噴水の周りは待ち合わせスポットだ。それを考慮してベンチも置いてあるが、男は海沿いの柵に凭れて立っていた。180、いや190はあるだろうか。コートではなくグレーの二重回しのマントを着てレトロな雰囲気に包まれている。
マントにはなんの装飾もないが、風に揺れる銀髪が艶やかで美しい。たまに見える耳朶に翠の光が見えるのでピアスでもしているのだろう。男は紫煙を吐いているが、手に
しているのは紙巻ではなく銀の煙管だ。ピアスと煙管、アンバランスな二つが二つとも男に似合っている。周囲の女は先ずは男の左手の薬指を見つめるが、残念な事に銀色の指輪がぴたりとはめられている。不躾に写メしている者も居るが、後で確めれば白い靄で男ははっきりとは映っていないはずだ。

暫くして人待ち顔だった男の唇が弧を描いた。

現れたのは白いコートにシルバーの毛皮をあしらったコート姿の女で柔らかく結い上げた金髪が目映い。大晦日故、皆着飾り目を引く美人も多々居たが、女は現れた途端に周囲を圧倒して場を支配した。彼女は美しいだけでなく何ともいえない華やかさと芳香を纏い目を引かずにはいないのだ。男は腕を広げて女を冷たい風や他の全てから護る様に抱き寄せた。女は頬を染めて男を見上げて笑いかけた。
男は衒いも照れもなく慣れた所作で女の顎を救い口づけた。映画のワンシーンの様で周囲にスタッフの姿を確認する者もいる。
しかし、その様な者が居るはずもなく男のエスコートで二人は停泊している船に姿を消した。
船が動き出すと街のライトアップがよく見える。

「寒ぃのか?顔が赤ぇが」

「いえ、貴方を見た瞬間、ドキドキして………」

「二百年も連れ添った古亭主にときめいてくれてありがとよ」

「あら、千年が万年でも気持ちはへたれませんよ」

クスクス笑いながら乱菊は冬獅郎を見上げる。

「お前ぇが年々可愛くなってたまらね。つか、いい加減中に入るかお前ぇが冷えて来た」
じゃれ合う様な他愛ない会話が楽しい。会話の多い夫婦たが、普段は、親として又は仕事の会話が多くなる。今は『お父さんとお母さん』ではなく『隊長と副官』でもなく『冬獅郎さんと
乱菊』だ。
冬獅郎のエスコートで船内に入るとレストランでばなくコンサートホールで第九の合唱が始まっていた。人々は歌う、

『ひとりの友の友となるという
大きな成功を勝ち取った者
心優しき妻を得た者は
彼の歓声に声を合わせよ

そうだ、地上にただ一人だけでも
心を分かち合う魂があると言える者も歓呼せよ

そしてそれがどうしてもできなかった者は
この輪から泣く泣く立ち去るがよい』
心を分かち合う魂の
部分で冬獅郎は乱菊の手を握った。
この女が居らねば己は泣く泣く去る者達に連ならねばならなかったかったかもしれない。

曲が終わるとアナウンスが流れた。
『これにてコンサートは終了いたします。引き続きダンスタイムを開催いたしますので、是非ともご参加ください。尚、コンサートシートは収納されますので、お手数ですが、一旦、壁際までおさがりく冬獅郎にエスコートされて壁際に立つと椅子が床に収納されでいく。椅子は折り畳まれ床に収納されでいく。

「きゃあっ」

どうやら、最後部に居た女性ののドレスの裾が捲き込まれたらしい。冬獅郎は一瞥しただけで乱菊のショールを肩に掛け走り出し女性を力任せに抱上げた。ドレスのスカート部分が破れた女性をストールでくるみオロオロしている父親らしき人に預けて涼しい顔で乱菊の元に戻り群がり初めていた男達をい殺しそうな目で蹴散らかした。場を
取り繕う様に、楽団がワルツを奏で始める。既にフラットになったフロアに何組かが踊り始める。冬獅郎も乱菊の手を取りステップを踏みながら踊り出た。冬獅郎は子古風なフロックコートの三揃えでグレーに細い銀のストライプが入っている。フラワーポケットの銀の花はアイリスか。兎も角白を主体とした服装だ。対して女は身体にピタリとした黒のアンダードレスを柔らかく包み込む花弁の様に肩から
シルクのリバーレースを掛けウエストで共布のレースで結んでいる。レースはそのみスカート部分に流れ、東洋の衣服に詳しいものが見れば打ち掛けの様だと思っただろう。飾り気はなく唯一白い喉に巻いたオーロラムーンレインボーの細い金色と肩に懸かった金の髪が黒を引き立てていた。
比較的緩やかなワルツは『金と銀』二人は金波銀波の様に、ゆったりと踊った。
正しく『金と銀』
だが、居合わせた者達の印象に強く残ったのは、その美麗さばかりでなく、硬質な雰囲気男の口元に絶えず浮かんだ慈しむ様な優しい笑みと夫を見上げる女の幸せそうな、どこかはにかんだ愛しげな眼差したで二人の醸し出す幸せな様子だった。


船はいつの間にか港に戻っており停泊船が一斉に霧笛をあげた。
辺りは靄に包まれており、幸せな二人は静に姿を消した。


「急げ乱菊。尸魂界に戻って、着物コスプレせにゃならん。子供達もお年玉を待っている」




クリスマス様に柿初めて間に合わす大晦日も間に合わす中途半端になりました。あたくし、四日から入院しますので花見までにはもどってきたあなぁわわ




噴水の周りは待ち合わせスポットだ。それを考慮してベンチも置いてあるが、男は海沿いの柵に凭れて立っていた。180、いや190はあるだろうか。コートではなくグレーの二重回しのマントを着てレトロな雰囲気に包まれている。
マントにはなんの装飾もないが、風に揺れる銀髪が艶やかで美しい。たまに見える耳朶に翠の光が見えるのでピアスでもしているのだろう。男は紫煙を吐いているが、手に
しているのは紙巻ではなく銀の煙管だ。ピアスと煙管、アンバランスな二つが二つとも男に似合っている。周囲の女は先ずは男の左手の薬指を見つめるが、残念な事に銀色の指輪がぴたりとはめられている。不躾に写メしている者も居るが、後で確めれば白い靄で男ははっきりとは映っていないはずだ。

暫くして人待ち顔だった男の唇が弧を描いた。

現れたのは白いコートにシルバーの毛皮をあしらったコート姿の女で柔らかく結い上げた金髪が目映い。大晦日故、皆着飾り目を引く美人も多々居たが、女は現れた途端に周囲を圧倒して場を支配した。彼女は美しいだけでなく何ともいえない華やかさと芳香を纏い目を引かずにはいないのだ。男は腕を広げて女を冷たい風や他の全てから護る様に抱き寄せた。女は頬を染めて男を見上げて笑いかけた。
男は衒いも照れもなく慣れた所作で女の顎を救い口づけた。映画のワンシーンの様で周囲にスタッフの姿を確認する者もいる。
しかし、その様な者が居るはずもなく男のエスコートで二人は停泊している船に姿を消した。
船が動き出すと街のライトアップがよく見える。

「寒ぃのか?顔が赤ぇが」

「いえ、貴方を見た瞬間、ドキドキして………」

「二百年も連れ添った古亭主にときめいてくれてありがとよ」

「あら、千年が万年でも気持ちはへたれませんよ」

クスクス笑いながら乱菊は冬獅郎を見上げる。

「お前ぇが年々可愛くなってたまらね。つか、いい加減中に入るかお前ぇが冷えて来た」
じゃれ合う様な他愛ない会話が楽しい。会話の多い夫婦たが、普段は、親として又は仕事の会話が多くなる。今は『お父さんとお母さん』ではなく『隊長と副官』でもなく『冬獅郎さんと
乱菊』だ。
冬獅郎のエスコートで船内に入るとレストランでばなくコンサートホールで第九の合唱が始まっていた。人々は歌う、

『ひとりの友の友となるという
大きな成功を勝ち取った者
心優しき妻を得た者は
彼の歓声に声を合わせよ

そうだ、地上にただ一人だけでも
心を分かち合う魂があると言える者も歓呼せよ

そしてそれがどうしてもできなかった者は
この輪から泣く泣く立ち去るがよい』
心を分かち合う魂の
部分で冬獅郎は乱菊の手を握った。
この女が居らねば己は泣く泣く去る者達に連ならねばならなかったかったかもしれない。

曲が終わるとアナウンスが流れた。
『これにてコンサートは終了いたします。引き続きダンスタイムを開催いたしますので、是非ともご参加ください。尚、コンサートシートは収納されますので、お手数ですが、一旦、壁際までおさがりく冬獅郎にエスコートされて壁際に立つと椅子が床に収納されでいく。椅子は折り畳まれ床に収納されでいく。

「きゃあっ」

どうやら、最後部に居た女性ののドレスの裾が捲き込まれたらしい。冬獅郎は一瞥しただけで乱菊のショールを肩に掛け走り出し女性を力任せに抱上げた。ドレスのスカート部分が破れた女性をストールでくるみオロオロしている父親らしき人に預けて涼しい顔で乱菊の元に戻り群がり初めていた男達をい殺しそうな目で蹴散らかした。場を
取り繕う様に、楽団がワルツを奏で始める。既にフラットになったフロアに何組かが踊り始める。冬獅郎も乱菊の手を取りステップを踏みながら踊り出た。冬獅郎は子古風なフロックコートの三揃えでグレーに細い銀のストライプが入っている。フラワーポケットの銀の花はアイリスか。兎も角白を主体とした服装だ。対して女は身体にピタリとした黒のアンダードレスを柔らかく包み込む花弁の様に肩から
シルクのリバーレースを掛けウエストで共布のレースで結んでいる。レースはそのみスカート部分に流れ、東洋の衣服に詳しいものが見れば打ち掛けの様だと思っただろう。飾り気はなく唯一白い喉に巻いたオーロラムーンレインボーの細い金色と肩に懸かった金の髪が黒を引き立てていた。
比較的緩やかなワルツは『金と銀』二人は金波銀波の様に、ゆったりと踊った。
正しく『金と銀』
だが、居合わせた者達の印象に強く残ったのは、その美麗さばかりでなく、硬質な雰囲気男の口元に絶えず浮かんだ慈しむ様な優しい笑みと夫を見上げる女の幸せそうな、どこかはにかんだ愛しげな眼差したで二人の醸し出す幸せな様子だった。


船はいつの間にか港に戻っており停泊船が一斉に霧笛をあげた。
辺りは靄に包まれており、幸せな二人は静に姿を消した。


「急げ乱菊。尸魂界に戻って、着物コスプレせにゃならん。子供達もお年玉を待っている」




クリスマス様に柿初めて間に合わす大晦日も間に合わす中途半端になりました。あたくし、四日から入院しますので花見までにはもどってきたあなぁわわ




























ハロウィーン、いい夫婦の日に続いてクリスマスまでま~に~あ~わ~な~い~!!
さすがに年越したらシャレにならないので年内目指します……クリスマス……めぇ

「おい、頼む」


どさりと、ベッドの端に腰を下ろした冬獅郎の髪は水気は最低限、拭ってあるが、いかにも湿ったままの鈍色をしている。
乱菊は何も言わず道具の入った篭を持って冬獅郎の背後に腰を下ろした。先ずは肩にタオル置き。継いで頭に置いたタオルで水気を取りながら地肌をマッサージする。
冬獅郎は先天性の乱視なので、視神経や内眼筋を酷使するので眼精疲労や頭痛を起こし易い。なので、乱菊は四番隊でマッサージを習った。冬獅郎が少年の頃、その見事な銀髪をあまりにも無造作に扱うのを見かねて髪の始末を申し出た。『餓鬼じゃねぇ』と、お冠りだったが余程、心地好かったのだろう。次からは風呂上がりに黙って乱菊の
前に座るようになった。そして、それは今もっての習慣だ。

前髪は旋毛の位置の為に勝手に立ち上がる。ただ、後ろ髪は少年期と異なりモフモフ感が薄れ、しなやかに流れている。少し伸びて来ていて銀の滝のようだ。乱菊は温風を当てながら頸の付け根から頸骨の周りをほぐしブラシ型のイオンドライヤーを切り、肩を解してからタオルを取る。冬獅郎のは乱菊に凭れて浅い眠りに落ちている。乱菊は冬獅郎の上体を、そっと横たえてからベッドを降り足を抱えてベッドに乗せ落ちない様に奥に押した。そして、風呂を澄まし寄り添う様に身を横たえた。
隣に温もりを感じた瞬間、眠っている冬獅郎の唇が弧を描いた。
そうして、暫くは穏やかな二人の寝息だけが聞こえていたのだが、
夜半月が高く昇った頃冬獅郎は布団の中で向きを変え乱菊に覆い被さった。と、眠っている乱菊の腕がスルりと冬獅郎の背に回りぎゅっと抱きついてきた。そして、幸せそうに笑うのだ。

(何だ。この可愛い生き物は)

冬獅郎は乱菊を抱えて、そっと身体を上下入れ替え、遠慮なく胸元を暴いた。
日番谷冬獅郎、愛妻に抱き着かれて何もしないほど枯れていない。
早速慣れた所作で眠る女の身体を暴いていく。行為には慣れたが変わらす胸は高鳴る。それは初めて手に入れた時から変わらない。腕の中で乱菊の身体はうねり跳ね吐息のような甘い声が布団のなかで響く。僅か数回の抽挿で震える乱菊の中に欲を吐き出した。
そうして、ゆったりと乱菊を腕に抱いたまま目を
閉じた。

現世に命が在った頃の記憶などない。神など信じた事もない。

けれど、冬獅郎は思う。
二度の生で今ほど幸せはなく。
腕の中の女以上の授かり物はないと。
身体を繋げる事はさして必要ではない。ただ、そばで見つめ合うだけで幸せだ。ただそれでも稀に想いが溢れそうになって
堪らなくなり身体を重ねる。欲ではなく思いを吐き出す為に。
見つめる冬獅郎に
応える様に乱菊が頬を刷り寄せた。

夜の静寂の中、月だけが一人の男の幸せを見つめていた。