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 一昨日昨日とヨハンナ・シュピーリ(1827-1901)原作《ハイジ》に登場するハイジ、デーテおばさん、ロッテンマイヤー夫人という3人の女性の境遇を採り上げてみましたが、フジテレビが放送した《世界名作劇場》の中でわたしが最も好きだったのは《牧場の少女カトリ》でした。

 

 ヨハンナ・シュピーリよりほぼ60歳若いアウニ・エリザベト・ヌオリワーラ(1883-1972)が自身のおばあさんに聞いた話を纏めたという体裁の小説が原作ですから、主人公のカトリ・ウコンネミはヨハンナさんのほぼ同世代であり、19世紀前半に少女時代を送った人物と言うことが出来るでしょう。

 

 ハイジの唯一の身寄りだったデーテ叔母さんがドイツに働きに行ったように、カトリの母もドイツに働きに行った侭帰って来ません。わたしはまだ原作を読んでいないのですが、原作ではお母さんはドイツで再婚して仕舞い、残されたカトリは奉公に出され、農場を転々とし乍ら羊飼いから使用人を経て最後は女主人に収まるようです。

 

 アニメはカトリ3部作を基に制作された独自のシナリオで、時代も原作者ヌオリワーラと同時代のロシア革命前夜に移されており、苦役に耐えて学問を身に付けたカトリはヘルシンキで作家になっています。しかし、原作のカトリは奉公先での奴隷のような境遇に耐え乍ら次第に周囲に認められるようになり、自ら農場のおかみさんの地位を手に入れます。

 

 実家の口減らしのために幼少期から奉公に出され、最後にスーパーマーケットチェーンの経営者に成り上がった《おしん》を彷彿とさせるその展開は児童文学と言うには余りにも過酷で、その侭ファミリー向けアニメの原作とするのは難しかったのでしょう。

 

 カトリ3部作(Paimen, piika ja emäntä、 Paimen, piika ja emäntäーII、Isäntä ja emäntä)の出版はWikipedia《Auni Nuolivaara》によると1936-1937年のこと。原作者のアウニさんは「19世紀の女性はこんな苦労をして来たんだよ」という歴史を残して置きたかったのでしょう。

 

 《世界名作劇場》には身寄りの無い児童のビルトゥンクスロマンが多い印象がございましたが、改めて作品一覧を確認すると、必ずしもそうでもないようです。つい最近、オープニングとエンディングのテーマソングを歌った小林千絵さんの現在の活動を報じた芸能ニュースを目にしましたが、エンディングの《風の子守歌》が好きだったことを思い出しました。

 ところで、この日NHKが報じた首都圏のニュースに驚きました。

 去年1年間に全国の警察に届けられた落とし物が約2,979万点と過去最高の多さだったとか。このうち、動物は25,535匹で、イヌが12,722匹、ネコが4,382匹、その他の動物が8,431匹だったそうです。

 

 ニュースによると、「ことし3月には、都内の警察署に『フクロモモンガ』が落とし物として届けられ、警察官がインターネットで生態を調べながらエサを与えたり、新聞紙で隠れ家を作ったり、世話に追われていました」とのこと。

 

 「落とし物として届けられた動物たちは、警察署で2週間程度飼育したあと、動物愛護センターや愛護団体、愛好家の人たちのもとに預けられ」るそうで、落とし物としての3箇月の保管期間の間に「拾った人が希望すれば、拾った人に引き渡し、希望しない場合は動物愛護センターや愛護団体側に引き取りを依頼」、引き渡しや引き取りが難しいケースでは、「やむをえず、警察官や職員が、自宅で飼うことになるケースも多い」のだそうです。

 

 止むを得ず飼育が難しい動物を引き取った警察官や警察職員の実例を知りたくなりました。わたしも以前、淀橋市場の中でアオダイショウか何かのヘビを拾ったと言って交番に届けた人が居たという話を耳にしたことが在りますが、野良ヘビの場合、3箇月の保管期間が経過した後はどうするのか気になりました。