一般的に、イエス・キリストは我々とは違って、最初から完璧な神の子であると考えられており、救世主と呼ばれております。

 

確かに、ラムサ様も、イエス様は大天使ガブリエルと聖母マリアの子供で、カウンシル・オブ・サーティーンの13人のアセンデッド・マスターや大天使が知識と能力を注ぎ込んで作り上げた魂だと言及しており、通常の存在ではないことは確かです。

 

エドガー・ケイシーの超意識によるリーディングでは、人間は本来天界からやってきた神の分霊なのですが、第一根本人種の時はアストラル体の存在で、地球の動物の中に入って間接的に生殖行為を楽しんでいましたが、第二根本人種のエーテル体のときには、その頃は発揮出来た創造力によってグロテスクな生き物を創り上げてその中に入り込み、直接的に生殖行為にふけるようになり、肉体にもつれ込みました。

 

そこから輪廻転生が始まり、何度も何度も肉体に巻き込まれて、元々いた天界を忘れて戻れなくなってしまいました。

 

地球の物質界に迷い込んで、帰れなくなった魂達を救い出すために、自分を犠牲にして地球に転生してきたのが、イエス・キリストの魂やエドガー・ケイシーの魂達で、その数は14万4千人だそうです。

 

14万4千人の神々は、グロテスクな生き物の中に入り込んで、本当の自分を忘れてしまった仲間達を助けるために、当時 地上に生息していた猿の内分泌腺に働きかけて、 急速に進化させて、人間の肉体を作り上げて、その中に魂を移し替えました。

 

しかし、肉体にもつれ込んだ魂達は、優れた肉体を手に入れて、ますます利己的になってしまい、本来の自分を思い出して天界に戻ることは出来ませんでした。

 

そのため、14万4千人の神々は、自分達自身も人間となって、天界に戻れるようにお手本を示すことになりました。

 

キリストの魂は宇宙意識から直接 生まれた唯一の神アミリウスでしたが、人間として転生してもエノクとかメルキゼデクという不死の存在で、完璧すぎて、一般人からはかけ離れており、お手本にするには遠すぎる存在でした。

 

そのため、ごく普通の人間としてゼロからスタートして、天界に戻るためのお手本を示す必要があるとお考えになり、新しく魂を作り上げて、ヨセフという人間として転生されました。

 

イエス様の最初の過去生であったヨセフは、夢解釈や夢見の能力があったくらいで、イエス様が発揮されたパンや魚を無限に物質化する能力や死者を蘇らせる力や水上を歩く力は持っていませんでした。

 

我々は「イエス様は特別な存在で、我々とは違うのだから、最初から全能の力を持っていたのだろう」と考えがちですが、イエス様も最初の過去生のヨセフの時は普通の人間だったのです。

 

何が言いたいのかというと、私の考えでは、このヨセフという過去生において示した生き方によって、イエス様の魂は神との合一を達成することが出来る条件を満たしたのだと思われるのです。

 

ちなみに、現在のキリスト教会では、人間の魂は死んだ後、最後の審判まで眠った状態になると考えられており、輪廻転生するとは教えていません。

 

しかし、新約聖書において、イエス様は「洗礼者ヨハネはエリアの再来だ」と仰っています。

 

マタイによる福音書 第11章 7節

 

https://ja.m.wikisource.org/wiki/マタイによる福音書(口語訳)

 

彼らが帰ってしまうと、イエスはヨハネのことを群衆に語りはじめられた、

 

「あなたがたは、何を見に荒野に出てきたのか。

 

あなたがたによく言っておく。

 

女の産んだ者の中で、バプテスマのヨハネより大きい人物は起らなかった。

 

しかし、天国で最も小さい者も、彼よりは大きい。

 

そして、もしあなたがたが受けいれることを望めば、この人こそは、きたるべきエリヤなのである。」

 

 

このように、イエス様ご自身は、輪廻転生を教えておられます。

 

 

さて、イエス様の魂は、ヨセフという普通の人間として輪廻転生をスタートさせた訳ですが、父親に最も可愛がられて、不思議な夢を見るという特殊な能力があったため、腹違いの兄達に妬まれてしまい、奴隷として売り飛ばされてしまいました。

 

 

創世記 第37章

 

https://ja.m.wikisource.org/wiki/創世記(口語訳)

 

『ヨセフは年寄り子であったから、イスラエルは他のどの子よりも彼を愛して、彼のために長そでの着物をつくった。

 

兄弟たちは父がどの兄弟よりも彼を愛するのを見て、彼を憎み、穏やかに彼に語ることができなかった。

 

ある時、ヨセフは夢を見て、それを兄弟たちに話したので、彼らは、ますます彼を憎んだ。

 

ヨセフは彼らに言った、

 

「どうぞわたしが見た夢を聞いてください。

 

わたしたちが畑の中で束を結わえていたとき、わたしの束が起きて立つと、あなたがたの束がまわりにきて、わたしの束を拝みました」。

 

すると兄弟たちは彼に向かって、

 

「あなたはほんとうにわたしたちの王になるのか。

 

あなたは実際わたしたちを治めるのか」

 

と言って、彼の夢とその言葉のゆえにますます彼を憎んだ。

 

ヨセフはまた一つの夢を見て、それを兄弟たちに語って言った、

 

「わたしはまた夢を見ました。

 

日と月と十一の星とがわたしを拝みました」。

 

彼はこれを父と兄弟たちに語ったので、父は彼をとがめて言った、

 

「あなたが見たその夢はどういうのか。

 

ほんとうにわたしとあなたの母と、兄弟たちとが行って地に伏し、あなたを拝むのか」。

 

兄弟たちは彼をねたんだ。

 

中略

 

ヨセフが彼らに近づかないうちに、彼らははるかにヨセフを見て、これを殺そうと計り、互に言った、

 

「あの夢見る者がやって来る。

 

さあ、彼を殺して穴に投げ入れ、悪い獣が彼を食ったと言おう。

 

そして彼の夢がどうなるか見よう」。

 

ルベン(長兄)はこれを聞いて、ヨセフを彼らの手から救い出そうとして言った、

 

「われわれは彼の命を取ってはならない」。

 

ルベンはまた彼らに言った、

 

「血を流してはいけない。

 

彼を荒野のこの穴に投げ入れよう。

 

彼に手をくだしてはならない」。

 

これはヨセフを彼らの手から救いだして父に返すためであった。

 

さて、ヨセフが兄弟たちのもとへ行くと、彼らはヨセフの着物、彼が着ていた長そでの着物をはぎとり、

 

彼を捕えて穴に投げ入れた。

 

時に彼らが目をあげて見ると、イシマエルびとの隊商が、らくだに香料と、乳香と、もつやくとを負わせてエジプトへ下り行こうとギレアデからやってきた。  

 

そこでユダは兄弟たちに言った、

 

「われわれが弟を殺し、その血を隠して何の益があろう。

 

さあ、われわれは彼をイシマエルびとに売ろう。

 

彼はわれわれの兄弟、われわれの肉身だから、彼に手を下してはならない」。

 

兄弟たちはこれを聞き入れた。

 

時にミデアンびとの商人たちが通りかかったので、彼らはヨセフを穴から引き上げ、銀二十シケルでヨセフをイシマエルびとに売った。

 

彼らはヨセフをエジプトへ連れて行った。

 

さて、かのミデアンびとらはエジプトでパロの役人、侍衛長ポテパルにヨセフを売った。』

 

 

 

イエス様の過去生のヨセフは、父親に最も可愛がられたため、兄弟達に憎まれて、あやうく殺されかけて、奴隷として売り飛ばされてしまいました。

 

その後、エジプトでもひどい目に遭いました。

 

奴隷として買い取った主人の妻に誘惑されて、それを断ったら、「ヨセフに襲われた」と主人に言われて、牢屋に入れられてしまったのです。

 

 

創世記 第39章

 

『さてヨセフは連れられてエジプトに下ったが、パロ(エジプトの王様)の役人で侍衛長であったエジプトびとポテパルは、彼をそこに連れ下ったイシマエルびとらの手から買い取った。

 

主がヨセフと共におられたので、彼は幸運な者となり、その主人エジプトびとの家におった。

 

さてヨセフは姿がよく、顔が美しかった。

 

これらの事の後、主人の妻はヨセフに目をつけて言った、「わたしと寝なさい」。

 

ヨセフは拒んで、主人の妻に言った、

 

「御主人はわたしがいるので家の中の何をも顧みず、その持ち物をみなわたしの手にゆだねられました。

 

この家にはわたしよりも大いなる者はありません。

 

また御主人はあなたを除いては、何をもわたしに禁じられませんでした。

 

あなたが御主人の妻であるからです。

 

どうしてわたしはこの大きな悪をおこなって、神に罪を犯すことができましょう」。

 

彼女は毎日ヨセフに言い寄ったけれども、ヨセフは聞きいれず、彼女と寝なかった。

 

また共にいなかった。

 

ある日ヨセフが務をするために家にはいった時、家の者がひとりもそこにいなかったので、

 

彼女はヨセフの着物を捕えて、「わたしと寝なさい」と言った。

 

ヨセフは着物を彼女の手に残して外にのがれ出た。

 

彼女はヨセフが着物を自分の手に残して外にのがれたのを見て、

 

その家の者どもを呼び、彼らに告げて言った、

 

「主人がわたしたちの所に連れてきたヘブルびとは、わたしたちに戯れます。

 

彼はわたしと寝ようとして、わたしの所にはいったので、わたしは大声で叫びました。

 

彼はわたしが声をあげて叫ぶのを聞くと、着物をわたしの所に残して外にのがれ出ました」。

 

彼女はその着物をかたわらに置いて、主人の帰って来るのを待った。

 

そして彼女は次のように主人に告げた、

 

「あなたがわたしたちに連れてこられたヘブルのしもべはわたしに戯れようとして、わたしの所にはいってきました。

 

わたしが声をあげて叫んだので、彼は着物をわたしの所に残して外にのがれました」。

 

主人はその妻が「あなたのしもべは、わたしにこんな事をした」と告げる言葉を聞いて、激しく怒った。

 

そしてヨセフの主人は彼を捕えて、王の囚人をつなぐ獄屋に投げ入れた。』

 

 

 

イエス様の最初の過去生だったヨセフは、指一本触れてもいないにも関わらず、2年間も地下の牢屋に閉じ込められるというひどい扱いを受けました。

 

その後、ヨセフは夢解釈の能力を発揮して、エジプトの王様が見た夢の意味を解き明かしし、エジプトに7年間に渡る飢饉が起こることを予見し、穀物を蓄えるように指示し、エジプト全土の司となり、王様の次に偉い立場になりました。

 

そして、その夢解釈の通りに飢饉が発生して、食べ物が無くなったカナンの地から、ヨセフを奴隷として売り飛ばした兄弟達が食料を買いにエジプトのヨセフの元へやってきます。

 

 

創世記 第42章

 

『ヤコブはエジプトに穀物があると知って、むすこたちに言った、

 

「あなたがたはなぜ顔を見合わせているのですか」。

 

また言った、

 

「エジプトに穀物があるということだが、あなたがたはそこへ下って行って、そこから、われわれのため穀物を買ってきなさい。

 

そうすれば、われわれは生きながらえて、死を免れるであろう」。

 

そこでヨセフの十人の兄弟は穀物を買うためにエジプトへ下った。

 

しかし、ヤコブはヨセフの弟ベニヤミンを兄弟たちと一緒にやらなかった。

 

彼が災に会うのを恐れたからである。

 

こうしてイスラエルの子らは穀物を買おうと人々に交じってやってきた。

 

カナンの地にききんがあったからである。

 

ときにヨセフは国のつかさであって、国のすべての民に穀物を売ることをしていた。

 

ヨセフの兄弟たちはきて、地にひれ伏し、彼を拝した。(ヨセフが子供の頃に見た夢の通りになりました。)

 

ヨセフは兄弟たちを見て、それと知ったが、彼らに向かっては知らぬ者のようにし、荒々しく語った。

 

すなわち彼らに言った、「あなたがたはどこからきたのか」。

 

彼らは答えた、

 

「食糧を買うためにカナンの地からきました」。

 

ヨセフは、兄弟たちであるのを知っていたが、彼らはヨセフとは知らなかった。

 

ヨセフはかつて彼らについて見た夢を思い出して、彼らに言った、

 

「あなたがたは回し者で、この国のすきをうかがうためにきたのです」。

 

彼らはヨセフに答えた、

 

「いいえ、わが主よ、しもべらはただ食糧を買うためにきたのです。

 

われわれは皆、ひとりの人の子で、真実な者です。

 

しもべらは回し者ではありません」。

 

ヨセフは彼らに言った、

 

「いや、あなたがたはこの国のすきをうかがうためにきたのです」。

 

彼らは言った、

 

「しもべらは十二人兄弟で、カナンの地にいるひとりの人の子です。

 

末の弟は今、父と一緒にいますが、他のひとりはいなくなりました」。

 

ヨセフは彼らに言った、

 

「わたしが言ったとおり、あなたがたは回し者です。

 

あなたがたをこうしてためしてみよう。

 

パロ(エジプトの王様)のいのちにかけて誓います。

 

末の弟(ヨセフと同じ母から生まれた弟)がここにこなければ、あなたがたはここを出ることはできません。

 

あなたがたのひとりをやって弟を連れてこさせなさい。

 

それまであなたがたをつないでおいて、あなたがたに誠実があるかどうか、あなたがたの言葉をためしてみよう。

 

パロのいのちにかけて誓います。

 

あなたがたは確かに回し者です」。

 

ヨセフは彼らをみな一緒に三日の間、監禁所に入れた。

 

三日目にヨセフは彼らに言った、

 

「こうすればあなたがたは助かるでしょう。

 

わたしは神を恐れます。

 

もしあなたがたが真実な者なら、兄弟のひとりをあなたがたのいる監禁所に残し、あなたがたは穀物を携えて行って、家族の飢えを救いなさい。

 

そして末の弟をわたしのもとに連れてきなさい。

 

そうすればあなたがたの言葉のほんとうであることがわかって、死を免れるでしょう」。

 

彼らはそのようにした。

 

彼らは互に言った、

 

「確かにわれわれは弟の事で罪がある。

 

彼がしきりに願った時、その心の苦しみを見ながら、われわれは聞き入れなかった。

 

それでこの苦しみに会うのだ」。

 

ルベン(長兄)が彼らに答えて言った、

 

「わたしはあなたがたに、この子供に罪を犯すなと言ったではないか。

 

それにもかかわらず、あなたがたは聞き入れなかった。

 

それで彼の血の報いを受けるのです」。

 

彼らはヨセフが聞きわけているのを知らなかった。

 

相互の間に通訳者がいたからである。

 

ヨセフは彼らを離れて行って泣き、また帰ってきて彼らと語り、そのひとりシメオンを捕えて、彼らの目の前で縛った。

 

そしてヨセフは人々に命じて、彼らの袋に穀物を満たし、めいめいの銀を袋に返し、道中の食料を与えさせた。

 

ヨセフはこのように彼らにした。

 

彼らは穀物をろばに負わせてそこを去った。』

 

 

 

創世記 第43章

 

『ききんはその地に激しかった。

 

彼らがエジプトから携えてきた穀物を食い尽した時、父は彼らに言った、

 

「また行って、われわれのために少しの食糧を買ってきなさい」。

 

ユダは父に答えて言った、

 

「あの人はわれわれをきびしく戒めて、弟が一緒でなければ、わたしの顔を見てはならないと言いました。

 

もしあなたが弟をわれわれと一緒にやってくださるなら、われわれは下って行って、あなたのために食糧を買ってきましょう。

 

しかし、もし彼をやられないなら、われわれは下って行きません。

 

あの人がわれわれに、弟が一緒でなければわたしの顔を見てはならないと言ったのですから」。

 

イスラエルは言った、

 

「なぜ、もうひとりの弟があるとあの人に言って、わたしを苦しめるのか」。

 

彼らは言った、

 

「あの人がわれわれと一族とのことを問いただして、父はまだ生きているか、もうひとりの弟があるかと言ったので、問われるままに答えましたが、その人が、弟を連れてこいと言おうとは、どうして知ることができたでしょう」。

 

ユダは父イスラエルに言った、

 

「あの子をわたしと一緒にやってくだされば、われわれは立って行きましょう。

 

そしてわれわれもあなたも、われわれの子供らも生きながらえ、死を免れましょう。

 

わたしが彼の身を請け合います。

 

わたしの手から彼を求めなさい。

 

もしわたしが彼をあなたのもとに連れ帰って、あなたの前に置かなかったら、わたしはあなたに対して永久に罪を負いましょう。

 

もしわれわれがこんなにためらわなかったら、今ごろは二度も行ってきたでしょう」。

 

父イスラエルは彼らに言った、

 

「それではこうしなさい。

 

この国の名産を器に入れ、携え下ってその人に贈り物にしなさい。

 

すなわち少しの乳香、少しの蜜、香料、もつやく、ふすだしう、あめんどう。

 

そしてその上に、倍額の銀を手に持って行きなさい。

 

また袋の口に返してあった銀は持って行って返しなさい。

 

たぶんそれは誤りであったのでしょう。

 

弟も連れ、立って、またその人の所へ行きなさい。

 

どうか全能の神がその人の前であなたがたをあわれみ、もうひとりの兄弟(人質として監禁所に閉じ込められている兄弟)とベニヤミン(ヨセフと同じ母から生まれた弟)とを、返させてくださるように。

 

もしわたしが子を失わなければならないのなら、失ってもよい」。

 

そこでその人々は贈り物を取り、また倍額の銀を携え、ベニヤミンを連れ、立ってエジプトへ下り、ヨセフの前に立った。

 

ヨセフはベニヤミンが彼らと共にいるのを見て、家づかさに言った、

 

「この人々を家に連れて行き、獣をほふって、したくするように。

 

この人々は昼、わたしと一緒に食事をします」。

 

その人はヨセフの言ったようにして、この人々をヨセフの家へ連れて行った。

 

ところがこの人々はヨセフの家へ連れて行かれたので恐れて言った、

 

「初めの時に袋に返してあったあの銀のゆえに、われわれを引き入れたのです。

 

そしてわれわれを襲い、攻め、捕えて奴隷とし、われわれのろばをも奪うのです」。

 

彼らはヨセフの家づかさに近づいて、家の入口で、言った、

 

「ああ、わが主よ、われわれは最初、食糧を買うために下ってきたのです。

 

ところが宿に行って袋をあけて見ると、めいめいの銀は袋の口にあって、銀の重さは元のままでした。

 

それでわれわれはそれを持って参りました。

 

そして食糧を買うために、ほかの銀をも持って下ってきました。

 

われわれの銀を袋に入れた者が、だれであるかは分りません」。

 

彼は言った、

 

「安心しなさい。

 

恐れてはいけません。

 

その宝はあなたがたの神、あなたがたの父の神が、あなたがたの袋に入れてあなたがたに賜わったのです。

 

あなたがたの銀はわたしが受け取りました」。

 

そして彼はシメオン(人質にされていた兄弟)を彼らの所へ連れてきた。

 

こうしてその人はこの人々をヨセフの家へ導き、水を与えて足を洗わせ、また、ろばに飼葉を与えた。

 

彼らはその所で食事をするのだと聞き、贈り物を整えて、昼にヨセフの来るのを待った。

 

さてヨセフが家に帰ってきたので、彼らはその家に携えてきた贈り物をヨセフにささげ、地に伏して、彼を拝した。

 

ヨセフは彼らの安否を問うて言った、

 

「あなたがたの父、あなたがたがさきに話していたその老人は無事ですか。

 

なお生きながらえておられますか」。

 

彼らは答えた、

 

「あなたのしもべ、われわれの父は無事で、なお生きながらえています」。

 

そして彼らは、頭をさげて拝した。

 

ヨセフは目をあげて同じ母の子である弟ベニヤミンを見て言った、

 

「これはあなたがたが前にわたしに話した末の弟ですか」。

 

また言った、

 

「わが子よ、どうか神があなたを恵まれるように」。

 

ヨセフは弟なつかしさに心がせまり、急いで泣く場所をたずね、へやにはいって泣いた。

 

やがて彼は顔を洗って出てきた。

 

そして自分を制して言った、「食事にしよう」。

 

そこでヨセフはヨセフ、彼らは彼ら、陪食のエジプトびとはエジプトびと、と別々に席に着いた。

 

エジプトびとはヘブルびとと共に食事することができなかった。

 

それはエジプトびとの忌むところであったからである。

 

こうして彼らはヨセフの前に、長子は長子として、弟は弟としてすわらせられたので、その人々は互に驚いた。

 

またヨセフの前から、めいめいの分が運ばれたが、ベニヤミンの分は他のいずれの者の分よりも五倍多かった。

 

こうして彼らは飲み、ヨセフと共に楽しんだ。

 

創世記 第44章

 

さてヨセフは家づかさに命じて言った、

 

「この人々の袋に、運べるだけ多くの食糧を満たし、めいめいの銀を袋の口に入れておきなさい。

 

またわたしの杯、銀の杯をあの年下の者の袋の口に、穀物の代金と共に入れておきなさい」。

 

家づかさはヨセフの言葉のとおりにした。

 

夜が明けると、その人々と、ろばとは送り出されたが、

 

町を出て、まだ遠くへ行かないうちに、ヨセフは家づかさに言った、

 

「立って、あの人々のあとを追いなさい。

 

追いついて、彼らに言いなさい、

 

『あなたがたはなぜ悪をもって善に報いるのですか。

 

なぜわたしの銀の杯を盗んだのですか。

 

これはわたしの主人が飲む時に使い、またいつも占いに用いるものではありませんか。

 

あなたがたのした事は悪いことです』」。

 

家づかさが彼らに追いついて、これらの言葉を彼らに告げたとき、

 

彼らは言った、

 

「わが主は、どうしてそのようなことを言われるのですか。

 

しもべらは決してそのようなことはいたしません。

 

袋の口で見つけた銀でさえ、カナンの地からあなたの所に持ち帰ったほどです。

 

どうして、われわれは御主人の家から銀や金を盗みましょう。

 

しもべらのうちのだれの所でそれが見つかっても、その者は死に、またわれわれはわが主の奴隷となりましょう」。

 

家づかさは言った、

 

「それではあなたがたの言葉のようにしよう。

 

杯の見つかった者はわたしの奴隷とならなければならない。

 

ほかの者は無罪です」。

 

そこで彼らは、めいめい急いで袋を地におろし、ひとりひとりその袋を開いた。

 

家づかさは年上から捜し始めて年下に終ったが、杯はベニヤミンの袋の中にあった。

 

そこで彼らは衣服を裂き、おのおの、ろばに荷を負わせて町に引き返した。

 

ユダと兄弟たちとは、ヨセフの家にはいったが、ヨセフがなおそこにいたので、彼らはその前で地にひれ伏した。

 

ヨセフは彼らに言った、

 

「あなたがたのこのしわざは何事ですか。

 

わたしのような人は、必ず占い当てることを知らないのですか」。

 

ユダは言った、

 

「われわれはわが主に何を言い、何を述べ得ましょう。

 

どうしてわれわれは身の潔白をあらわし得ましょう。

 

神がしもべらの罪をあばかれました。

 

われわれと、杯を持っていた者とは共にわが主の奴隷となりましょう」。

 

ヨセフは言った、

 

「わたしは決してそのようなことはしない。

 

杯を持っている者だけがわたしの奴隷とならなければならない。

 

ほかの者は安全に父のもとへ上って行きなさい」。

 

この時ユダは彼に近づいて言った、

 

「ああ、わが主よ、どうぞわが主の耳にひとこと言わせてください。

 

しもべをおこらないでください。

 

あなたはパロ(エジプトの王様)のようなかたです。

 

わが主はしもべらに尋ねて、『父があるか、また弟があるか』と言われたので、

 

われわれはわが主に言いました、

 

『われわれには老齢の父があり、また年寄り子の弟があります。

 

その兄は死んで、同じ母の子で残っているのは、ただこれだけですから父はこれを愛しています』。

 

その時あなたはしもべらに言われました、

 

『その者をわたしの所へ連れてきなさい。わたしはこの目で彼を見よう』。

 

われわれはわが主に言いました。

 

『その子供は父を離れることができません。

 

もし父を離れたら父は死ぬでしょう』。

 

しかし、あなたはしもべらに言われました、

 

『末の弟が一緒に下ってこなければ、おまえたちは再びわたしの顔を見ることはできない』。

 

それであなたのしもべである父のもとに上って、わが主の言葉を彼に告げました。

 

ところで、父が『おまえたちは再び行って、われわれのために少しの食糧を買ってくるように』と言ったので、

 

われわれは言いました、

 

『われわれは下って行けません。

 

もし末の弟が一緒であれば行きましょう。

 

末の弟が一緒でなければ、あの人の顔を見ることができません』。

 

あなたのしもべである父は言いました、

 

『おまえたちの知っているとおり、妻はわたしにふたりの子を産んだ。

 

ひとりは外へ出たが、きっと裂き殺されたのだと思う。

 

わたしは今になっても彼を見ない。

 

もしおまえたちがこの子をもわたしから取って行って、彼が災に会えば、おまえたちは、しらがのわたしを悲しんで陰府に下らせるであろう』。

 

わたしがあなたのしもべである父のもとに帰って行くとき、もしこの子供が一緒にいなかったら、どうなるでしょう。

 

父の魂は子供の魂に結ばれているのです。

 

この子供がわれわれと一緒にいないのを見たら、父は死ぬでしょう。

 

そうすればしもべらは、あなたのしもべである白髪の父を悲しんで陰府に下らせることになるでしょう。

 

しもべは父にこの子供の身を請け合って『もしわたしがこの子をあなたのもとに連れ帰らなかったら、わたしは父に対して永久に罪を負いましょう』と言ったのです。

 

どうか、しもべをこの子供の代りに、わが主の奴隷としてとどまらせ、この子供を兄弟たちと一緒に上り行かせてください、

 

この子供を連れずに、どうしてわたしは父のもとに上り行くことができましょう。

 

父が災に会うのを見るに忍びません」。

 

創世記 第45章

 

そこでヨセフはそばに立っているすべての人の前で、自分を制しきれなくなったので、「人は皆ここから出てください」と呼ばわった。

 

それゆえヨセフが兄弟たちに自分のことを明かした時、ひとりも彼のそばに立っている者はなかった。

 

ヨセフは声をあげて泣いた。

 

エジプトびとはこれを聞き、パロの家もこれを聞いた。

 

ヨセフは兄弟たちに言った、

 

「わたしはヨセフです。父はまだ生きながらえていますか」。

 

兄弟たちは答えることができなかった。

 

彼らは驚き恐れたからである。

 

ヨセフは兄弟たちに言った、「わたしに近寄ってください」。

 

彼らが近寄ったので彼は言った、

 

「わたしはあなたがたの弟ヨセフです。

 

あなたがたがエジプトに売った者です。

 

しかしわたしをここに売ったのを嘆くことも、悔むこともいりません。

 

神は命を救うために、あなたがたよりさきにわたしをつかわされたのです。

 

この二年の間、国中にききんがあったが、なお五年の間は耕すことも刈り入れることもないでしょう。

 

神は、あなたがたのすえを地に残すため、また大いなる救をもってあなたがたの命を助けるために、わたしをあなたがたよりさきにつかわされたのです。

 

それゆえわたしをここにつかわしたのはあなたがたではなく、神です。

 

神はわたしをパロの父とし、その全家の主とし、またエジプト全国のつかさとされました。

 

あなたがたは父のもとに急ぎ上って言いなさい、

 

『あなたの子ヨセフが、こう言いました。

 

神がわたしをエジプト全国の主とされたから、ためらわずにわたしの所へ下ってきなさい。

 

あなたはゴセンの地に住み、あなたも、あなたの子らも、孫たちも、羊も牛も、その他のものもみな、わたしの近くにおらせます。

 

ききんはなお五年つづきますから、あなたも、家族も、その他のものも、みな困らないように、わたしはそこで養いましょう』。

 

あなたがたと弟ベニヤミンが目に見るとおり、あなたがたに口ずから語っているのはこのわたしです。

 

あなたがたはエジプトでの、わたしのいっさいの栄えと、あなたがたが見るいっさいの事をわたしの父に告げ、急いでわたしの父をここへ連れ下りなさい」。

 

そしてヨセフは弟ベニヤミンのくびを抱いて泣き、ベニヤミンも彼のくびを抱いて泣いた。

 

またヨセフはすべての兄弟たちに口づけし、彼らを抱いて泣いた。

 

そして後、兄弟たちは彼と語った。』

 

 

 

ヨセフは、自分を奴隷として売り飛ばした腹違いの兄達が穀物を買いに来た当初、なかなか許すことが出来なかったようです。

 

「エジプトをスパイしに来たんだろ」と言いがかりを付けて、監禁所に三日間閉じ込めて、同じ母から生まれた弟を連れてこない限りスパイの容疑は晴れないと言って、人質として兄の1人を監禁所に縛っておいたそうです。

 

まあ、でも食料はちゃんと渡して、代金として受け取った銀は袋に入れて返して、無料で食料を与えました。

 

通常の人間なら、自分を奴隷として売り飛ばしたような人達には絶対に食料を与えないのではないでしょうか。

 

「あいつらだけは絶対に許さない」

 

「お前らにやる穀物は一粒も無い!!」

 

そして、自分にひどいことをした人達が飢えて苦しむのを見て、

 

「せいせいするわ」

 

「俺が味わったのと同じ苦しみを味わえ」

 

と復讐を果たすのではないでしょうか。

 

実際、ババジ様の過去生であるチベットのヨギのミラレパは、子供の時に父親が早く亡くなって、親戚に財産を奪われてしまい、母親と妹と共に非常に貧しい生活をさせられて、後に黒魔術で親戚に復讐を果たしています。

 

ダスカロスの過去生では、前世で自分を殺した人達を、次の人生で逆に殺害して復讐しました。

 

ラムサ様も、アトランティス人に弟を連れ去られて慰みものにされ、母親を暴行され、妹が生まれる時に母親が亡くなり、妹も下痢のため栄養失調で亡くなったため、アトランティス人に対する憎悪が膨れ上がり、街を焼き討ちにして、弟を連れ去った地方総督を殺しました。

 

この地球は、この銀河系の諸惑星を追放された罪人が送り込まれた刑務所なので、頭のおかしい人がたくさんいます。

 

自分の財産を奪ったり、自分を殺したり、自分の家族にひどいことをした人に復讐するのは正しいことのように思う人もいるかもしれませんが、そう思うのは肉体的自我意識の部分であり、超意識である内なる神はそのようなことは望んでいません。

 

地上における人間同士の喧嘩は、内なる神が飼っている飼い犬が、飼い主の制止を振り切って戦っている状態です。

 

しかし、どのように飼い犬が凶悪でも、その犬の飼い主は完璧な存在で、自分の内なる神と兄弟なのです。

 

ですから、自分の内なる神と、敵の内なる神が憎み合っているということはあり得ないのです。

 

しつけが上手く出来ていなくて、他人に噛み付いて保健所に入れられているような犬と同じレベルの人間が収監されているのが地球なのです。

 

食べる物が何も無くなって、お腹を空かして餓死しそうな人を、全宇宙の創造主である神様が見て「ざまあみろ」と思われるでしょうか。

 

神様にとっては、すべての存在は自分の子供なのです。

 

自分の子供が苦しむのを見て喜ぶ親がいるでしょうか。

 

神様はすべての存在を包み込んでおり、すべての生命の中に宿っているのです。

 

イエス様が神と合一して、全能の力を発揮出来たのは、過去生のヨセフの時に「自分にとって最悪の敵を許して助ける」という試練をくぐり抜けたからです。

 

何も悪いことをしていないのに、自分を奴隷として売り飛ばした憎い兄達を許して、食糧を与え餓死から助けた時、ヨセフの魂はすべての人の幸せを願う全宇宙の創造主である神様と同じレベルへと高まったのであり、その結果、イエス様の生涯において内なる神との合一を達成することが可能になったのです。

 

もし、このヨセフの人生の時に、「お前らにやる穀物なんて一粒も無え!!」と追い払っていたら、ヨセフのパーソナリティーは復讐を果たしてせいせいしたかもしれませんが、イエス様の生涯において、内なる神との合一を達成して、完全な神の化身となることは遠のいたのではないでしょうか。

 

そのような生き方をしていたら、きっといつまで経っても ごく普通の人間として輪廻転生し続けていたのではないでしょうか。

 

実際、親戚に復讐してしまったババジ様の過去生のミラレパ様は最後に毒殺されましたし、ダスカロスは敵を殺害したカルマのため心臓に障害を持っていましたし、ラムサ様は丸腰の時に背中から剣を突き刺されて、瀕死の重傷を負いました。

 

すんなりアセンションへの道を邁進することは出来ず、遠回りして代償を払ったようです。

 

ラムサ様は、重傷を負ったため、自分では何も出来なくなり、身の回りの世話を女性陣に委ねることになり、その女性達の献身的な看護から人を愛することを学んで完全性を手に入れたとおっしゃっております。

 

ダスカロスは、その後の人生においてイエス様の弟子となった時に、敵を許すことを教わりました。

 

神との合一を達成して全能の力を手に入れる前に、敵を許すことが必要とされているのは、敵を憎み続けている人間に全能の力が備わったら、その力を復讐することに使う可能性が大きいからです。

 

それはテロリストに核爆弾を与えるのと同じくらい危ないことです。

 

神との合一は、敵を許し、完全な無害性を達成した存在だけに開かれるのです。

 

我々は完成されたイエス様だけを見て、救世主として崇めるのではなくて、神との合一を引き起こした要因を、自分にとって最悪の敵を許した過去生に見つけて、それを見習うべきなのです。

 

そして、イエス様があらゆる人々から忌み嫌われた皮膚病に苦しんでいる人や、悪霊に取り憑かれた人を無条件に助けたのは、イエス様も過去生で兄達に奴隷として売り飛ばされて、何も悪い事をしていないのに2年間も牢屋に閉じ込められて、誰にも助けてもらえず苦しんでいたことがあったからであり、そんな地獄を体験したからこそ、地上で苦しんでいる人達を見殺しにすることが出来なかったのです。

 

イエス様の「敵を愛しなさい」という教えは、理想論ではなくて、イエス様の魂が地上で苦しんで自ら体得した天界に戻るための秘訣なのです。