東京裁判の判事や検事は決して一枚岩ではなく、諸々意見は異なった。

パル判事の全員無罪論はあまりにも有名だが、あの鬼検事キーナンの判決批判がある。

キーナンが死刑妥当としたのは、東條、板垣、武藤の三名。同じ死刑判決を受けた土肥原は「同類とは考えません」とし、廣田、木村には「刑が過酷であったことはまことに遺憾」と後悔した。

逆に終身刑の嶋田は死刑妥当であり、同じく賀屋は無罪とした。重光へは、起訴すらすべきではなかった、と弁護した。

一方、日本に比較的同情的と目されたオランダローリング判事はどうか。

畑、廣田、木戸、重光、東郷は無罪。

東條以下六名(廣田除く)の他、嶋田、佐藤、岡を死刑妥当とした。

キーナンより厳しい。文官に甘く開戦時の軍人に重い。

いずれにせよ、無罪無し、有期刑すら二人しか出さなかった、東京裁判判決の苛烈さが分かる。

参考

『東京裁判を正しく読む』 牛村圭、日暮吉延

『東京裁判』児島襄