ここのところの飲食業界の話3 | 米の心

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少し前に最近の飲食業界はバブルだなぁ、ということを記述しましたが、つくづくにそれを思ったりするところです。今回は予約の話。

私自身は割と食べることが好きな方なのでどこそこがおいしいと聞けばつい行きたくなります。

とはいえ、行きたいと思った店はすでに予約でいっぱいでなかなか入れない、入ろうにも半年待ち、1年待ちなんて話もざらに聞きます。

飲食業界は現在バブルであって、ビジネスをうまく展開できているようなところであれば、割とすぐに人気になります。また、情報がネットにSNSにと様々な媒体で飛び込んでくるものですから、当然以前により多くの需要に対して、供給量は一定しかないので、過剰な人気状態となってしまうお店というのはよくありますね。

ネット予約なども増えてきた中でのメリットやデメリットについては、以前記述したものでも読んでもらうものとして、元々店側としては広く多くの人に料理を提供しようなんてことは思っていないわけです。

割と職人な世界で、ある種のアーティストな世界でもあるため、言ってみれば、自分の表現、価値観を理解してくれるお客さんというのを求める話にもつながっていきます。

昔美味しんぼという漫画の中で、魯山人やその星ヶ岡茶寮がモデルとなったものなどがありますが、そこまでの世界ではないにしろ、ある程度誰にでもという話ではないお店というのは割とみられますね。

会員制などを取っているお店もありますし、そういう形式はとっていないものの新規のお客さんを取っていないお店なんかもあります。

もちろん、口に出して新規はダメなんていえないですから、お店で予約を取る際に、来年いっぱいは予約がもう埋まってないと、常連さんに対してもいうわけです。そして、日を改めて、いついつならどうにか空きがでました、なんて話をするわけで、いかにもな日本らしい文化が見えるところでもあったりします。

まぁ、そもそもという意味で言えば、、そういう人を選ぶようなお店というのは、それなりの価格帯だったりします。滅茶苦茶高いお店ばかりではないですが、数万円前後かかるようなお店で、かつ、それだけの人気のあるお店ですね。

そういうところからすれば、当然新規のお客さんを求めているかといえばそうではなかったりしますし、そういうお店で常連客としてある程度なじみをもって通える人というのは、その時点でそこそこ限られた人たちということにもなります。

そして、そういう人たちでコミュニティというのがSNSなどを通して現状形成されています。

どういう話をしたいかというと、この飲食店のバブルを支えているのはだれか、どうしてバブルになっているのか、という話ですね。

お店を予約取れる人が予約を取ります。結構これは、人によりますが取れるときにとっちゃいますし、そして、それも人数も別に本当に何人で行くかは決まってない段階から取るわけです。

そこから、その日に合わせて同じように食に興味のあるコミュニティの友人に連絡し、人を集めます。

もちろん、それは同じような行動をする人たちが他にもいろいろいて、また、その人たちがお店を通して顔見知りになり、そのコミュニティを広げていくということになります。

実際、有名店などでご一緒させていただいた人と共通の友人がいるケースというのは割と多かったりしますし、どこそこのお店に行ったことがあるかどうかというのもある程度シェアされていることが多いわけです。

ネット予約などであれば、ある意味で公平ですが、常連客がこうして枠を取ってしまう場合であれば、食に興味があり、そこに積極的に動く人たちで元々の数少ない供給量が埋められてしまうことになるわけです。

例えば、料理人が一人しかいないようなお店であれば、他の従業員の数にもよりますが、8席前後ぐらいがキャパ的に限界に近い話になります。

8席であれば、おおよそ2グループから4グループくらいが一回転におけるキャパの限界となるでしょうか?コースを出すお店だと、1回転辺り2時間半は見積もりたいですから、2回転くらいが限界です。となると、1日当たりは16名Max、グループとしては、少人数グループが多い歳で10組、ある程度の人数を抑えられた場合だと、4組辺りが限度になります。

また、お店側としても年中無休ともいかないですし、河岸のお休みなどもありますから、週1くらいで休みが入るとすると、月辺りの営業は25日前後。年間でいえば、年末年始のお休みなども入れると300日前後の営業日とでもなるでしょうか?

そうするとこの規模のお店であれば、月辺り、2回転で営業をしていても、多くて250組前後、4人以上のグループがそのうちある程度は入るでしょうから、150組ぐらいという形になります。

150組、つまり、150人は常連として予約を取るわけで。それだけで1ヶ月の予約は埋まってしまいます。

そこから話を広げていくと、あちらこちらのお店にお伺いする常連というのはやはり他の店でも同じようなことをしているわけで、その規模が1000人程度にでもなれば、もう半年は埋まってしまう予約が全く取れないお店ばかりという形になるわけですね。そして、その人たちでまたシェアをされていくわけです。

そしてそういう有名店ともなれば、ぜひ行ってみたいという常連ではないけど興味のある予備軍がそこに加わります。彼らのも予約が取れるチャンスがあれば途端に1年待ちなんてのは当たり前になってしまうわけです。

蓋を明かしてしまえば、あちらこちらで予約が取れない予約が取れないといいますが、1000人くらい食に興味がある人がいたら、それだけで半年予約が取れないというのは普通に起こりうる話です。一日4組くらいしかとらないお店でも1000人が興味持てばそれだけで250日埋まってしまうのです。

そして、彼らはグルメに対して強く、そういうコミュニティがあり、また、常連であり、信用のある人ですから、お店側としてもぜひごひいきにしたい人たちでもあります。

まぁ、実際は1000人くらいなのかはわかりませんが、今の飲食業界のバブルを起こさせているのは実は、ものすごい数の人が本当に動いているというよりは、ごく少数とまではいかないまでも、限られた人数の人たちによって囲われているところが圧倒的に大きいからといえるのかもしれません。

そして、そういう状態であることは、また、その人たちにとってはある種のその人の他者にはない価値を示すものとなります。どこそこのお店に行くことができる人かどうかということで人を判別する世界になってしまうのです。

正直底までいけば食そのものを楽しむなどではない、ブランド志向的なところも出てくるようで、なんともそれが正常にあるべきかといえば(何が正常化はわからないですが)そうではないように思いますし、そういう状態の今というのは、やはり、バブルな状態といってもいいかもしれません。

ある意味では、予約が取れないというのは、単純な話、予約を優先的に取っている人たちで埋められている状態であるということでしかないのですが、そこにネットによる情報の氾濫状態ですから、まぁ、予約取れないとなるのも当然というわけですね。(まぁ、決しておいしいかどうかとは別のところでの流れもすでにあるような気がしますが。)