定時後、夕飯は雛森も一緒にと勧める乱菊に
「早く平隊士としての生活に慣れさせた方が良い」
と、付け焼き刃の理由でねじ伏せた。
プライベートもあれと一緒では気疲れで保たない、と言うのが本音だが、その辺の耐久力のある乱菊は雛森を庇うだろう。
まぁさすがに殺気石をはめられた姿は不憫だが、ああも鬼道を放たれては藍染もたまらなかったのだろう。
言い聞かせたところでかっとすれば直ぐに忘れてまたぞろ鬼道を放つに決まっている。ならば元から絶つのが得策である。
乱菊が秋刀魚を焼くというのを
「俺がやる」
と無理矢理、奪い取って冬獅郎は庭に下りて七輪に炭を起こした。
炭が赤くなって来たので網を乗せ熱してから秋刀魚を乗せて渋団扇で扇ぎ始める。
流魂街では祖母の手伝いで、よく焼いたものだが霊術院に入ってからは終ぞやった事がない。けれど、忘れないものだ。
脂が炭に落ちて弾け、もう焼き上がると思った頃、災厄はやって来た。
「シロちゃんっ」
相変わらず、返事を待たずスパーンと襖を開ける。
庭に冬獅郎の銀髪が見え隠れするのを見つけた雛森は冬獅郎が魚を焼いているのを見るなり
「乱菊さん酷いっ」
と叫んだ。
驚いた乱菊が厨から顔を出すと、雛森は鬼の首でも取ったように責め立てた。
「乱菊さんっシロちゃんは小さくても隊長なんだよ。その人に食事の支度をさせるなんて馬鹿にしてるの?」
「おい、雛森。これは俺が進んでやってんだ」
「シロちゃんは黙っていて。綾小路さんも『乱菊さんは毎晩、日番谷隊長に夕飯の支度をさせている』って言っていたもの」
「俺ぁ、箸と皿を並べてただけだ。つかなんで綾小路がうちの夕飯風景を知ってんだ?覗きか?」
「酷いシロちゃん」
「酷くねぇ」
「ね、やっぱり副官はあたしの方がいいよ。乱菊さんに遠慮しないで」
「お前ぇ馬鹿か?」
冬獅郎は心底呆れたように雛森を見た。
「何がよっ?」
「副隊長の任命権は隊長にある。もし、俺が本当に松本以外を副官にしたけりゃ松本が何て言おうが、そうするさ。そうしねぇのは松本以外を副官にする気がねぇからだ」
「すっかり乱菊さんに誑かされて」
「雛森っ、口を慎めっ!俺も松本も、お前の上官だ。不敬は隊則に照らし合わせて処罰するぞ」
「酷いシロちゃん」
叫びながらも冬獅郎が
『藍染だって、お前ぇを副隊長に置いときたけりゃ、そうしたはずだ』と言外に言っているのだと感じて若干だが大人しくなる。
「日番谷隊長だ。うちが嫌なら十一番でも十二番でも移隊させてやる。好きな方を選ばせてやるぞ」
「どっちも嫌」
「じゃ鬼道衆にでも行け」
「辛気臭いから嫌」
「お前ぇな。どうしてぇんだ?」
「副隊長がいいの」
「十三番隊しか空きはねぇよ」
「じゃ十三番隊に行く。明日、移隊届け出すから」
「たいちょ」
浮竹の事情を知っている乱菊が咎めるように囁いた。
「乱菊さんは黙っていて」
言い捨てて雛森は出て行った。
秋刀魚を皿に取り座卓に並べると乱菊がすかさず箸を並べ冬獅郎には何もさせてくれない。
大根下ろし、かぼす、ご飯、茶碗蒸し茸汁が運ばれ少し遅くなった夕飯が始まった。
夕飯を食べながら乱菊が
「明日は雛森も誘いましょうね」
と笑んだのにつられて頷いて後悔する冬獅郎だった。
「早く平隊士としての生活に慣れさせた方が良い」
と、付け焼き刃の理由でねじ伏せた。
プライベートもあれと一緒では気疲れで保たない、と言うのが本音だが、その辺の耐久力のある乱菊は雛森を庇うだろう。
まぁさすがに殺気石をはめられた姿は不憫だが、ああも鬼道を放たれては藍染もたまらなかったのだろう。
言い聞かせたところでかっとすれば直ぐに忘れてまたぞろ鬼道を放つに決まっている。ならば元から絶つのが得策である。
乱菊が秋刀魚を焼くというのを
「俺がやる」
と無理矢理、奪い取って冬獅郎は庭に下りて七輪に炭を起こした。
炭が赤くなって来たので網を乗せ熱してから秋刀魚を乗せて渋団扇で扇ぎ始める。
流魂街では祖母の手伝いで、よく焼いたものだが霊術院に入ってからは終ぞやった事がない。けれど、忘れないものだ。
脂が炭に落ちて弾け、もう焼き上がると思った頃、災厄はやって来た。
「シロちゃんっ」
相変わらず、返事を待たずスパーンと襖を開ける。
庭に冬獅郎の銀髪が見え隠れするのを見つけた雛森は冬獅郎が魚を焼いているのを見るなり
「乱菊さん酷いっ」
と叫んだ。
驚いた乱菊が厨から顔を出すと、雛森は鬼の首でも取ったように責め立てた。
「乱菊さんっシロちゃんは小さくても隊長なんだよ。その人に食事の支度をさせるなんて馬鹿にしてるの?」
「おい、雛森。これは俺が進んでやってんだ」
「シロちゃんは黙っていて。綾小路さんも『乱菊さんは毎晩、日番谷隊長に夕飯の支度をさせている』って言っていたもの」
「俺ぁ、箸と皿を並べてただけだ。つかなんで綾小路がうちの夕飯風景を知ってんだ?覗きか?」
「酷いシロちゃん」
「酷くねぇ」
「ね、やっぱり副官はあたしの方がいいよ。乱菊さんに遠慮しないで」
「お前ぇ馬鹿か?」
冬獅郎は心底呆れたように雛森を見た。
「何がよっ?」
「副隊長の任命権は隊長にある。もし、俺が本当に松本以外を副官にしたけりゃ松本が何て言おうが、そうするさ。そうしねぇのは松本以外を副官にする気がねぇからだ」
「すっかり乱菊さんに誑かされて」
「雛森っ、口を慎めっ!俺も松本も、お前の上官だ。不敬は隊則に照らし合わせて処罰するぞ」
「酷いシロちゃん」
叫びながらも冬獅郎が
『藍染だって、お前ぇを副隊長に置いときたけりゃ、そうしたはずだ』と言外に言っているのだと感じて若干だが大人しくなる。
「日番谷隊長だ。うちが嫌なら十一番でも十二番でも移隊させてやる。好きな方を選ばせてやるぞ」
「どっちも嫌」
「じゃ鬼道衆にでも行け」
「辛気臭いから嫌」
「お前ぇな。どうしてぇんだ?」
「副隊長がいいの」
「十三番隊しか空きはねぇよ」
「じゃ十三番隊に行く。明日、移隊届け出すから」
「たいちょ」
浮竹の事情を知っている乱菊が咎めるように囁いた。
「乱菊さんは黙っていて」
言い捨てて雛森は出て行った。
秋刀魚を皿に取り座卓に並べると乱菊がすかさず箸を並べ冬獅郎には何もさせてくれない。
大根下ろし、かぼす、ご飯、茶碗蒸し茸汁が運ばれ少し遅くなった夕飯が始まった。
夕飯を食べながら乱菊が
「明日は雛森も誘いましょうね」
と笑んだのにつられて頷いて後悔する冬獅郎だった。