2019ドラフト寸評:中日 | 米の心

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昨年に続き5位という形で終えた中日ですが、今年は色々と収穫が多かったシーズンだといえます。エラーは12球団でもトップクラスに少ない守備の固いチームになりましたし、加えて若手投手がどんどん台頭してきました。加えて、外国人選手がまたしてもあたり、高橋のついに覚醒などと将来に向けていい材料が揃ってきたのを感じさせるシーズンでした。

 

ただ、いくつか課題もあるように感じましたね。PFの関係もありHRなどが出にくいことももちろんですが、得点効率が悪く、長打を期待できるのが結局ほとんど外国人頼みになってしまっています。

 

高橋の覚醒は確かに大きいですが、現状としてみるとミートがうまく長打がなくあまり足も速く無いタイプなのでどこで使うかとなると意外に打順に困ります。

 

いっそのことランナーを貯めて繋ぐ4番として返すというのもありかもしれませんが、繋ぐ4番と言われる選手は割と多いですが、例えばSBの内川選手にしかり一発の怖さはある選手ですし、かといって4番ビジエドの後に置いたとしても相手にそれほど長打がないために脅威を与えることができず、プレッシャーが十分にかけることができません。

 

平田選手もそうですが、どちらも長打も期待された中でミートがうまいタイプに収まってしまったというのは打率には残っても得点には結びついていない現状として現れているように感じます。そのあたりを踏まえると打点に繋がる脅威を与えられる長打の期待できる打者がやはり欲しいですね。

 

また、中日は顔とも呼べる選手として、大島や平田選手がいますが、ともに年齢を考えるといつまでもこの二人に頼ることができない状態であると言えます。長距離として期待されている福田選手についても若くはないですね。

 

今年活躍することが多かった遠藤や阿部も若くないですし、主力どころでは京田と高橋が25とまだ若いくらいで他は実は黄金期を迎えていた広島と比べて同い年前後の選手が多かったりします。

 

よって、チームとしては確かに打率などがよかったりと明るい情報も少なくないように思えて、ではなん年後を見据えてどういうチームにするの?って話になると今の主力が主力であるうちに優勝出来る状態までになるかといえば個人的には疑問だと思います。

 

少なくとも五年くらいはかかるかなと思いますし、五年かかるのであれば、今の主力はほとんどメンバーが変わっていてもおかしくないチームですね。

 

井領などが徐々に使われるシーンも見られますが、彼も社会人からであり若い選手ではありません。

 

大野の復活は確かに嬉しい話です。しかしその大野ももう31。もう次の世代を担うエースが誰かという話になってきていておかしくない状態です。

 

若手の投手の台頭は見られますが、では誰がエースになるのか、柱になるのかといえば意見がまだ分かれるのではないでしょうか?(まぁ現状なら柳でしょうか?)

 

そのあたりを踏まえて五年後あたりのチームをとなると、やはり投手についても先発中継ぎともに厚みをつけて、大野が主力ではない形でチームをアシストするような状況にしておきたいところです。

 

そんな中日の今回のドラフトをみてみると、

 

1 石川昂弥 内野手 東邦
2 橋本侑樹 投手 大阪商業大
3 岡野 祐一郎 投手 東芝
4 郡司裕也 捕手 慶応大
5 岡林勇希 投手 菰野高
6 竹内龍巨 投手 札幌創成
育1 松田亘哲 投手 名古屋大

 

となっています。

 

ドラ1の石川くんは事前から宣言しておいての抽選の結果の獲得という形になりました。宣言の中で将来3番根尾、4番石川という話がありましたが、そのあたりを見ても今の中日は変わろうとしている過渡期であり、彼らが物になるであろう五年先以上あたりを踏まえているのかなと思います。

 

そうした時に和製の大砲の存在というのは不可欠であり、エース奥川より和製大砲石川を優先したとのことではないでしょうか?

 

この辺り中日のドラフトはどこを見定めているのかわからないとこもあったのですが、根尾が加入した時から明確にまずは一つ考えるべき位置というのが定まったのかなという印象を受けます。

 

だからこその二年連続の高校生野手の1位指名な訳です。

 

2位は橋本侑樹投手。ノーヒットノーランをした左腕ですね。

 

ヤクルトのところでも記述しましたがやはり左投手というのはそれだけで価値がありますし、ノーヒットノーランができるだけのスタミナがあり先発ができるというのは貴重です。

 

3位は、岡野祐一郎。コントロールがよく緩急をつけられる投手とのことで、こういうタイプは何気に使い勝手がいいですし、中日は割とゴリ押しタイプの投手も少なくないだけに、中継ぎにしても先発にしても即戦力として期待ができるのではないでしょうか?

 

4位は郡司。高校時代から話題になっていた捕手ですね。もともと注目されていた捕手ですが今年に関して言えば、高校生でも有能捕手が多かったというところで他の捕手と比べて圧倒的な何かを示せなかったためにこの順位まで残っていた選手だと言えます。逆に言えばここで拾えて中日としてはラッキーだったのではないでしょうか?

 

中日を悩ませている問題の一つはやはり捕手です。加藤がものになるかどうかとかいってもその加藤ももう27ですし、嶋獲得の噂などがあったのもやはり捕手を固定しきれてないからでしょう。

 

その中での郡司の獲得というのがまた、嶋の行方にも影響してしまいそうで、楽天を出て行く道を選んだわけですが貰い手がいるのか気になりますね。

 

5位は菰野の岡林くん。いい投手ですよね。中日は若い投手が主体になりつつある中で高校生でこういう選手を獲得してそれが育てば本当に石川くんや根尾くんがモノになった時に非常にいいチームになりますし、では、それまでの過程でどう優勝を狙いながらチーム作りをしていくかということに結局なるのかと思いますl。

 

6位指名についてもしかりですね。6人指名の内3人が高校生となっています。広島が3連覇したあたりからか高校生を重視した考え方というのがなんだかトレンドになっている気がします。

 

個人的に言えば、青田買い以上の理由ではよほど圧倒的なパフォーマンスがあるか光るものをどこかに感じない限り高校生がベストであるとは球団からすれば言いにくいと思っています。

 

出てくるのに四年以上かかるなら大卒や社会人と変わらないですし、仮に若くから活躍してしまえばそれこそFAの引き留めも高額になりますし、ポスティングなどで出て行くことも多く、逆に大卒から育ちきってからいいところだけ使わしてもらうくらいの方が単純にいえば効率が良い側面があるからです。

 

実際横浜などはこの数年で強くなりましたが、その背景は大学生などを中心とした若手のチーム編成によるところが大きいからですね。短期でチームを仕上げるのであれば大卒などはやはりいいですし、あくまでそれでチームが計算できるようになってからの高校生比率を高めるというところであり、そのあたりを読み間違えるとなかなか育成と戦力がかみ合わず、選手層が厚くならずということにもつながるのでその点は注意したいところですね。

 

育成からは名古屋なのにマツダかよとも思う松田選手。中日らしい地元との関係も意識したドラフトだと言えます。

 

正直いつを見据えてかは関係者ではないのでわかりませんが、今回のドラフトが石川、根尾の時代を見据えたものであるのであればもういいドラフトだったと言えるのではないでしょうか?目的は果たしたドラフトだと言えます。

 

特に今回は事前に石川狙いであることを発表したことによる牽制ができ、右の長距離砲を欲しがる他の球団と必要以上に競合を避けることができたのは大きかったと思います。右の大砲は非常に貴重であり、取れもしない奥川や佐々木くんでバッティングするなら一発単独狙いでと石川くんを考えるケースはあるでしょうし、それが複数球団になるリスクが当然ある中であらかじめ宣言したことによって牽制できたと言えます。

 

楽天が佐々木くんか石川くんかとも言われていましたが、あの牽制がなければ石川くんの方に流れた可能性は十分にあります。右の大砲というのは楽天のチーム状況を踏まえても喉から手が出るほど欲しい存在だからです。

 

その辺の事前の牽制も含めて中日は思い通りの指名ができたところはあるように思います。

 

ただ、根尾石川の時を考えるのであれば、もう少し野手全体の若返りが必要なのでそのあたり内外ともにアクションがあってもよかったのかなぁとも思わなくはないですが、個人的に今年は指名数が多くなく、逆に言えば今指名しなければいけない選手がそれほど多くないという中では、要望にあった選手を獲得できた素晴らしいドラフトだったのではないでしょうか?