご、刻んだネギに海苔、チャーシュー、もやし、ワカメといったところが思い浮かぶのではないでしょうか?

ご家庭でやる場合などは、それにちょっと野菜を加えてといった感じですかね?

世界で最も売れているインスタント麺の一つであるカップヌードルはこういったものがそもそも入っていないのです。むしろ、お店で今スクランブルエッグにエビそれに肉を合わせるとどこか洋風な合わせをイメージして目新しさすら覚えるかもしれません。

そのカップヌードルの味についてもしょうゆベースであることは、わかりますが、一般的なしょうゆラーメンのそれとは印象が異なるという人が多いのではないでしょうか?カップヌードルの味はカップヌードルの味であってそれ以上でもそれ以下でも他の表現もなかなかできない、カップヌードルの味というのが正しい表現のようなそのような味な訳です。

その後定番化されたものは、シーフードにカレーなわけですが、どちらも明らかに日本市場だけを考えた結果の味の選択ではないように思います。

それこそ、日本市場で考えれば、味噌や豚骨などの定番の方が先に思いつきそうです。シーフードベースの出汁などは世界的に好まれるような味付けになっていますし、カレーについても日本人にも好まれますが、やはり日本以外も意識しての定番化です。

チリトマトなどについてはまさに欧米人や中南米あたりを意識した上での展開ではないでしょうか?

現在カップラーメン市場も細分化しており、各国に合わせた味付のものも出ていれば、それらの国で自分たちで開発している麺などもあるのは確かですが、食文化においてこれほどまでに明らかに国際的な展開を初めから意図された中で開発されてきた食べ物というのは個人的には意外にないように思います。

というより、むしろ日本の場合、国内に照準を合わせて人気になるもののそれはあくまで日本という特異な文化、社会、環境の中で愛されるものであって、世界展開をそこから考えた場合に非常に苦労するといったケースの方がよく見られるかもしれません。

確かにカップヌードルの場合は、ロサンゼルスのマーケットに販売をしようとする中で生まれてきたものであり、そこには試行錯誤もあれば、国際的な意識があって当然なのかもしれませんが、何かとグローバルであることを意識しない市場で展開をすることが今日でも多いということを考えると非常に優れた戦略性を見せていると言えます。

定番にこだわらず、進出した国々の好みに合わせて柔軟にカップヌードルを提供するということも続けてきていますし、国際企業、グローバル企業であることを早い段階から意識していた珍しい日本の企業であるように思います。

その中で定番の味は、世界中の人に受け入れられる味になっているというのは、何気に本当にすごいことなんですよね。割と国地域によって好みはまちまちである中で、どこでも受け入れられる食べ物を開発しているというのは素晴らしいことだと思います。

というより、私が知らないだけかもしれませんが、どこかのメーカーが開発したものでそういった認知がされているものは他にほとんどないですし、ファストフードなどの飲食店を含めても世界展開を本当にできているのはマクドナルドなどのごく一部くらいにすぎません。

今から寒い時期になったり、冬山に登ったりするとあのあったかさというのはやはり体にしみるものがあり、西洋などで受け入れられたのは寒い時に手軽に食べる体のあったまる食べ物という側面があったからかもしれません。(西洋は何気にラーメンのような麺の食べ方、汁に使っているものというのはあまりなかったりしますね。)

一つこの国際的な意識の高さというのは、別に食にこだわる世界だけではなく、今後は人口が減少する日本人だけではなく世界中を相手にする時代がくるであろうからこそ、視野をどこにもって目的をどこにもってというところは重要な話であるように思えますね。