中央に出た冬獅郎と更木は睨み合った。
それだけで十二番隊の鍛錬場が嫌な音を立てる。
勿論、双方共に
霊圧は抑えている。
人と物の修繕の為の金欲しさの合同訓練で更に物を壊しては仕方ない。
狛村に慰められたミニ乱菊は竹添に菓子を貰い、やちるの隣で仲良く観戦している。
(今の松本は俺が解らねぇ。寧ろ直前に所属してた隊の更木に親近感があんだろな)
隊長就任以来、乱菊の応援の全ては冬獅郎に向けられて来た。
それがないのは寂しいが、それでもやはり己を見つめる一対の青灰色の瞳に報いるだけである。
軽い足取りで先に踏み込んだのは冬獅郎だった。
恐れ気もなく更木の間合いに入り込むと、一刀毎に間を詰め更木と至近距離で睨み合う。
視線だけで射殺しそうな更木に怯む様子もなく飛翔しながらも打ち付けて行く、やがて更木の頭上を窺う位置に来ると上段から振り下ろした。
しかし、更木とて一隊を預かる身。
野獣と呼ばわれようが攻のみではない。
空中からの電光石火の一振りを頭上に木刀を水平に構える事で防ぐのみならず、そのまま押し上げて壁にぶっ飛ばす。
しかし、冬獅郎は翼有る者の様に巧みに体を拈り回転して方向だけを変え吹っ飛ばされた威力は殺さずに頭から激突予定だった壁を蹴って更木に突っ込んだ。
前方に構えられた切っ先はピタリと更木の喉笛に向けられていたが寸でで払い退けられた。
余り勢いを着けて払い退けては、その威力を冬獅郎に料理されると悟った更木は絶妙の角度と力加減で冬獅郎を床に叩き落とした。
そのまま間を置かず落下予定地点に重い一撃を振り下ろす。
だが、冬獅郎は既に立ち上がり再び更木の間合いに入り込み喉笛に切っ先を突き出した。
同時に冬獅郎の頭上に更木の木刀が振り下ろされた。
さすがに双方無事で済むまいと思われたが寸でで狛村が二本の木刀を弾いた。
「引き分けだ。これ以上は建物も危ない。それに、お主ら鍛錬で怪我を負うては本末転倒。お役目も果たせん」
「しゃらくせぇ鍛錬に怪我はつきもんだろ。本番に近い鍛錬でなきゃ意味ねぇだろ。日番谷、楽しかったぜ。今度は邪魔の入らねぇ流魂街の荒れ地で殺ろうぜ。勿論、霊圧付きでよ」
「霊圧で地形を壊せば来期の予算を全額、修復に計上する羽目になるぞ」
「金は天下の廻り物ってな」
「涅に頭を下げる羽目にもなる」
「けっ」
そればかりば嫌なのだろう更木は一礼して下がった。
「剣ちゃん」
直ぐに、やちるが飛び付いて行く。
乱菊はというと、たたつっと冬獅郎に走り寄り抱き付いた。
一瞬、身構えた冬獅郎だが今のサイズの乱菊では潰される事も窒息の心配もなく極自然に抱き留められた。
乱菊は酷く嬉しそうに笑うと
「小さいのに凄いのね隊長代行。あたしも隊長代行みたいになりたい」
と言った。
今まで慎重差故に胸に挟まれるばかりで、羨ましがる他の男に優越感を持っていたが、今の体格だと上から胸元を見下ろす形になるのだった。
その方が胸のディテールがよく判るのを知りカルチャーショックを受けると共に今までそんな良い思いをしていた輩に復讐を誓うのだった。
だが、射場と市丸が冬獅郎に抱き付いた乱菊に密かにショックを受けているので僅かながら溜飲を下げた。
「小さい言うな。お前ぇのが小さいだろ」
「隊長代行の意地悪。その内大きくなるもん」
「その頃は、お前ぇ以上に俺のがでかくなってるさ」
「うー」
「唸るな鍛錬に付き合ってやるから」
「ホントっ?でも隊長代行だと沢山、書類捌くでしょ?暇ないんじゃ」
「俺ぁ書類仕事も得意だ。そうだ、お前ぇ茶汲みに来い。そうすれば、もっと仕事が捗る。定時には上がれるぜ」
「お茶好きなんだ小さいのに」
「あっ?」
「何も言ってないわよー」
「で取引成立か?」
「勿論よ。ありがとっ」
首にかじりつかれよろめきかけたが男の沽券に掛けて踏ん張った冬獅郎は一角の言っていた事は嘘ではないと気付いた。
ミニ乱菊は背こそは、やちる並みに小さいが胸だけは立派にありミニグラマーなのだった。
それが遠慮なく押し付けられている。
(胸に挟まれるよか恥ずかしいのは何故だ?俺ぁロリコンの気はねぇんだが。市丸が射殺しそうな目で見ていて面白ぇ)
冬獅郎の機嫌も良くなったので傍目には微笑み合いながら抱き合っているように見える二人だが十番隊は動じない。
乱菊が小さいのでそれらしく見えるが普段から似た様な事を彼らの上司はやっている。
「狛村、審判ありがとう」
「松本が落ち着かないなら今宵は我が隊で預かろうかと思ったが必要ないようだな」
すっかり冬獅郎に懐いて死覇装の袖を握っている乱菊を見て安心したように狛村は笑った。
「狛村隊長ありがとう。泣いてごめんなさい」
「何、構わんよ。困ったらいつでも訪ねておいで」
「ありがとう」
何事もなく引き上げる十番隊を七番隊の新人だけが不可思議なものを見る様に遠巻きに見送っていた。
●
一話で間違えて『六番隊の新人 』とか書いたけどコマムの部下なので七で正解。
それだけで十二番隊の鍛錬場が嫌な音を立てる。
勿論、双方共に
霊圧は抑えている。
人と物の修繕の為の金欲しさの合同訓練で更に物を壊しては仕方ない。
狛村に慰められたミニ乱菊は竹添に菓子を貰い、やちるの隣で仲良く観戦している。
(今の松本は俺が解らねぇ。寧ろ直前に所属してた隊の更木に親近感があんだろな)
隊長就任以来、乱菊の応援の全ては冬獅郎に向けられて来た。
それがないのは寂しいが、それでもやはり己を見つめる一対の青灰色の瞳に報いるだけである。
軽い足取りで先に踏み込んだのは冬獅郎だった。
恐れ気もなく更木の間合いに入り込むと、一刀毎に間を詰め更木と至近距離で睨み合う。
視線だけで射殺しそうな更木に怯む様子もなく飛翔しながらも打ち付けて行く、やがて更木の頭上を窺う位置に来ると上段から振り下ろした。
しかし、更木とて一隊を預かる身。
野獣と呼ばわれようが攻のみではない。
空中からの電光石火の一振りを頭上に木刀を水平に構える事で防ぐのみならず、そのまま押し上げて壁にぶっ飛ばす。
しかし、冬獅郎は翼有る者の様に巧みに体を拈り回転して方向だけを変え吹っ飛ばされた威力は殺さずに頭から激突予定だった壁を蹴って更木に突っ込んだ。
前方に構えられた切っ先はピタリと更木の喉笛に向けられていたが寸でで払い退けられた。
余り勢いを着けて払い退けては、その威力を冬獅郎に料理されると悟った更木は絶妙の角度と力加減で冬獅郎を床に叩き落とした。
そのまま間を置かず落下予定地点に重い一撃を振り下ろす。
だが、冬獅郎は既に立ち上がり再び更木の間合いに入り込み喉笛に切っ先を突き出した。
同時に冬獅郎の頭上に更木の木刀が振り下ろされた。
さすがに双方無事で済むまいと思われたが寸でで狛村が二本の木刀を弾いた。
「引き分けだ。これ以上は建物も危ない。それに、お主ら鍛錬で怪我を負うては本末転倒。お役目も果たせん」
「しゃらくせぇ鍛錬に怪我はつきもんだろ。本番に近い鍛錬でなきゃ意味ねぇだろ。日番谷、楽しかったぜ。今度は邪魔の入らねぇ流魂街の荒れ地で殺ろうぜ。勿論、霊圧付きでよ」
「霊圧で地形を壊せば来期の予算を全額、修復に計上する羽目になるぞ」
「金は天下の廻り物ってな」
「涅に頭を下げる羽目にもなる」
「けっ」
そればかりば嫌なのだろう更木は一礼して下がった。
「剣ちゃん」
直ぐに、やちるが飛び付いて行く。
乱菊はというと、たたつっと冬獅郎に走り寄り抱き付いた。
一瞬、身構えた冬獅郎だが今のサイズの乱菊では潰される事も窒息の心配もなく極自然に抱き留められた。
乱菊は酷く嬉しそうに笑うと
「小さいのに凄いのね隊長代行。あたしも隊長代行みたいになりたい」
と言った。
今まで慎重差故に胸に挟まれるばかりで、羨ましがる他の男に優越感を持っていたが、今の体格だと上から胸元を見下ろす形になるのだった。
その方が胸のディテールがよく判るのを知りカルチャーショックを受けると共に今までそんな良い思いをしていた輩に復讐を誓うのだった。
だが、射場と市丸が冬獅郎に抱き付いた乱菊に密かにショックを受けているので僅かながら溜飲を下げた。
「小さい言うな。お前ぇのが小さいだろ」
「隊長代行の意地悪。その内大きくなるもん」
「その頃は、お前ぇ以上に俺のがでかくなってるさ」
「うー」
「唸るな鍛錬に付き合ってやるから」
「ホントっ?でも隊長代行だと沢山、書類捌くでしょ?暇ないんじゃ」
「俺ぁ書類仕事も得意だ。そうだ、お前ぇ茶汲みに来い。そうすれば、もっと仕事が捗る。定時には上がれるぜ」
「お茶好きなんだ小さいのに」
「あっ?」
「何も言ってないわよー」
「で取引成立か?」
「勿論よ。ありがとっ」
首にかじりつかれよろめきかけたが男の沽券に掛けて踏ん張った冬獅郎は一角の言っていた事は嘘ではないと気付いた。
ミニ乱菊は背こそは、やちる並みに小さいが胸だけは立派にありミニグラマーなのだった。
それが遠慮なく押し付けられている。
(胸に挟まれるよか恥ずかしいのは何故だ?俺ぁロリコンの気はねぇんだが。市丸が射殺しそうな目で見ていて面白ぇ)
冬獅郎の機嫌も良くなったので傍目には微笑み合いながら抱き合っているように見える二人だが十番隊は動じない。
乱菊が小さいのでそれらしく見えるが普段から似た様な事を彼らの上司はやっている。
「狛村、審判ありがとう」
「松本が落ち着かないなら今宵は我が隊で預かろうかと思ったが必要ないようだな」
すっかり冬獅郎に懐いて死覇装の袖を握っている乱菊を見て安心したように狛村は笑った。
「狛村隊長ありがとう。泣いてごめんなさい」
「何、構わんよ。困ったらいつでも訪ねておいで」
「ありがとう」
何事もなく引き上げる十番隊を七番隊の新人だけが不可思議なものを見る様に遠巻きに見送っていた。
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一話で間違えて『六番隊の新人 』とか書いたけどコマムの部下なので七で正解。