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 昨日火曜日から半袖シャツにホワイトジーンズで出勤していますが、朝も寒く感じません。火曜日夕刻は風も吹いて少し肌寒く感じ、水曜日の朝、都心では雨も降っていましたが、今月初め迄の花冷えが何だったかと言いたくなる程の気候の変りよう。我が家のモッコウバラもどんどん開花が進み、街路樹のハナミズキも開き始めています。
 この日の朝早くNHK-G《映像の世紀 バタフライエフェクト》の続きと同じく《歴史探偵》を半分程視聴しました。

 《バタフライエフェクト》が今回採り上げたのはノルマンディー上陸作戦。既に知っているエピソードが殆どでしたが、知らなかったのは上陸地点で迎え撃つドイツ軍を壊滅するため、後背地の集落を無差別爆撃したこと。

 

 番組HPは番組内容を

 

「『砂浜には兵士の死体の他は何もなく、眼鏡を捜してはい回る従軍牧師がいるだけだった』、これはノルマンディー上陸作戦で兵士として戦った作家サリンジャーの未発表作品の一節。この作戦には15万の兵員が投入され、初めて戦場を経験する者も数多くいた。船の扉が開いた瞬間、ドイツ軍の銃弾が襲う。身を守る物などない中、兵士たちは恐怖を押さえつけ陸地に向け飛び出していく。連合軍を勝利に導いた名もなき人々の犠牲の記録。」

 

と纏めていましたが、《名もなき人々》のプロジェクトXのようなものでは決して在りません。

 

 迎撃する筈の戦車部隊に総統の命令が降りなかったことも在り、連合国軍側の死者はアイゼンハワー司令官の想定の約10分の1(5千人台)に留まったものの、この無差別爆撃で35,000人の民間人が犠牲になったそうです。

 
 オーバーロード作戦に参加した作家J・Dサリンジャーは第一次世界大戦での武勲を語る父親に反発して、この作戦に参加した者は如何なる形でもこの作戦を語ってはいけないし、死者を英雄にしてはならない。さもなくば、武勇伝を聞いた若者たちが新たなヒトラーを生み出すだろうと言い返したとのこと。サリンジャーのこのような姿勢についてWikipedia《J・Dサリンジャー》は、
 
「サリンジャーは作中において第二次世界大戦の過酷さを多数描写しているが、自身の経験として直接的に言及することを一切せず、避けた」
 
と記しています。
 
 サリンジャーの懸念を他所に、終戦から17年後には20世紀FOXによって《史上最大の作戦(The Longest Day)》が作られましたが、今回の番組で改めてオーバーロード作戦を振り返ってみると、この映画は連合国軍・ドイツ軍双方の動きをかなり史実に忠実に再現しており、レジスタンスを中心としたフランス人の対応も記録していたことが判りました。
 
 けれども、フランスの民間人として印象に残るのは、アメリカ海軍による大規模な艦砲射撃に喝采を挙げて国旗を振り回しているうちに巻き添えを喰らって死んで仕舞う市長のみ(このシーンのお陰で市長を演じたブールビルというコメディアンがわたしの記憶に残っています)。但し、映画の中ではアメリカ軍による無差別爆撃や民間人犠牲者は描かれなかったと記憶しています。
 
 ノルマンディー地方に於ける民家人犠牲者や連合国軍上陸後の性被害について、フランス国内のみならずアメリカでも検証が始まっているようです。

 2019年6月4日付BBCニュースは、「これほどの民間人の犠牲が果たして必要だったのか、米英軍による解放を待たなくてはならなかったのはどうなのか、フランスでは議論が続く。」と報じ、同年5月27日付AFPはウィスコンシン大学メアリー・ルイーズ・ロバーツ教授の研究書《What Soldiers Do: Sex and the American GI in World War II France》に基づいて、「教授によると、米軍では当時『フランス人に対して優位に立つ』手段として性欲、買春、レイプが取り入れられていたという。」と報じていました。著作の意義について記事は

 

「ノルマンディー上陸作戦から約70年たった今、同書を出版する理由についてロバーツ教授は、歴史を書き換えたいわけではなく、『フランス側から見た実態』を明らかにすることによって、ただの『空虚な英雄譚』にとどまらない『人類の経験の1つ』としてノルマンディー上陸作戦を捉え直すのが目的だと説明している」

 

と纏めていました。