北条氏政ですが、後北条氏の四代目ということで

、三代目氏康の存在感が大きすぎるのか

影が薄くなってしまっている印象があります。

また、北条氏滅亡と合わせて論じられることもあり、

暗愚なイメージさえありますよね。

個人的には氏康と顔が似ているなーというのが

素朴な感想です。
 

ところで、氏政に関する貴重な著作である本書は

氏政が暗愚な大君であったかどうか、史実から客観的な再評価を試みたものです。

 

本書が語る氏政の実像は、内政・外交に長けた知将であるとのことで、

たしかに後北条氏の最大版図を実現したのは氏政であるし、

しかも、領国周辺では武田、上杉、佐竹、里見などの地域の有力勢力が

しのぎを削り、 西から最大勢力の織田が進出してくるという状況の中で

治世を行ったというのは、凡将にはなしえないことと言えます。

 

とはいえ、最終的に一族の滅亡を招いているので

本書が指摘するような名君であるとは言えないように

個人的には思います。もっとも、この点は本書を読んで

読者各人が最終的な評価を下すべきでしょう。