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 プラットフォームの電光掲示板によると、サンライズ瀬戸・出雲は上下線で運休している模様。山陰中央新報と瀬戸内放送が報じていましたが、東海道本線内の線路支障と言うばかり。どうやら、名古屋市内の法面崩落がまだ復旧していなかったようです。

 NHKニュースや新聞が掲載している写真を見ると、道床が載っている土手の法面が擁壁とともに崩落したようで、JR東海の線路に並走している名鉄の工事を担当している事業者が3月12日午後3時半頃に崩落を発見。JR東海では午後4時から名古屋・岐阜間で上下線の運転を見合せ、線路設備を確認していましたが、午後9時20分頃に運転を再開したそうです。

 風の強い日が続いています。何処に行っても高層ビルばかりですので、 雨の日も傘が役に立ちません。

 

 それでも、夜明けが早くなりました。毎年多忙にかまけて疎かにしている春分から夏至迄の3箇月を今年は大切にしたいと思います。

 

 さて、本日は昨日採り上げ損ねた上智大学の入試問題の話題を改めて採り上げてみようと思います。

 記事によると、2024年度の日本史の問題文の中で

 

「2025(令和7)年開催予定の日本国際博覧会(大阪・関西万博)では、海外パビリオンの建設が遅れているという。ウクライナ戦争等に由来する建築資材の高騰や人手不足のために、日本国内の建設業者と契約が進まないのが原因らしい。しかしそもそも、オリンピックや万博といったメガ・イベントで都市を宣伝し、各種の奇抜かつ大規模な建築物を配置、国内外からの観光客を呼び込むという経済活性化の方法自体、もはや前世紀の遺物なのではないか。(以下略)」

 

という提起がなされ、コンテンポラリーなイシューに沿って日本史を概観する問題が出されていたそうです。そして、最も最後に出された出題は次のようなものだったとか。

 

>〈祝祭型資本主義〉の意味するところを理解したうえで、問題文を参考に下記①~④から1つを選び、どのような〈祝祭〉を目くらましにどのような政治目的が果たされようとしたのか、200字程度で説明しなさい(事例によっては、「資本主義」は「専制政治」などへ置き換えて理解してもよい)。

 

① 古代における東大寺大仏の造営
② 謝恩使・慶賀使など琉球使節の江戸入り
③ 大日本帝国憲法の発布
④ 1964年オリンピック東京大会の開催

 

 ①~④の全てに答えるのは難しいし、200字以内に要領良く纏めるのに時間が掛るかも知れません。例えば、①では

 

「藤原不比等の強権(長屋王の変や藤原光明子の立后)、藤原広嗣の乱、疫病(天然痘)の流行を背景として、このような世情に対する不満や不安を仏教によって抑えようとする鎮護国家を理念として大仏建立や国分寺建立を進めた云々」

 

を書きたいところですが、上手く纏めることが出来るかどうか自信が在りません。

 

 小学校から高校に掛けて日本史を或る程度真面目に学んでいれば、何れもそこそこ答えられる出題とは思いますが、《歴史は暗記科目》というような勉強しかしていないと、試験会場で慌てて仕舞って何を書いて良いか判らなくなり、頭の中も答案用紙も真っ白になること請け合いです。

 

 上智の入試は、兎に角英語の出題数が多くて、鉛筆を転がして運を試す暇も無かったことを記憶しているのですが、2024年度の日本史のこの問題に関しては良い問題だと思いました。

 

 尤も、他大学でも世界史・日本史の出題にはこの類のものが意外に少なくなかったことも記憶しています。以前も書きましたが、駿台予備学校のテキストに掲載された東京医科歯科大学か何処かの医大の世界史では、《梅毒伝播の歴史》を採り上げていました。

 

 コロンブスの艦隊が欧州に持ち帰ったとされる梅毒が欧州全域に拡大したのはフランスのイタリア侵攻を契機とするため、イタリア人はこの疾病をフランス病と呼び、フランス人はナポリ病と呼んだということです。16世紀になると極東の日本にも伝播しましたので、この疾病をテーマに出題することによって15-16世紀の世界各地の動きを追って出題することが可能です。

 

 ところで、3月6日付東洋経済オンラインでは同じ筆者が1983年度東京大学二次試験の日本史の出題を採り上げていました。曰く、

 

「次の文章は、数年前の東京大学入学試験における、日本史の設問の一部と、その際、受験生が書いた答案の一例である。当時、日本史を受験した多くのものが、これと同じような答案を提出したが、採点にあたっては、低い評点しか与えられなかった。なぜ低い評点しか与えられなかったかを考え(その理由は書く必要がない)、設問に対する新しい解答を5行以内で記せ。(以下略)」

 

 何と数年前の出題に対する受験生の答案にダメ出しした上で再出題したとのこと。この記事に対するヤフコメを見ると、《受験生が書いた答案の一例》と言い乍ら、実は予備校が作成した模範解答だったとも言われているようです。この噂が本当だったとすると、予備校の先生はさぞ模範解答が作り難くなったことでしょうね。

 

 これらの連載を通じて筆者が言いたかったのは、

 

「歴史は暗記科目などではなく、疑問を見付けて仮説を立て検証する学問である」

 

ということだったようです。

 

 上智大学の出題では《祝祭型資本主義》という用語を使用していましたが、確認したところ、元オリンピック選手のジュールズ・ボイコフ氏が提示した概念だそうで、2021年9月1日付東京新聞Tokyo Webでは、《祝賀資本主義(セレブレーション・キャピタリズム)》という用語を使用していました。記事は祝賀資本主義について

 

「ボイコフはナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』(2011年、岩波書店)から大きなヒントを得ている。『惨事便乗型資本主義』とは、災害や戦争などが起きた時に、『惨事』に便乗する形で既存の制度が解体され、新自由主義的な政策が実行されることである。ボイコフは『祝賀資本主義』もその派生形態であると論じる」

 

と説明していましたが、そうすると、このイシューは最近の比較的ホットなイシューということが言えそうです。しかし、仮に問題文が採り上げたイシューがホットなイシューだったとしても、出題されるのは学習したことの在る歴史上のトピックばかりですから、問題文が採り上げたイシューの観点から歴史上のトピックを振り返ることが出来るかどうか、答案作成の成否は其処に在るのですけどね。