橋本欣五郎といえば、昭和初期のクーデター未遂を計画し、戦後は戦犯逮捕された右翼政治家の印象が強い。
その経済政策を読むと国家社会主義であるが、ケインズ主義的な傾向も強く、参考になる部分も少なくない。以下概要を紹介したい。
彼は昭和恐慌の中、自由主義経済を厳しく批判すると共に、反国家的な共産主義も否定した。
「経済の第一の使命は国民生活の保障」と論じる。そして主要産業の国営化を主張した。そして、その論点として
1 計画経済、生活物産の大増産。←これは国家によるインフラ整備と雇用の確保。
2 購買力を国家が創り出す。←内需拡大の為の公共投資。
3 極端なまでの科学利用。←技術革新と労働者の負担減。
4 国家による貨幣増刷。←金融緩和。
生産される現物に応じて貨幣量が増加される。←伸縮的財政政策
現在日本において主要産業国営化は行うべくもないが、各論であるケインズ的マクロ経済方策は学ぶべく点があった。