代替肉産業の話 | 米の心

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最近ヴィーガンなどの趣向もあって代替肉の話というのを聞く機会などが増えて来たように思います。ケンタッキーでは肉を一切使わないバーガーなどが誕生したなんてことも記憶に新しいニュースかも知れません。

ヴィーガンになる理由というのは様々ですが、それだけに別に肉の味が嫌いでヴィーガンになったわけではないという人も多いですね。まぁ動物愛護などの観点などからなるべそういうものを食べないようにしようと心がけている人からすれば恋しいけれど食べるべきではない肉ともなるわけです。

昨年頃かのニュースにはスイスかどこかで痛覚を持っているとされるエビなどについて生きたままボイルすることを禁止する法が出来たなんてニュースもありましたが、どういう考え方であるかというのは別として、生命に対しての尊厳というのをより意識されている時代になっているのかもしれません。

日本では捕鯨が再開されたなんてこともありましたが、海外的な主流な考え方からすれば、鯨の個体数がどうのという話ではなく、そもそも鯨を食べる事(殺す事)そのものがかわいそうであるというのがまず大前提にあるところの話でもあると言えます。

まぁそんなことを言ってしまえば、では植物はどうなのか?実際植物に痛覚がないということは証明されていないわけで動物はよくて植物はダメという考え方こそ傲慢なんて話も聞こえて来たりもするものです。

とはいえ、世界的に見ても、あるいは、日本という単位で考えても今後代替肉産業、そこへの需要というのは高まっていく可能性というのは非常に高いと思います。

それは、ヴィーガンであるかどうかという話ではなく、それ以前の生産業の抱える課題であったり、環境問題、食料問題にそもそも帰依する話であるところも大きいからです。(まぁ、それを含めた上で代替肉という答えが正しいものなのかどうかというのはともかくとしてですね。)

そもそも以前から言われているのは、畜産業の効率の悪さと温暖化などの問題の話でしょう。

家畜用の牛のゲップなどが原因での温室効果の高さなどの話を聞いたことがある人もいるかもしれません。

家畜用の動物を飼うということそのモノを悪とする見方は様々にありますが、動物の尊厳が失われている(先の捕鯨反対の返しとしてこういう旨のことをいう人は結構いたりしますね。)、動物が増える事による二酸化炭素などの輩出による環境破壊、動物飼育環境構築のための環境破壊、または、精肉として出荷するまでのエサ効率の悪さに起因する食料問題など。

最後のヤツは鶏などはまだマシな方なのですが、豚であろうと牛であろうと一般的に出荷されるまでに育てあげなかればならず、当然それだけの大きさに育てるにはそれだけのエサが必要となるので、それだけのエサ(食料)を動物に投資しているわけですね。今後起きる食料問題や現状を踏まえて、その分人に回す事だって出来る中で、精肉にするまでにその取れる肉の何倍ものエサを投じなければならない、つまりそもそも畜産業の精肉としてのエネルギー効率の悪さというのが指摘されたものですね。

こういう話もあるので、同じように肉を取り扱うにしてもオルタナフードとして、ダチョウや爬虫類、あるいは、虫などに注目する話というのは近頃増えて来ました。

現状として日本で主に出回っている食肉より低コストで提供できるからですね。

また、畜産業を取り巻く環境では、よく日本のブロイラーがされるぎゅうぎゅうづめの中での生育環境などに対して反発の声などはよく聞かれますし、欧州などではそういう環境での畜産業が禁止されているところとかも結構あったりしますね。

こういうことを踏まえていうと、言って見れば世界的な流れの一つとして畜産業に対しての風当たりの強さというのが高まっている状態であるという事が言えます。

また、加えていえば、例えば日本などでの話で言えば、そもそも畜産農家の成り手の少なさ、高齢化が着々と進んでいるということがあります。松坂牛の中のトップランクの肉を生産する農家などが減少していて、一番上のクラスはもう提供できないなんて話もありますね。

IoTや機械化などの話はあるものの基本的には高齢化の話が解決できている状態かといえばそうではありませんし、流通の関係もあって生産者に対して旨味があまりない事もあるので、積極的に投資できる美味しいところとはいえず、今後も生産農家というのは減少していくでしょうし、そうすれば、自然とそもそもの出荷量が世界的なヴィーガンの動きどうの関係なく減るわけですから対応が十分に出来なくなるわけです。

そうなってしまえば、完全にオートマチックな状態での畜産などが出来るようになったりしないかぎり(それもおそらくコストからすれば大企業などが主体でやる話になり農家という職業がある意味ではなくなっている状況かもしれませんが。)海外からの輸入に頼るか、肉の代わり、代替肉などを供給する形を一つの答えとするかとなるのは割と自然な流れと言えます。

単純に作り手がいないのにニーズがあれば、それの代わりを用意するしかないよねってことですね。

少ない生産者による貴重な食料はよりプレミアムな存在となり、手の届かないものになって肉の代わりを食べる事が日常的になってもおかしくないというわけです。

とはいえ、では肉の代わりをどうつくるのかというところでいえば、なんだかんだ植物由来のものなども多く、それであれば結局植物の生産農家が必要であるわけですから、その点を踏まえて、植物由来の代替肉をベースの流れに本当にシフトしていくのかというところは個人的には疑問ではありますね。それだけのコストと生産が出来る環境を構築できるのかは疑問があるからです。

ただ、肉に対して(肉の味、肉らしきもの)のニーズがあり、一方でそれを安定生産する環境では様々な理由でなくなりつつある中で、それの代わりを準備しようと言う動きがあり、それが今後活発化し、場合によってはそれを食べるのが一般的になる状態となってもおかしくないというお話ですね。