源実朝というと最も知られているのが鶴岡八幡宮での暗殺かと思います。
公暁ら数人に襲撃され、絶命したということで、享年は28歳です。
しかも、実行犯である公暁もすぐに討たれ、源氏の嫡流は絶えてしまいます。
この一件について、黒幕には諸説あり、北条義時であるとも、三浦義村であるとも、
いわれておりはっきりしません。このため、小説の題材になりやすいところですが、
本書もその一つです。本書は歴史小説ですが、法廷小説のような体裁です。
弁護士・上杉三郎、検事・新井白石、依頼人・北条政子、被告人・北条義時、複数の証人
という配役で、暗殺事件の真相に迫ります。歴史上の人物が証人として
次々に登場し、建保6年に大銀杏の下で起きた事件の真実が明らかにされます。
犯人はいったい誰なのか、そしれ最後に待ち受ける、事件の真相とは。
内容はネタバレになるので詳細には書きませんが、推理としては秀逸です。
私自身、将軍が公の場で暗殺されるという状況そのものに疑問を感じていたので
本書のような考えを提示されたために
長年の疑問に答えが示されたように感じられ、
爽快感さえ覚えました。