こんにちは。

私は、ミールワームを飼っていることをまだ家族には言っていない。

だが、想像してほしい。自分以外の家族の誰かがあのうねうねした幼虫を飼っているとあなたが知ったら、あなたはどんな反応をするのか。

私は歓喜して見に行くが、他の人はそうでもない。これが、私と他の方々との違いだ。

聞いてくれ。私は最近その違いが面白くてたまらないのだ。

私の家族に報告してみた。

まあ、女性はきっと悲鳴どころか駆除しに来そうだから、やめておくとして。

男性陣に聞いてみた。

すると、なるほど面白い。
渋い顔をして、
「まさかあのうねうねした虫?何に上げるの?ハムスター?うわァ……」
と言うか、

真顔で
「ミールワームって何?」
と言うか

どちらかだ。

私は後者の人には「ん…?面白いものではないよ。」と返し、

前者の人には悲鳴に近い声で「気持ちわりぃ」って言っているのを笑顔で眺める。

ハムスターに与えるのがどうも衝撃的らしい。
その話になると、みんな話をそらしたがる。
私はそんな人たちを見て
「wwww」と思うのだ。

実に面白い反応だ。

ちなみに私もそんな感じの思いをする動物が、たった1匹だが存在する。

ゴキブリ?
違うな。

あれは人を驚かすようだが、
母親が悲鳴を上げるから怖くなってくるのだと思っている。

実際そんなに恐ろしく変な動きはしない。
隠れるか、出てくるかのどちらかであり、

駆除には時間はかからぬ。
今は性能がいいようでもがくことも少ないだろう。

そいつじゃない。

確かに害虫だ

ミールワームのように細長く、毒々しい色。何本もある足。

ええ。ムカデだ。

私はムカデは苦手なのだ


ある時。私が生徒だった時の話だ。
部活の終わりに、私は片付けで箒をはいていた。

廊下を担当になり、私はせっせと向かった。いつもの窓のある廊下には、とてつもなく巨大なムカデがいた。
ちりとりに乗せると、体調がちりとりの横の幅の9割くらいになっただろうか。

私はその時、ムカデは他の虫と同じような認識だった。ただ、生物については少し興味があったので、毒があることも知っていた。

赤赤とした警戒色。そして、ムカデは私がちょうど掃きたいところにいてじっとそこを動かなかった。

私は誰もいないことを確認し、
「よけてほしいんだけど。掃くぞ」
と言った。

私はある程度虫に言葉は通じると思っている。
蜂が水撒きのときよってきたときに、「どっかいって。怖い。」と言うとこちらに怒りの眼差しを向け、威嚇してきたことがある。しかし、本気で攻撃というより、私には、
「今日は乾いている。俺は水を飲みに来ただけや。攻撃するつもりはない。ほっておけ。」
と聞こえた。

威嚇してきたとき、私は天候を確認した。

その日はカラカラに乾いた日で、ハチものどか乾いているのだ。
まあ仕方ないか。と思い私からうんと離れたところで水を飲むことを許してあげた。

近すぎると私も水を武器に威嚇する。
威嚇し合いながら、水撒きを終えて、逃げるように家に入る。


…ということもあった。

だから、私は虫にも言葉は通じなくてもある程度感情は伝わるし、

ハムスターにだって感情は伝えることができると信じている。

そして、そのようにムカデに声をかけた。
だが、こちらに喧嘩を売るように、じっと動かない。
そいつは、わかって動いていないというのを直感した。

そう。私が素手で触れないことも、人間は刺されたら危ないことも、ムカデは知ってるのだ。

むかつく性格なやつ。と思いながら、私はそのムカデに教えてやった。

人間は道具を使う。
お前なんか、道具を目の前にしたらなすすべないんだぞ。

そう思い、箒を逆さに持ち棒の方でムカデをつん、と小突いてやった。

すると、どんな反応をしたと思う?

他の虫なら例外以外は逃げ出す。

ムカデだって個体によって逃げるはずだ

しかし、そのムカデは私に攻撃してきた。

何も箒をつたって私を刺した、とかではない
箒の柄に噛み付いて離れない、とかでもない

視覚的攻撃だ

そいつは、そんなことする?と思う行動に出た。
その場で逃げずにのたうち回るようにひっくり返ったりしながら、
うねうねくねくねしだしたのだ

私はうっとなった。
そいつは逃げるわけでもなくのたうち回る踊りをする。
思いもがけないその動きに、私はその場を逃げ出した。

やつらの戦略だろう。

そうすれば人間は逃げると、
思っているのだ

そう。学校にはムカデ用の殺虫剤なんて置いてない。(そもそも虫ではないが)

シュッとされなければ、あとは小突かれるくらいだ
人は殺虫剤さえなければ最初から殺意で虫をあやめたりはしないものだから、
触られても害はない。擦り傷くらいですむだろう。

そして、うねうねすればたとえ知恵のある人間でさえ、
いや、知恵のある人間だからこそ、効果があるワザなのだ

それから私はムカデだけは嫌いだ


あれを飼っていると言われれば私は心の中で嘔吐するほどだろう。

しかし、見たことのないミールワームの話をしただけで嫌がるとは、なんとも興味深い。

面白そうな反応をする標的を見つけては、言ってみて面白がるのが今の日課である。