事件が起こった

朝起きるとミールワームケージの近くにいた、足が速くてケージも登れる、羽の生えたやつ。
昆虫だ。
ええ。これはミールワームの成虫ではない。
そして家の中でも見たことないやつだ。

私が最も恐れていることだ。
ミールワームケージは、ふすまというものを大量に敷き詰め、水分も野菜からもらえる。

私は少しだけ昆虫の勉強をしたから、昆虫の先生のこんな言葉が蘇るわけだ。
「昆虫は哺乳類が使えないような有機物だって巧みに利用し栄養にする」
「どんな水分でも利用できるため今まで生き残ってこれた」

ええ。
ふすまという有機物に、キャベツなどの水分。

そりゃあ、他の奴が繁殖してもおかしくないだろ、と。

いや、もしかしたら、他の人たちはミールワームしかいなかったり、あたかも気をつけるべきはダニだ、とか書いてあったりするから、
私は他の昆虫は来ないだろうと油断していた。

12時間のうち6時間は野菜が入る。

半日に1度の食事。

そんなミールワームケージに、
足の速くて、ケージも登れる、飛べる虫がやってきたのだ。

たった2日で成虫になるやつがカップの中にはいっていたとは考えづらい。
しかも1匹しかいない。

こいつは家の中で、私の目をくらまし生きていた何かの昆虫のメスだろう。
しかもここを好条件として選び産卵しに来た。
そういうことであろう。

一応言っておくが私は昆虫は嫌いだ。
家には数年前から、なんと言ったかな、なんちゃらガが居座っている。
穀物につくやつで、洋服なんかも食う。
そいつは私がゲームをしてくるとき、ぱっと目の前に現れは消え、また現れる。
鬱陶しい。
しかも私の洋服も穴だらけになる。

こいつは害虫だ。
だが一向に駆除しきれず居座っている。

全部消そうがどこかにいる。
やつらは秋と春に大繁殖する。
だから私の目の前に来たときにはそばにある殺虫剤をシュッとして換気する。

でも今年はあまり見ていないな。
そういえば今年の秋は至って平和だな。

と思っていたのだ

だがやはり来た

私の恐れていたことである

新しい動物を飼うということはそれに付属して昆虫類がついてくるもんだ

水槽なら苔のほうが問題だが水槽の苔と同じくらいの確率でついてくる。
一番ひどかったのはうずらだった
あいつらはハエやコバエを呼ぶのだ

ミールワームにもそういうのがいるのかもしれない

この時点で捕まえどの昆虫か判断すればまだ対策できただろう

私は見つけた瞬間この家に長年住んでいた本能からか潰してしまった
いや、私はある程度手加減したのだ
手加減したら、原型とどめたまま動かない状態になった。気絶である。
標本作るときにはよく、プチッとなるまで行かないと、刺したあと暴れるから思い切っていけ、と言われるが、
昆虫は胸を圧迫されるとまず気絶するのだ。
そいつはその状態になった。
私はしめたと思ったが数秒だった。
そいつは復活も早かった。
もう少し強く圧迫したが強すぎた。

最悪である
やつはとても速くて、2日目のミールワームの2分の1ほどの大きさだ。羽は模様があり黒ベースに白の模様が入っていた。

模様。そう。これも昆虫の種類を判断する上に結構手がかりとなる。
触ってはだめなのだ。
今回模様はわからなくなったし、形も変形した。

カップとかで捕まえるべきだったのだ

そいつはメスだろう。
そして、ワームたちより周期の短い昆虫なら、
繁殖してしまうかもしれない。
ワームはサナギを食べるから、そいつらを食ってくれると良いのだが、
やってくれるだろうか。

よし。今日もワームの世話をしよう。