【オリジナル紙芝居「いいこちゃん」】


 

作/絵 こまつばらこうへい

 

 

 

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みんなは“いいこ”ときいて どんな子を思いうかべますか?

 

このお話は、まわりに“いいこ”といわれるある小学生の“いいこちゃん”のお話です。

 

 

 

 

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小学校のテストでわるい点をとるとママはこわい顔をします。

 

ママはおこったら怖いから、ぼくはたくさん勉強をするんだ。

 

勉強していると、ママはうれしい顔をする。


またわるい点をとったら怒られるに決まってる。

 


ぼくは、“いいこちゃん”の顔をする。

 

 

 

 

 

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しずかにお話をきかないと、先生はおこります。

 

先生はおこったら怖いから、僕はしずかにお話をきくんだ。

 


だまっていると、先生はうれしい顔をする。

 

うるさくしたら、おこるに決まってる。

 

 

ぼくは、“いいこちゃん”の顔をする。

 

 

 

 

 

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おうちでは、ママとばあばが“おおげんか”。

 

だいすきな2人がこわくって、ぼくはかなしくなります。

 

たぶん、ぼくのことで“けんか”をしているんだ。

 


ぼく、なにかわるいことしたのかなぁ。

 


 

ぼくは、“いいこちゃん”の顔をする。

 

 

 

 

 

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次の日、

学校で順番抜かしされて、すごくいやな気持ちになった。

 

ほんとうは、さきにに行きたかった。

 

だけどぼくが反抗すると、“けんか”になるにきまってる。

 

ぼくが我慢してすむなら、そっちのほうがいいや。

 

 

 

ぼくは、“いいこちゃん”の顔をする。

 

 

 

 

みんな口を揃えていうんだ。

「いいこだね。」って。

 

 

そう、

 

 

 

 

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ぼくは、“いいこちゃん”みたいです。

 

 

 

 

 

 

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“いいこちゃん”みたいです…。

 

 

 

 


 

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ある日のやすみじかん、ぼくは“なかまはずれ”にされました。

 


「ぼくもいれてよー!」

 

「おまえは足がおそいからダメだ。運動できないんだから中にいろ!」

 


ぼくは、はらがたって、おもわず友達をけってしまいました。

 


「いってぇー!先生に言うからなー!」

 


友達はなきながら、どこかへ駆けていきました。

 

 

 

 

 

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おうちにかえると ママがこわい顔をしていました。

 

ママは言いました。

 

 

「どうして友達をけったの?」

「そんな子にそだてたおぼえはないわよ。」

「わるい子ね、もっとちゃんとしなさい!」

「良い子でいなさい!」

 

 

 

 

 

ぼくは、“しんぞう”のあたりがギュウッとしました。

 

 


 

違うんだ。

ぼく、ほんとうは“いいこちゃん”じゃないんだ。

 

 

 

涙がポロポロとあふれました。

 

 

 

ママはよく「ちゃんとしなさい」って言うけれど、「ちゃんとする」ってどんなのかな。

 

 

“いいこちゃん”でいることが「ちゃんとする」ってことなのかな?。

 

 

 

 

 

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すると、ママのうしろから ママのおにいさんがニンマリ顔でやってきました。


 

「よくやったなー!おじさんも小さい頃よく“けんか”したもんだー!わっはっはっー!」

 

 

今日はたまたまお家にあそびにきていたみたいです。

 


「ちょっと!なに言ってるの!」

 


「なーに、“けんか”のひとつやふたつ、たいしたことじゃないさ~。

ぼうず、はらがたったんだろ?よくやったなー!」

 


おじさんは僕をやさしく抱きしめました。

 

 

 

 

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“ぼうりょく”はよくないこと。

 

自分はよくないことをした。

 

 

わかってはいるけれど、

 

わかってはいるけれど、、

 

 

なぜかどうしようもなくうれしくなって、

どうしようもなく 泣けてきました。

 

 

ママは泣きつづけるぼくをみてビックリしたあとに、

かなしそうな顔をしてなにか“かんがえごと”をしていました。

 

 

そして、ママもぼくを抱きしめました。

 

 

 

 

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ぼくは“いいこ”。

 

 

“いいこ”だけど“いいこちゃん”ではない。

 

 

 

“いいこ”でも、いやなことはいや。

したくないことはしたくない。

 

 

 

ちょっとだけ、…いや

けっこうこわいけど、ほんとうにおもっていること

あしたママにいってみようかな。

 

 


またこわい顔をするのかな。

 

 

ううん、きっとママならわかってくれる。

 

 

 

 


僕のママだからね。

 

 

 

 

きっと抱きしめてくれるはずだよ。

 

 

 

 

 

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(おしまい)







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