この病気になると寝たきりになってしまうと心配して外来を受診される方が多いので、今回は骨粗鬆症についてお話しします。

 骨は皆さんがご存じのように、とても硬く丈夫なものですが、実は、骨を溶かしカルシウムを血液中に放出する破骨細胞と、カルシウムを骨に取り込んで骨を作っている骨芽細胞の両方のバランスの上に一定の強度を保っているのです。いろいろな原因でこのバランスが崩れ、骨を溶かす破骨細胞の働きの方が強くなると骨が弱くなり骨粗鬆症になります。

 原因としては、宇宙の無重力、筋力低下、運動不足などの機械的刺激の低下、ビタミンDの不足・活性低下、女性ホルモンの低下、カルシウムの摂取不足が主なものです。

 女性では閉経以後の女性ホルモンに低下により60歳頃から急激に骨量が減り、35歳頃の一番骨量が多い時期の70%以下になると骨折し易くなると言われています。

 但し、骨粗鬆症というのは、骨折さえ起こさなければ全く症状がありません。

 また、骨折を起こしても適切な治療を行い早期に離床を図れば、寝たきりになることはありません。皆さん、心配しすぎです。

ほとんどの整形外科医は、骨粗鬆症は正常な老化現象であって病気とは考えていません。骨量が年齢平均の20%以下の場合は治療を考えた方が良いと思います。

 戦後の食料事情が悪く苦労された、痩せた小さな老婦人が、今、骨粗鬆症で問題になっていますが、現在中年太りで体型を気にしていらっしゃる中年女性は、骨粗鬆症については、ほとんど心配ありません。

 逆に、あまり太ってもいないのに一生懸命ダイエットしている若い女性は、将来骨粗鬆症になる危険があります。

 骨粗鬆症の予防で最も大事なのは、35歳前後の骨量をいかに上げておくかということなのです。

 閉経後に骨量が少ないと言われたら、骨を丈夫にするには3つの原則があります。
 1つは運動です。
 骨に適度の機械的刺激を与える事が必要です。30分位散歩が出来れば理想的です。

 2つ目は日光浴です。
 紫外線に当たらないと骨を作るビタミンDが活性化されず働く形にならないにです。

 3つ目はカルシウムの摂取です。
 1日に600㎎必要と言われていますが実際には1200㎎取ったほうが良いという意見もあります。

 ただ、日本人が一番吸収が良いとされる牛乳でこれだけのカルシウムを摂ろうとするとコレステロ-ルが上がってしまいます。ヨ-グルト、小魚、ひじきなどの海草類、女性ホルモン様物質を含み骨粗鬆症に良い豆類などいろいろな食品をバランス良く食べるのが良いでしょう。

 検診で骨量が少ないと言われても、あまり心配しないで、のんびりお散歩したり、ひなたぼっこをしたり、美味しい物を食べたりしていれば大丈夫です。

 心配な時は、外来でお気軽にご相談下さい。