【感想】舞台 バクマン | かんそう帳

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ネタバレなどは気にせずに、見たものの感想を、自分のタイミングで記載します。まったり。

 

舞台『バクマン。』

 

先日、見てきました。

舞台セットは、漫画のコマや吹き出しが散りばめられていて、全体的にモノクロでシンプル。

 

演出

 

セットが動いたりなどもありません。

ただ、時々あたるライトがプリズムのようにカラフルで、綺麗でした。

 

一番印象的なのは、板の上に水が張ってあるところ。浅いプールのような感じです。

 

最初のアナウンスで

「最前列はフェイスシールドと、レインコート…」

と流れてきて、聞き間違いかと思いました。


コップの水でもかけるシーンでもあるのか?
小雨のシーンでもあるのか?と、想像しました。

全然違いました。

最初から最後まで、水の上を走ったり、バシャバシャしたり…!


役者さんたちは濡れた板の上を駆け抜けていくので、滑ってしまわないか、開始後しばらくはドキドキしていました。


終始、滑っているような感じはほぼ無かったので、

そういう靴なのか、板の上に加工がされているのか、と思います。すごい…。

濡れているところを走るのもヒヤヒヤしましたが、
水の中を走ること自体が重石をつけて走るのと同等くらいとても体力がいることなので、

ある意味ヒヤヒヤしました…。

水の上で大きく跳ねたり、水をかけあったりすることで、感情の起伏や溢れ出るアイディア、その熱量などを表現しているの斬新で面白かったです。


あと、水面を壁にうつすの、

ゆらゆら神秘的で、すごく綺麗でした。

水の上を移動する人を俯瞰で壁に映す演出、
録画された映像ではなく実際の映像がそこに映されているの、舞台ならではの臨場感も相まってよかったです。

こんな表現が可能できるのならば、

プールとか海とかでも舞台にできちゃいそうで、ソワソワしました。

見終わってから考えてみますと、たしかに、
「漫画を描く」のはスポーツ等と違って派手な動作ではないんですよね。

実際、わたしも今回の舞台化、観劇前までは

プロジェクションマッピングをたくさん使って、

アトラクションのような仕上がりを想像しておりました。

浅はかでした……お恥ずかしいです。

マッピングのシーンももちろん要所にあるのですが、使い方がシンプルでカッコよかったです。


実在のジャンプの漫画のシーンを背景にマッピングするのとか、

週刊少年ジャンプ全面協力!のようなパワーを感じて、安心感がありました(笑)

キャラクターの登場人物紹介のイラストは、
原作のシーンでしょうか…?小畑先生の描き下ろしなどだったら、すごいな〜と思いました。

あと、水の流れに文字を映すやつ。
テーマパークのショーや噴水などでしか見たことなかったので…まさか、銀河劇場であれができるとは。

いろんなパワーを感じました。


個人的に最近は、お話を丁寧になぞるような作品をみる機会が多かったので、
お話をかいつまんで進むような本作は新鮮でした。

長めのMVみたいな、
良質なコントのような。
そんな印象を受けました。

短いセリフを皆さんで繋ぐのとか、
街の喧騒などのノイズとか、

「ザワザワ」「カチカチ」などを

演者さんが口頭で再現しているのとか。


ザ・エンターテインメント!

という作品だなと思いました。

バクマンの実写映画も、
お話をきれいになぞる…というより、

アレンジが面白くて勢いのあるカッコよさがあったなと思うんです。


舞台も、同様の印象でした。

サカナクションさんの新宝島、絶対似合います!

 
 

登場人物

 

シュージンとサイコーキャストさんが発表されたときは逆の印象があったのですが、

お二人共見事にハマっておりました。

 

実写映画のときにも思った記憶があります、

役者さんってすごいですね…。


学生ならではの若々しいパワフルさ、

ワクワク感がとっても伝わってきました。

見ているこちらもウズウズしてくるといいますか…元気をもらえる感じがしました!

別の作品で拝見する印象ですと、

お二人とも技巧的な演技のイメージがあったので

本作では感情的な役柄をされているのが新鮮でした。

きっと意図的に、テクニックでそれを再現されていると思うので、本当にお上手なんだなぁ…と実感します。

 


シュージンは、

もっと小賢しいと思ってたんですよね。

荒牧さんが演じられるなら、なおさら。


でも、全然そんなことなくて。

賢さゆえの苦悩とか、ちょっと垣間見える闇の部分は勿論なのですが、そこからパッと切り替わる。

 

アイディアの引き出しの多さ、ずるさ、

年相応のカラッとした明るさ、サイコーへの信頼、

短い中に全部がちゃんと表現されていて、

シュージンらしく魅力的でした。


サイコーも、

圧倒的な主人公で素晴らしかったです。

 

重厚感たっぷりの三日月さんと同じ方が演じているなんて…、想像もつきません…。


サイコーってキャラクターが

「普通っぽい」と思うのですが、本当にそのとおり。

 

フレッシュで、エネルギッシュな、

ジャンプの主人公がそこにいて、びっくりしました。

 


サイコーとシュージン、

実はそれぞれ別々の場所で行動しているシーンも多かったような気がするんです。


でも、二人の絆のようなものが感じ取れて、

しっかり胸が熱くなるんです。

背中を預けて戦闘しているわけでもないのに…。

 

同意とか、応援とか、

そういうちょっとした短いシーンでも信頼感がひしひしと伝わってくるからなのだろうな、と。

簡単にだせるものじゃないですよね、すごいな〜!


河口たろうの片桐さんも、

とてもよかったんですよね!


叔父さんって、序盤に亡くなってから、

そんなに出番が多いと思ってなかったんです。
ビジュアルも原作に寄せていなくて…

どう見せてくれるのだろ〜?思っていたのですが、

大事な役回りを担っていて素晴らしかったです。

 

物語のストーリーテラーや、ツッコミとして、

後半まで結構登場されていたんですよね。

 

片桐さんの河口たろうがなかったら、

全く別の仕上がりになっていたと思うんです。

その点ですと本作においては、

出演者のみなさんに当てはまっちゃうんですけど…!


恐縮ながら自分はコントにはあまり詳しくなかったのですが、きっと、そのままなのかな。という想像がふくらみました。

ご出演作、見てみたいなと気になりました!


多忙で倒れてしまったサイコーに
「ちょっと休め」と病院で叔父さんが言うシーン、
サイコーのパーカーを直しながらの仕草が自然で柔らかくて、すごく温かいきもちになりました。

毎回決まった仕草なのか、

その回の鈴木さんのパーカーが気崩れていたから手を伸ばしたのか…、気になります…!


今回は省略させていただきますが、
他の出演者さんもみなさん個性が光っていてすごくよかったです。

 

9名みなさん役柄にドンピシャに当てはまっていて、

アンサンブルさんのような役回りもこなされていて、

緻密に作られているのに賑やかなバクマンの世界観でした!



全体的に、クスッと笑える場面も多くて。


連載会議のときの漫画の再現とアドリブとか、

それを審査している人が笑っちゃっていたりとか。
亜豆ちゃんが仮面で再現されているところとか。
仕事を減らしたいことに全力のラッコとか。

(原作ままですね!)

 

舞台作品だけどコミカルで見やすい、

だけど実写映画よりも生々しい。

2.5次元舞台を誰かに推奨する場面があったら、

是非上げたい作品だな〜と思いました!