発問に必要な各要素をどう組み合わせて実際の発問にしていくのかについて述べています。
今回は、登場人物の価値観・生き方を読解・聴解するための発問づくりについて考えていきます。
価値観・生き方とは、とても端的に言えば、「何を大切にして生きているのか」ということになります。
したがって登場人物の価値観・生き方を読解・聴解するということは、「すべての気持ち・考え・言動の源となっている、またその人の内面に潜むものの見方・考え方の源となっている、その人が大切にしているもの・ことは何か」をとらえるということになるのです。
この「何」の中身を、その人物が認識しているかどうかは別問題です。認識していようと自分では気づかない状態だろうと(むしろ我知らずということの方が多いかもしれません)、読み手・聞き手がするべきことは、すべてにおいて源になっているもの・ことをとらえようとすることです。
ある対象をとらえるときにはAを大切にしていて、異なる他の場面ではBを大切にしているというふうに、対象や場面で大切にしているもの・ことが変わている人がもしもいたとすれば、その人は支離滅裂な人なのかもしれません。そういう人の価値観・生き方を理解するのは非常に困難なことです。
さきほど、「登場人物の価値観・生き方を読解・聴解するということは、すべての気持ち・考え・言動の源となっている、またその人の内面に潜むものの見方・考え方の源となっている、その人が大切にしているもの・ことをとらえること」だと言いました。
このことを踏まえると、価値観・生き方をとらえるためには次の手順を踏まなければならないことがわかります。
- 状況や出来事の解釈
- 登場人物の気持ち・考え・言動の解釈
- 登場人物のものの見方・考え方の解釈
- 価値観・生き方の解釈
4.の段階では、ズバリ「何を大切にしている人か」と発問すればよいと私は考えています。小学校の低学年・中学年には答えられないなどという思い込みは捨てた方がよいと思います。
もちろん1.~3.の手順をしっかりと踏んで1.~3.の意味内容を実感的に理解していることが大前提ですが、小学校の低学年・中学年の児童たちは、文章中のことばや自分のことばを何とか駆使して何を大切にしているのかをことばにしようとします。その、出そうとしていることばを的確なものに導いていくのが先生の仕事です。
そして登場人物の価値観・生き方をことばにすることができれば、今度は、読み手・聞き手である自分自身の価値観・生き方を意識することができるのです。