お父さんがいぢめる……鷹

「鷹、名前書いてみろ」
置かれた半紙に渋々書くと
「お前、ま垂れの中がごちゃごちゃじゃねぇか」
「えっと、草書だから?」
「自信無さげに思い付き言ってねぇで楷書で書け」
更に渋々書くと
「垂れの中がごちゃごちゃだな」
「だって、線が多いから一体化するんだもん」
「威張るな。ほれ、鷲と隼も書いてみろ」
いや、三人全部画数多いんですが、
「上下のバランス悪いな、おい」
「画数多いとこは間隔開けないと黒くなるから」
「にしても、頭でっかちの隼と下半身肥大の鷲だな。よし、次は名字書いてみろ」
うちは名字も線が多い。
「日、ごちゃ、谷。次は十と一と川だ」
たまぁに、お父さんは僕が馬鹿だと思ってんじゃないかと疑いたくなる。
「なるほど……お前ぇ、手習いをサボってたな」
(なんで判ったんだろ)
「基本的な力のいれ方が、なってねぇ。ちょっと待てよ」
お父さんは僕の背後に廻って手を添えた。すると
「あぁら、綺麗な線」
「って事で頑張れ鷹」
お父さんはにこやかに手習い帳を手渡した。
「これ毎日?」
「毎日やらんと上達しねぇ」
(鷲と隼と交代でやろ)
「あぁ、鷲達と交代でやると判るからな」
「さ、悟」
「親を妖怪扱いすんな。まぁ、頑張れ」
本日完敗なり。
あぁ、山田さんか田中さんちに生まれたかった。
つうか日(ひ)と谷(や)はともかく番で『つが』て何?
隼に愚痴ると
「『つがい』って読むから?」
と自信無さげに言った。
真偽は京楽隊長か平子隊長に聞こうっと。