ろしければ、みなさんも総理発言 ( 談話 ) を確認してみてください。
 確認は簡単です。
 総理官邸の公式ホームページを見れば、きのうの総理会見の全容がアップされています。
 該当の部分は、総理の冒頭発言の最後近くに出てきます。 ( 官邸公式HPでは、談話ではなく、冒頭発言と表現してあります )

「元号は、皇室の長い伝統と、国家の安泰と、国民の幸福への深い願いとともに、1400年近くに渡る我が国の歴史を紡いできました」
  ここです。
 すなわち「元号は、・・・ ( 最初の元号として大化が定められてから平成まで )   (日本全史の中でも長い期間である ) 1400年近くに渡る我が国の歴史を紡いできました」という意味ですね。
 元号の歴史と役割をごく平易に述べているわけです。
 日本の歴史全体が1400年という意味では、全くありません。 


▼歴史に基づいて幾多の著作をものし、ある世界では確たる声価を得ているプロのノンフィクション作家が「待てよ。日本の歴史が2680年近く続いている ( ・・・ことしは正確には皇紀2679年 ) という皇国史観を否定するにしても、日本の歴史が1400年近く、つまり1400年未満しかないと総理が言うのは、あまりに極端だ。おかしい」と気づかないとこと、「自分が何か勘違いしたかな」とはまったく思わないこと、それらこそ、深刻です。
 安倍総理が皇国史観を否定した、うれしい、という思い込みが先に立ったのでしょうか。

▼もう一度、申します。
 不肖わたしは個人攻撃を意図しませぬ。
 左の側からならどんな思い込みも許されるという、敗戦後の日本社会の正体こそが問題なのです。

▼ちなみに、仮に神武天皇からの暦を一切認めないという立場の人であっても、大化 ( 西暦645年~650年 ) の孝徳天皇 ( ご在位西暦645年~西暦654年・白雉5年 ) の時代から初めて日本の歴史が始まったという珍説は聞いたことがありません。
 たとえば、西暦607年に遣隋使が隋へ持って行った国書において、すでに倭の国王ではなく日出處天子(日出ずるところの天子)と表現しています。
 また総理、そして談話のライターは「645年の大化からおよそ1300年あまりと言うと1945年になってしまう。1400年近くと言うと2045年。こちらの方がいかな」と考えたのだろうと拝察できます。


 いずれにしても、この著名なノンフィクション作家にあっては、聞き間違えでは済まない誤認でしょう。
 一方で、「歴史を基にして主張し、プロとして本を書いているベテラン作家が日本の歴史を知らないのか」といったことも言うつもりはありません。


▼これもまた、ニュースには尻尾があるという一例です。

 もしもよろしければ、拙作の「日めくりカレンダー」 ( 例えばここ ) の第29日にある「ニュースには尻尾がある。それを一緒に摑もう」も参考になさってください。
「日めくりカレンダー」の第26日にある「ひとを誤解するとき、その誤解するひとの本性、欲望こそが投影する」も関連していますね。


▼ああ、やっぱり、次の独立講演会でみんなの眼を見て思い切り話したい。
 いまがその刻 (とき ) です。

第88回 独立講演会@神戸 (2019年 4月27日 : 4月5日(金)正午までお申し込み受付中!)

【講演日】2019年4月27日(土)【講演時間】14時30分~19時00分 予定
【会場】神戸芸術センター 芸術劇場(指定席) 神戸市営地下鉄・JR山陽新幹線『新神戸駅』より徒歩5分こちら
【受講料】一般 5,000円 / IDC(インディペンデント・クラブ)会員 4,000円(税込)
【申込期間】4月5日(金)正午まで

          
 

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