日曜日の朝、リビングに下りてみるとTVのモニターに架け替えを待つ蔓橋の映像が映っていました。
「何処の蔓橋ぢゃろか」
と思いつつ暫く眺めていると、果たして祖谷の蔓橋でした。
NHK+でもう一度確認したところ、ラジオ深夜便の中川緑アンカーが真冬の祖谷を訪ねていました。
集落のビニールハウスでは冬の間もダイコンが凍って腐ることのないよう土の中に寝かせて土を被せる作業中。奥さんは切って湯掻いたダイコンを干しているところでした。
お二人にお家に上げて貰って中川アンカーが頂いたのは蕎麦雑炊。
「今ぢゃ高級品。偶に食べると旨いもんよ。」
と仰るご主人によると、煙草が終ると蕎麦、蕎麦の次は麦の三毛作が当り前だったとのこと。確かに。わたしは夏冬の学校の休みに亡父の生家に嫌々連れて行かれただけですが、それでも煙草を作っていたことは覚えています。
雨が雪に変った日、中川アンカーが蔓橋の架け替え現場を訪ねてみると、太い蔓を輪にして薪にくべている最中。柔らかく巻き易くしているところでした。すっかり雪に覆われている中での架け替え作業。
蔓橋の蔓はサルナシの蔓と覚えていたのですが、番組ではシラクチカズラと紹介していたので一寸調べてみたところ、果たしてサルナシでした。
お年寄りの言葉は懐かしい言葉でしたが、集落に2人だけの子どもたちの言葉は随分共通語っぽくなっていました。それでも2人の子どもたちが飼い犬を散歩させていると、
「おい。おい。」
と声掛け乍ら犬の頭を撫でる口調はうちの亡父と似ていました。こういう集落がまだ山の斜面に幾つも点在しているそうです。
わたしの親戚にも平家の落人を示す《平》で始まる名字の家が幾つも在りますが、祖谷に限らず、阿讃山脈の山中は似たような暮しだったのでしょうね。
1月14日付徳島新聞によると、架け替えが始まったのは1月9日。13日には24人が参加する見学会が開催されたそうですね。
四国放送のリポートによると、
>材料となるシラクチカズラは、2023年秋に高知県の国有林で採集されたものです。
>直径2cm以上のものが使われ、総重量は、6トンにもなるんだそうです。
リポートの中で観光ガイドさんは
「このぐらいですと、15分から20分で蒸しあがるということです、柔らかくなる。で、このクラスだと30分から40分はかかるということ。カズラにはクセがあるので、まっすぐするために一度蒸して、引っ張って、曲がりを直しておるらしいです」
と説明していました。《小さな旅》って、取材から10日程でオンエアしていたのですね。
戻って来て我が家の玄関先を覗いてみると、植木鉢のスノードロップが1輪咲き始めていました。
この日、スマホで目に付いたのがこちらの記事。
スペイン人の書いた記事のようですが、一部を抜き出してみると、
「事実、日本文化は、相反する物事の共存を提案しているのだ──もはや存在しないものと、なお存在することをやめないものの共存を。」