そうですね
おぼろげではございますが、
あれはまだ冷たい
厳冬の、
一月
背中の翼を
大きく広げて
神様からの使いの、
小さな
ちいさなお客さんがやってきました。
そのお客さんは、
とってもおとなしくて
チャーミングで、
あふれんばかりの
愛々しさいっぱいでした。
余寒まだまだ厳しい、
二月
少しずつ暖かな碧空に近づき、
春陽の兆し
三月
うね雲が美しい、天穹
ふんわりたなびく、
桜花 ほころび始める、
四月
だんだん日差しも強くなり、
小さなお客さんは、
とってもやんちゃになってきた。
万緑
五月
はしり梅雨
六月
今日は、
ちょっとだけにしとこね。
ううん、
わたし
雨がやんでも
やっぱり濡れることが、
大嫌いなの
だから いかないの。
梅雨たけなわ
七月
うつ蝉
蝉が鳴きだしたね。
一斉に鳴き たて、
一斉に、
泣きやむ
果敢ない生涯
今日は、
夕立ちがきそうだね
ひぐらしの鳴き声を耳にする
8月
そろそろ、
白露晩夏
九月
もの悲しい万華鏡の よう
見てごらん、
キレイな空だね、
寒露の、
十月
もう帰ろかね
十一月
青い月も、にっこり
茜色の落陽
冷たい冬空
十二月
一年、365日
時、流れる積日
明けましておめでとう
今年も仲良くしようね。
一月
そうですね、
初めはとってもチャーミングなお客さんだったはずなのに、
いつしか私の中で、
お客さんは
家族になっていた。
ですがわたしはまだそれに、
気づかずにいた。
その表情はまるでパロディー
同じお顔は、
一度も見たことがなかった。
そうですね、
私は
ここ 二、三年前から、
空をあまり、
撮らなくなりました。
なぜなのか
わたしはそれに少しずつ、
気づき始める。
空を撮る虚しさが、少しずつ埋まっていたからでした。
けれども、
わたしの気づきが
遅すぎたことに、
気付く
そうですね、
あれは季節移ろう、
4198日目の
梅雨さなか
この 七月
私は、
あまりにも突然すぎて
いったい何が起こったのか、
いったい何がどうなっているのか、
わかりませんでした、
理解できませんでした。
その日を境に、
私の中に
空はもうなくなり、
撮るのは、
この道と、
お庭
二千二十一年、
この七月の、
過ぐる日
わたしは、
空以外も、
突然見えなくなりました。
しっかり
目を開けているのに、
見えない、
見えない。
私はもう一度、
空を見上げてみました。
だけど久しぶりの空が
やはり見えない。
わたしに
見えたのは、
陽炎のように、
小さな小さな細かなものが
空へと舞いがる光景のみ。
雨は
止むことも知らず、
わたしの頬には、
ぬぐってもぬぐってもとめどなく
零れる、
もの
それは、
信じたくない、信じがたい
わたしはきっと、
夢をみているのだろう
そうだ、
そうに違いない。
わたしは、
止むことのない涙で、
心を、
置く場所が見えなくなった。
わたしはわたしに、
幾度も幾度も言う。
違う、違う、違う
夢を見てるんだ。
だけどこんなにも、
やるせない。
わたしの中のこの雨、
切なくて、
いたたまれなくて、
私は、
ひとりでは立っていられなくなった。
あなたの魂は、
いったい、
いったい、
どこに行った？
あまりにも突然すぎて、
急すぎて、
覚悟はできていたはずなのに
できていなかった。
クッシング症候群
私は何が起こったのか
いまだに理解できずに、
悲しい、切ない、やるせない、いたたまれない
心が果て無く、
押しつぶされる。
神様
どうかどうかどうか、
なんでもいう事を聞きますので、
この笑顔を私たち夫婦に、
返してください。
ららも私達夫婦も、
何が起こったのか理解できずのまま
ここで、
共に魂が彷徨い続け、
六日過ぎた。
けれどもその、
突然すぎた六日後の早朝
ほんの数分にわたり
天から、
虹の架け橋がかかり、
ららはやっと、
何が起こったのか悟る。
あの、
くったくのない笑顔で架け橋を渡りはじめ、
神様の元に帰っていきました。
私は思いました、
何が起こったのか理解できなかったのは、
私たち夫婦以上に、
らら本人だったような気がします。
天と地を繋ぐ、虹の架け橋。
やっと、やっと戻れたね。
我が命の全けむかぎり 忘れめや
いや日に異には 思ひ益すとも
「ららへ」
4198日をありがとう
またあちらで、
きっと、
逢いましょう。
最後に皆さま方に、
どうしてもお伝えさせていただきたく思います。
去る年2018/の五月
らら、私共夫婦の為に、
皆さまからたくさんのリブログ拡散いただき、
その後ららの二年間、
痛くも辛くもなく普通の犬生活で
元気で明るく過ごすことができました。
私共夫婦、
そしてららも、
皆さまに手を合わせ感謝の気持ちでいっぱいです。
深くお礼申し上げます。
らら、
十一年と六か月
ららを今まで見守っていただきまして、
ありがとうございました。