ゴールデン・グラブ賞の話 | 米の心

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ベストナインに比べて毎年のように話題になるのがその選手がGGにふさわしいかという話。

ベストナインであれば単純に打撃成績をも含めてでOKなので、記者の選択とファンの選択がそれほど乖離するということはないように思います。まぁせいぜい外野をひとまとめで選ぶ点についてそれはどうかなと思ったりする程度の話で。

しかしながら、GGとなれば、どこか守備の賞にも関わらず、知名度やイメージが優先であったり、打撃成績込みで選ばれている印象を持ってしまいます。

今年で言えば、なんで守備指数が落ちた坂本が選ばれて、京田が選ばれなかったのか?なんて声はよく聞いたりします。

ただ、ではその守備指数がどうだといっているファンが果たしてどこまで京田の守備を見て、また、坂本の守備も見ているかという点は果たして疑問だったりします。通常自分のチームのファンですら、その年間を通じての試合を全て見ている人というのはごく一部です。

それが同リーグの他球団のチームといえばなおのことですし、他リーグのこととなるとなかなか見れていないというのが一般的でしょう。

これは、記者投票においても同様のことが言えます。記者だからといってどの試合も見ているわけではなく、自分の担当のチームくらいしか試合は見ないでしょうし、それすらも膨大な量になるかもしれません。

つまり、結局のところGGとは記者であろうとファンであろうと印象を元にああだこうだいっているのにすぎないというわけです。

あるいは、デルタなどが指数を出しているのを参考に、試合もろくに見ていない誰かが同ポジションの他の選手と比較しているにすぎないわけです。

その意味において、ではファンがその投票はおかしいというのは割とナンセンスな話だと思います。私自身まぁそれをいってしまうわけですが、全ての試合を見ている誰かでもないのであれば、もうそれこそデルタなどの守備指標を参考にuzrが最も高かった選手を自動的に選出なんて話にすらなり得ます。

しかし、ではその守備指標そのものがどれほど正しいかというのは意外にもそのデータの正確性については疑わしくもあります。非常に抽象的なところを実際にデータ化するにはどうしても恣意性が示されてしまうからです。

例えば、しばしばストライクゾーンなどは9分割に分割され、それを元にデータ化することがありますが、アウトコース低めのど真ん中よりというのは非常に本来で言えば甘い球になりますが、9分割では危険度の低いところにボールを投げていることになります。逆に高さが甘くても、コースがギリギリスレスレであればどちらの方が被安打につながるかといえばおそらく前者であるはずです。

守備範囲にしても、おそらく完全に球場をマス目化して、どのコースにどういうボールが飛んでなんてこそはしていないはずですし、最近ではシフトも用いられる中で、その選手の守備範囲が本当にどれほどあるのかを正確に示すのはなかなか難しいところがあります。

これが自主判断で打球が飛ぶ前に移動し捕球をした場合と、完全にシフトとして事前に移動して捕球した場合のデータとしての際を示すことができるかといえば難しく、そこは結局入力側の恣意性が示される話にもなってしまうわけです。

こういうことを踏まえて言えば、もちろんある程度は数値化できるところもありますが、なんだかんだイメージのものが大きいというのは仕方ない気がします。ましてやそれが追いかけていない球団であればなおのことです。

この点で言えば、納得できるできないも含めて本来今みたいな状態で、おかしいわなんていってる状態が好ましいのかなぁなんてことも思わなくはないですね。

そこがデータが全てともなれば味気がないですし、そうなってしまえばそもそもGG発表前から誰がとるってもう決まりきった答えになってしまいます。MVPであれ賞というのは色々選択肢が考えうる中で、誰がとるかを予想するのも含めて楽しいのであって、データによる味気ない判断が全てというのもそれはそれで盛り上がりがなくなる気もします。

GGなどの投票について記名投票にすればいいという話もわからなくはないですが、今の時代であれば、記名投票でその名前が公開されようものなら場合によってはものすごいバッシングにあうリスクもあるでしょうし、それを含めて記名投票するなら、記者に対しての負荷が高くなりすぎです。

ファンの声を反映させればいいのかもしれませんが、ファンの数は一定ではない上に、結局ファンも自分の応援する球団以外の試合は多くはみていないので、そこについては印象論であったり、恣意性が反映されることとなります。

そういうことを考えると、どういう投票がいいのかというところでベストな結論、誰もが納得のいく形というのは結局のところないのではないかとも思います。

守備的貢献というのはそれだけ数値にしにくいですし、印象が優先されるのは仕方のないものだからです。

選手からすればたまったもんではないかもしれませんが、そういうところ含めての野球の楽しみ方なのかなと思いますし、これはおそらく他のスポーツでも同様です。

サッカーでストライカーの評価なら数字で示しやすいでしょうが、ではCB、SBは誰がいいかということを本当に年間の活躍を客観的に評価して投票するのは難しいでしょう。圧倒的なパフォーマンスでもない限りはイメージではないところでは票が分かれてしかるべきだと言えます。

なぜ選ばれないと話題になることは、今年ではなく翌年以降にはより強い意味合いが出てきます。そういう議論によって誰それは守備がいい選手だという印象を根付かせることができるからです。

uzrなどの指標も本来は単年ではなく、複数年みて初めて評価するべきものとされていますが、その意味では、実際のファンの中で守備の上手いイメージが根付くまでも数年かかるのであり、それは記者も同様であり、今年の守備ではなく、年俸などのようにこれまでの活躍も含めての守備評価という形になりますし、それでいいのかなとも思いますね。

誰それの守備が劣化したなんて、ある程度それを集中して見ていない限りわかるものではないですから。1試合だけみてどうの評価すべき話ではないですし。

圧倒的な守備でルーキーの時から話題になっていた源田ですら1年目はとれなかったですし、そういうもんだということなのではないでしょうか?