《バタフライエフェクト》が今回採り上げたのはノルマンディー上陸作戦。既に知っているエピソードが殆どでしたが、知らなかったのは上陸地点で迎え撃つドイツ軍を壊滅するため、後背地の集落を無差別爆撃したこと。
番組HPは番組内容を
「『砂浜には兵士の死体の他は何もなく、眼鏡を捜してはい回る従軍牧師がいるだけだった』、これはノルマンディー上陸作戦で兵士として戦った作家サリンジャーの未発表作品の一節。この作戦には15万の兵員が投入され、初めて戦場を経験する者も数多くいた。船の扉が開いた瞬間、ドイツ軍の銃弾が襲う。身を守る物などない中、兵士たちは恐怖を押さえつけ陸地に向け飛び出していく。連合軍を勝利に導いた名もなき人々の犠牲の記録。」
と纏めていましたが、《名もなき人々》のプロジェクトXのようなものでは決して在りません。
迎撃する筈の戦車部隊に総統の命令が降りなかったことも在り、連合国軍側の死者はアイゼンハワー司令官の想定の約10分の1(5千人台)に留まったものの、この無差別爆撃で35,000人の民間人が犠牲になったそうです。
2019年6月4日付BBCニュースは、「これほどの民間人の犠牲が果たして必要だったのか、米英軍による解放を待たなくてはならなかったのはどうなのか、フランスでは議論が続く。」と報じ、同年5月27日付AFPはウィスコンシン大学メアリー・ルイーズ・ロバーツ教授の研究書《What Soldiers Do: Sex and the American GI in World War II France》に基づいて、「教授によると、米軍では当時『フランス人に対して優位に立つ』手段として性欲、買春、レイプが取り入れられていたという。」と報じていました。著作の意義について記事は
「ノルマンディー上陸作戦から約70年たった今、同書を出版する理由についてロバーツ教授は、歴史を書き換えたいわけではなく、『フランス側から見た実態』を明らかにすることによって、ただの『空虚な英雄譚』にとどまらない『人類の経験の1つ』としてノルマンディー上陸作戦を捉え直すのが目的だと説明している」
と纏めていました。