「うっ」
悲劇は突然に訪れた。
隊首会の帰りに珍しく土産に蕎麦饅頭を貰った乱菊は幸せに食べた。
「美味いかよ」
「はい。ありがとうございます」
「昼は天ざる食いに行くから腹に余裕残しとけよ」
「たいちょ、どうしました?エスパーですか?何で、あたしが食べたいものが判るんですか?」
「お前ぇ、熱にうなされながら『蕎麦饅頭~』『天ざる~』っつてたぞ」
話しながら粉気のあるものを食べたのが悪かったのか
「うっ」
「馬鹿、食いながら喋るからだ」
冬獅郎は並々と水が入った寿司屋で貰った湯飲みを差し出した。
それを一気に飲み干して尚、ケホケホと咽せて苦しそうに胸を叩いている。
側に居た冬獅郎は乱菊の顎をすくい上げ徐に唇を重ねた。
呼吸困難の乱菊は苦しげに涙を流していたが冬獅郎を軽く押すと大きく息を吐いた。
「取れた。白雪姫効果?」
「ぶゎっか、ちゅーした時、お前ぇの頭を横にして気道を確保したんだよ。第一白雪姫は毒にやられたんじゃ」
「定説はそうですが実は林檎の欠片が喉に詰まって仮死状態だったらしいです」
「まぁな、毒じゃちゅーで生き返らないよな。しかしよぅ林檎の欠片なら兎も角、饅頭じゃ喜劇にしかなんねぇぞ」
「でも、白雪姫の王子って見知らぬ死体に口付けましたよね。いくら美人でも」
「俺ならお前ぇの亡骸が落ちてたら速攻で持ち帰って好き勝手すんぞ●○カモ~ン」
「たいちょ、何で撫で回してんですか?」
「お前ぇが三日も寝込むから欲求不満なんだよ」
「たいちょ、王子なのに目がギラギラ」
「俺は王子じゃねぇ。腹一杯だな?昼食わなくても平気だよな」
「天ざる~」
「夜」
冬獅郎は乱菊を担いで、昼休み開始と同時に自室に戻った。
めでたしめでたし。