冬獅郎が隊長に就任した際、護廷内で様々な反応が見られた。
数百年に一度の天才と畏怖する者、もっと軽薄に珍しがる者、『子供の癖に』と、やっかむ者と様々だ。
しかし、冬獅郎は動じなかった。
この程度は予想の範疇だったからだ。
ただ、そんな中で
『子供で良かった』との声を聞いた時には、さすがの冬獅郎も首を傾げた。
そして、彼らの会話の中に
『乱菊さんが』『松本が』と 言う声を聞きとって合点がいった。
どうやら松本乱菊に懸想する男からすると一日中執務室に二人切りで閉じこもる相手は『子供の方がいい』と、いう事らしい。
挙げ句に
『日番谷隊長は雛森君の幼なじみで彼女を見慣れているから清楚な美少女が好みに違いないから安心ですよ』
の言葉には失笑した。
少年だからと言って小娘に惚れるとは限らない。
少年には少年の想いがあり惚れる理由がある。
まして冬獅郎は獅子の子だ。
捕食者はチャンスを決して逃さないだろう。
子供だと侮っている内に美しい被捕食者は捉えられて捕らわれているだろう。
『子供で良かった』
とさざめく奴らに背を向けて冬獅郎は歩き出した。
「餓鬼で何が悪い」
うそぶきながら自隊舎へ変えつつ行く冬獅郎は唇の端を釣り上げて獲物を捕獲する作を練っていた。