「小松さんが持っていたほうがよいから」と、装幀した原画を手渡してくださった山田さん。

この旅カレンダー製作がなければ、2020年をのりきることはできなかった。

なんのサンプルも実績もないこのカレンダーを購入してくださった皆様、ほんとうにほんとうにありがとうございました。

電話でメールで、オーダーがはいりはじめた時の感激は忘れられません。

おかげさまで旅倶楽部「こま通信」は2021年も活動を続けることができます。

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四月、「いったい買ってくれる人がどれだけあるのか?一部いくらにすればよいのか?」

手さぐり状態のなか、百部売れれば赤字にならない仕立てでスタートした。

ネットを検索すれば、好きな写真を入れてカレンダーをつくるサービスはいくらでもみつかる。

予め決められたところに写真を挿入するだけで、紙も選べないホッチキス止めではあるけれど、それでも「オリジナルカレンダー」をつくることは可能だ。

 

五月、カレンダー販売を公開すると、すぐにメールや電話がはいりはじめた。

「小松さん、おぼえてる?」

十年以上もご無沙汰だった方、もう歩けないから旅には出られないという方、子育てまっさかり・働き盛りでまとまった休みなど取れない方、いろいろな方から連絡をいただいた。

そうなのだ、一度は旅でごいっしょしていても、自由に旅ができる環境にいる人はそんなに多くはない。

 

旅に出られない人にとってこそ、旅の時間は輝きを増す。

旅に出られなくても、ブログや紙面版・メール通信は読んでいただける。

そう思って書き続けてきたが、旅をつくって販売するだけでは、旅に出ない人を傍観者にしてしまっていた。

期せずして、このカレンダー制作が「旅に出でられなくても旅を楽しんでいる」という意志表示をしていただける機会になったのだと感じた。

 

注文数は一週間で二百を超えた。

百部(二十万円)⇒二百部(四十万円)の売上になったわけだ。

ここは思案のしどころ・・・

増えた売上を利益にするか、カレンダー製作によりお金をかけるか?

 

目先の利益を増やしたい誘惑にはかられたが、

カレンダー製作にお金をかけることにした。

こんな機会は今年だけなのかもしれないのだから。

 

印刷会社を紹介していただき、デザイナーさんに表紙の専用ロゴを画いいただいた。

紙は四種類を試し刷りして選び、中綴じでなくリングを使うことにした。

ミニイラストも追加で画いてもらった。

 

各月の写真を選び、そこに合ったイラストを依頼し、

写真にまつわるストーリーをQRコードで見てもらえるように設定した。

九月末には全月の構成がまとまった。

このころ、注文数は四百を超えてきた。

 

十月、試し刷りがあがり

紙の質、印刷の濃さなどをチェック。

十一月、完成品の発送をはじめた。

カレンダーは「ひとりあるき」をはじめ、

近頃は小松を直接には知らない方からも連絡をいただく。

 

2021年、このカレンダーがどんな出会いをつれてきてくれるのか、一年間楽しみにしています(^.^)