瀞霊廷の警護は主として隠密機動の警邏隊が行うが月当番で護廷の各隊も、その任に当たる。
それは常に同じ隊が任に当たる事で住民との癒着や賄賂などの不正を防ぐ意図と各隊相互に監視させるためである。
当月の月番は十一番隊で辻斬りの噂を聞いて以来
「俺に殺らせろ」
と喚いていた更木には正に渡りに舟で、複数で居ては出る者も出ないと随行を望む斑目に当て身を喰らわせて眠らせ
やちるにまで一服盛って眠らせ五合徳利片手に千鳥足で酔っ払いの振りまでして夜道を歩いた。
結果、辻斬りはでたがあろう事が護廷屈指の剣豪更木剣八は心臓の僅か二寸上を穿たれて倒された。
咆哮を聞いて駆け付けた一角が自隊に運び込んだ。
四番隊へは行かないと更木が言い張るため休暇で飲みに出ていた山田花太郎を拉致同様に連れて来て治療に当たらせた。
「さすがは更木隊長ですね。本来だったら心臓を射抜かれた所を咄嗟に避けられたんでしょうね。これは敵の得物が這った痕です」
花太郎は心臓の真上から穿たれた箇所まで続く裂傷を指差した。
十一番隊では更木の敵討ちをと騒ぐ隊士を一角が鎮めていた。
(管理職は辛ぇわ。俺が真っ先に敵討ちに生きたいってぇの)
その時、地鳴りのような男達の声の上に綺麗なアルトが降った。
「あんた達静かになさい。あんた達の副隊長が話があるそうよ」
それは、やちるを抱き抱えた乱菊だった。
皆が呆気に取られた隙に少女の高い声が響く。
「みんなっ剣ちゃんは強いよ。その剣ちゃんを怪我させた相手に、みんな勝つ自信あるの?あるなら、先ずはつるりんを倒してから行ってよ」
「それができないなら、悔しくて悔しくて泣き叫びたいけれど我慢して。みんなが死んだらやだよ」
「副隊長…」「くそちび」
「あんた達、本当だつたら更木隊長の側を一瞬も離れたくない、やちるに心配させるなんて、それでも男なのっ?恥を知りなさいっ」
乱菊にまで恫喝されて男達も黙る。
月番が十番隊に替わる前日の事だった。

やちるだったら手下率いて敵討ちしそうだけれど、そんな話を書いていると主軸がぶれるのでトリは十番隊主従に。