セルフサービスの話 | 米の心

米の心

野球にサッカー、NBA、F1とスポーツ全般から、西洋や江戸、日本の歴史、経済、文化、社会や科学、時勢ネタその他種々雑多をただただとりとめもなくぼやくブログです。

ユーザーエクスペリエンス、ユーザー体験ということに対して重要視する話というのはこのところのどの業界でも主流の流れの一つでありますが、UXに優れたデザインというのは一体どういうことかといえば、単純にいえば煩わしい何かがない状態であるというのは一つの答えであると言えます。

例えば、webサイトにおいてそれぞれの主張でそのデザインというのは決定されるところですが、ユーザーからすれば誰もがその使い方がわかって、ストレスレスであってこそ使い勝手のいいサイトともなるわけです。

どこかのECサイトのように購入までいくのに何回ページをスクロールさせるんだよというのでは、なかなか満足のいく使い方ができません。

どこに何が配置されていてその購入の意思を決定づけるまでを邪魔するものがなければ非常に使いやすさというのを感じます。

逆に使い方がわからない、といったときにその問題を解決する、例えば問い合わせやらQ&Aがどこにあってどう説明があるかということも重要だったりします。

今は、リアルの世界でも仮想の世界でも様々な買い物体験ということをすることができますがこうして改めてそこについて考えると、ユーザーが求めているのは過剰に盛り込まれたサービスそのものではなく、いかに自分の意思決定までを邪魔しない作りであるかということでもあると言えます。

つまり、何か、例えば人などが間に挟まることをよしとしない流れというのがここに一つ求める姿としてあるといえます。つまり、これをリアルの店舗などで考えるとセルルサービスに特化したもののことですね。

Amazon Goが話題にも少し前になりましたが、これはその意味で言えば究極なセルフサービスのお店であるということが言えます。

日本ではセルフサービスといえば、お客にやらせるという印象がどこかあって、そういうサービスのあり方をよいものとはしない考え方をもっている人もいますが、逆に言えば、これはセルフサービスで誰もがそのサービスを利用できるほどに整えられたサービスであるということができます。

つまり、それだけ優れたデザインであるということです。

例えば、自分が欲しいものがどこにあるのか、在庫があるのか、それがDIYのようなものであれば、その商品だけではなくそれに付随して使うものなどもその近くにある必要があります。そうしなければ、店の中をあちらこちら歩きまわる必要が出てくるからです。

お店は、そのコンセプトとしてお店の中を歩きまわらせて、買い物をさせようとすることがあります。しかし、それ自身がユーザーにとって好ましい体験でなければ、そのお店は利用のしにくいお店という結論になってしまうにすぎません。

そうすると、お店の中のレイアウト、導線がどうであるかということをセルフサービスで提供しようと思えば余計重要な鍵になってきます。

お店の人に尋ねながら買い物をするのであれば、導線はそれほど重要ではないかもしれません。(そのUXがユーザーにとって好ましいものであるかとどうかはともかく。)

しかし、セルフサービスであれば、(もちろんお客に対応する店員もいますが)基本は自己完結することが求められるのであり、自己完結できるだけのデザインがそこになければ、いいUXとはならないからです。

例えば、類似したような商品が並んでいるのであれば、それぞれの違いというのがその場でわかるようでなければなりません。どっちがいいかわからない、値段の違いは一体なんなのかというところが理解できなければ、お客さんが求めるモノであるかどうかというのが理解されないからです。

セルフサービスでのサービスの提供というのは、そういうお客さんに疑問に抱かせる要素を極力なくした世界であるということが言えます。

だから、店員にあれやこれや聞く必要もなければ、自分が欲しいモノまで自分の判断でたどり着くことができます。

日本のサービスを振り返ってみると、例えば電子機器などでは複雑に色々な機能を加えた結果、そういうものが好きな人にはフィットするけど、そうではない人にとっては使い方がわかりにくいものだったりといことも珍しくないですし、言って見れば、ユーザーに対して親切ではない商品、売り場というのが多い気がします。

セルフサービスで完結するためには、商品そのものが簡潔に理解される必要がありますし、また、そのお店の作りなどもまた同様であると言えます。

様々なコストの中で人件費というのは最も削りにくいところであるといわれたりしますが、それは逆にセルフサービスで完結するサービスとして機能していないからともいえるのかもしれません。

自分の意思で全ての買い物が終える状態にお店側が近づけていくということは、小売店においては重要なアプローチであるかもしれません。ネットなどの世界ばかりでUXなどの言葉は聞こえがちですが、リアルの世界でもまたUXの意識はよりされるべきですし、そのためにどういうデザインであるべきかということが追求され、そのデザインとして機能するためにはその前の段階がどうであるかということはもっと考えられる必要がある点だと言えます。