「火食い鳥ってて、お父さんみたいだ」
「「「どちて?」」」
「火食い鳥は雛連れて散歩に行くんだけど、たまに一羽置き去りにすんだ…クックック…前に甘味屋に鷲を忘れて来て大騒ぎ」
「ちゅうね、とぅたに待ってって言ったのにずんずん行っちゃたにょ」
「お父さん、考え事してるとたまに意識飛ぶからな。昔、僕と兄ちゃんを小脇に抱えて走ってて僕が、すっぽぬけて落ちたのに気付かず置き去りになったんだ」
「それで、どちたの?」
「お父さんの霊圧をたどって帰ったら、途中でお母さんに会った」
「とぅたは?」
「気の毒なくらい、お母さんに怒られて撃沈してた。あの時のお母さんは怖かった」
三つ子は小首を傾げて怖い母を想像したが上手くいかなかった。
冬獅郎と乱菊が戻ると上の子供達は居らず三つ子がテレビを見ながら、ぶつぶつ言っている。
「とぅた、雛ちゃんが一羽茂みに引っ掛かったにょ」
「とぅた、雛ちゃん忘れちゃダメだぉ」
「雛ちゃん置いて行かれて一羽になっちゃた」
「「「ダメでちょ、とぅた」」」
「おい、何してる?」
「火食い鳥のお散歩見てるにょ。にぃたが、とぅた火食い鳥みたいって」
「あっ?」
「とぅた、ちゅうを甘味屋ちゃんに忘れた」
「途中で気づいて迎えに行っただろ」
「ちゅう…忘れられた…」
「悪かった」(お前ぇは存在感薄いんだ)
「「「かぁた、お花」」」
「作ったの?上手ね。ありがとう」
「「「ねぇたに教わったにょ」」」
造花を受け取った母は丁寧に置きタンスの上の小瓶に活けた。
後日、大工が竿を立てると虎次郎が屋根に登り竿の先端の輪に縄を通した。それを竜太郎がピンと張り登っていた庭の竿の先端の滑車に通し一番下にくくりつけた。
虎次郎は手拭いを取り出すと折り畳み縄に掛け滑り降りた。
やはり、三つ子が見ている。
「お父さんと約束しよう」
一瞬、『またかい』と三つ子は思ったが直ぐに大人しく父親を見上げた。
「虎次郎の真似をしてはいかん。そもそも屋根や竿を登ってはいかん」
「「「はい」」」
くくりつけていた縄を緩め地面に下ろし鯉のぼりを結び付け再び縄を張る。
鯉のぼりは一応は棚引いた。
「よく乾きそだね」
相変わらず茶々を入れる次男を一睨みして
(取り敢えず良しとしよう)
来年までには倒れない竿を技開に作らせようと冬獅郎は思った。斜め鯉のぼりで息子がグレたら面倒だから。
父親の苦慮も気にせず息子達は運ばれて来たちまきに群がっていた。