こんばんは

デグーというのは、モルモットに近いネズミの仲間である。

家では3匹のデグーを飼っていた。
それぞれマフラー、チョコレート、ライという名前だ。

マフラーとチョコはメスで、ライはオスである。

最近マフのお腹がはちきれんばかりに大きくなっていた。

子どもが腹の中にいるならば、胎動と呼ばれる腹の動きが観察されるはずだ。

そう思い、じっと見つめるも、胎動らしい動きは全くない。

肥満か?

しかしこんなに太ることがあるだろうか?

と2日前に考えていた。

まるで風船のように膨らんだマフは、平然といつものように、ご飯を食べていた。

数時間前。
チョコがピーピー鳴いていた。
警戒鳴きにしては小さいし、なんの声だろうと不思議そうに聞いていた。
しかも、私が側に行くときだけ鳴くのである。

私はデグーを1から育てたことがないので、
出産するときのデグーたちの様子がどんなものなのか全く想像がつかなかった。

故に、メスがこのように優しく鳴くのは初めてのことだったので、私はいつもよりよくやつらを観察していた。

数時間後に、同じような鳴き声でチョコがまた鳴いた。

今度は近づいたわけでもなく、ただゴロゴロしながらスマホを眺めていたときだった。

何かあったのだろうか。興味本位で近づいてみた。

私は一瞬目を見開いた。ケージには赤い血が見受けられる。しかしよく観察しなくても、この雰囲気は喧嘩したような雰囲気ではない。

チョコを見るも、鳴いているばかりである。
オスのやかましい警戒鳴きの、ささやくバージョンみたいな鳴き方だ。

100円ショップでデグーの巣箱用にと買った本立ては、見事にボロボロにされ、穴やらかじりあとがたくさん見受けられる。
そろそろ変えなきゃなぁ…。

そんなことを考えていたら、遊んでいたのだろうか、暖を取っていたのだろうか、ボロボロになった本立ての中にすっぽりと入ってじっとこちらを見ているマフと目が合った。

ひょっこりと何か得体のしれない塊が1つ、マフの下にいた。

光沢を放ち、動いていないように見える。

なんだ?

膨らむ期待感。
マフはしばらくするとどいてくれた。

すると、体が濡れている5匹のデグーの赤ちゃんが、ムズムズ動きながら4つ足で立っていた。

目も開いている。

…目があいている…?

違和感を覚えつつも、
毛の生えた状態で生まれてくる種類の動物と、
毛の生えていない未熟な状態で生まれてくる種類の動物がいるんだ、デグーは後者で、きっと最初から目も開くんだ。
と自分に言い聞かせていた。

あの鮮やかな色の血と、濡れている体から察するに、まだ出てきて間もないはずだ。

はずだ…。

とにかく私は2つかみ分くらい牧草を入れてやった。
親たちはみんなですぐに牧草をかき集め、巣を作る。

数時間ですぐに食べるか網からすり抜けるかしてなくなってしまうが、
ないより温かいだろう。

そして、午前3時になっているというのに、私はデグーの動画をあさり続ける。

今まで牧草を与える理由が分かっていなかったが、牧草をメインにあげることで不正咬合が予防できるらしい。
赤ちゃんは生まれて1ヶ月くらいまで母乳を飲むらしい。
親は生まれて数週間は母乳を子に与えるらしい。
生まれて2週間くらいでペレットや水を自分でとれるようになるらしい。
6週間になる前に離さなければならないらしい。

ふむふむ。

牧草があと少ししかないな。
買い足そう。
ケージも必要になるな。
買おう。

あと何が必要だ?

ミルクだ。
育児放棄してしまったときのミルクが必要かもしれない。

寝不足のせいで精神的に不安定になりながら、この日はひたすら調べまくった。

さて、今日。
デグーたちは5匹とも元気である。