「勘弁してくれ」
冬獅郎が霊圧を探ってたどり着いた先は『女徳院』と書かれた大きな建物だった。
宗教の概念の無い流魂街ではあるが、ここは所謂『縁切寺』だった。
もう、何十年も昔だ。
女死協で発案した『縁切寺』は実現していた。
尤も当初は強制離婚の手段と、言うよりは当時多発していたストーカー被害者の保護施設の意味合いが強かった。
いずれにしても四十六室承認の元、鬼道衆による特殊結界が張られ男と名付ものは雀の子すら入れないとの評判で、実際に生まれたばかりの男の子を抱いて逃げ込もうとした女は入り口で弾かれ履き物だけを投げ込み、追っ手から逃れたそうだ。
いずれにしても成人男子の冬獅郎が内部に入り込める公算は少ない。
そこで素直に門番の女に面会希望の旨を伝えた。
「して、相手の名は?」
「松本乱菊」
「暫し待たれよ」
門番の一人が建物に入って暫く、やがて戻って来た門番は
「間違いではないか?その様な名の者は当院には居らぬが」
これは最早、七緒なり卯の花なり女性の助けが必要だろう。
踵を返した冬獅郎は
(俺は松本恋しさに都合の良い幻を創ってんじゃねぇよな)
ただ一つの縁の薄紅を握りしめ歩く背中には悲しみだけが溢れていた。
●
前話と一緒でも大した量ではないけど谷場は文が進まむ。
冬獅郎が霊圧を探ってたどり着いた先は『女徳院』と書かれた大きな建物だった。
宗教の概念の無い流魂街ではあるが、ここは所謂『縁切寺』だった。
もう、何十年も昔だ。
女死協で発案した『縁切寺』は実現していた。
尤も当初は強制離婚の手段と、言うよりは当時多発していたストーカー被害者の保護施設の意味合いが強かった。
いずれにしても四十六室承認の元、鬼道衆による特殊結界が張られ男と名付ものは雀の子すら入れないとの評判で、実際に生まれたばかりの男の子を抱いて逃げ込もうとした女は入り口で弾かれ履き物だけを投げ込み、追っ手から逃れたそうだ。
いずれにしても成人男子の冬獅郎が内部に入り込める公算は少ない。
そこで素直に門番の女に面会希望の旨を伝えた。
「して、相手の名は?」
「松本乱菊」
「暫し待たれよ」
門番の一人が建物に入って暫く、やがて戻って来た門番は
「間違いではないか?その様な名の者は当院には居らぬが」
これは最早、七緒なり卯の花なり女性の助けが必要だろう。
踵を返した冬獅郎は
(俺は松本恋しさに都合の良い幻を創ってんじゃねぇよな)
ただ一つの縁の薄紅を握りしめ歩く背中には悲しみだけが溢れていた。
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前話と一緒でも大した量ではないけど谷場は文が進まむ。