1900年パリ万博の事務局の会計を担っていた高祖父・渡部晴一郎の履歴書コピーがみつかった。

安政六年1859年9月25日の誕生からはじまり、明治三十六年1903年まで。

仕事上の履歴が十六頁にわたり淡々と書かれていた。

 

活字のように達筆な筆文字を誰が書いたのか、

どこに提出するために書かれた、

本人が人生の記録として書いたのか、

分からない。

 

仔細に読んでゆくと、役人としてどのようにキャリアを積んでいったのか見えてくるが、ここでは深く書かない。

↓1900年のパリ万博に尽力した功績で、フランスから勲章を授与された記述だけ、下に載せる↓

↑左から三行目にカタカナで勲章名が書かれている。

 

「ラフヒシエード ランストリクション ビエブエリック」

元がフランス語表記で勲章の種類を表していることだけはおぼろげにわかるが、どのようなものか定かでない。

 

だが、

祖母が亡くなった折に出てきたフランス語の大きな紙がその賞状だったのだと、ピンっときた。

母は「フランス万博の招聘状よ」と言っていたが、事実はもっと価値ある表彰状だったのだ。

 

小松が記憶しているのは賞状だけだが、服に付ける勲章も添えられていたはずだ。

履歴書の次の行に「記章ヲ受領シ及ヒ佩用(はいよう)スルヲ允許(いんきょ)ス」とある。

それは今どこにあるのか?

 

長い年月を経て縁遠くなりかけている親戚にも訊ねてみよう。

モノは持っているだけでは価値がない。

それが何なのかを理解してはじめて大切にしようと思えるだろうから。