きのうの新元号発表のそのときは、前のエントリーでお話したようにチャンネル桜の「青山繁晴が答えて、答えて、答える」を収録中。そのあとの総理会見も何も見られず、国会日程や党の日程でいつも通り、夜になりました。
 そこで昨日の夜は、いつも見ないテレビのニュースを、とんでも発言や、国際水準からすると異様なまでに左傾した発言を我慢しながら、かつ原稿を書きつつ、見ていました。

▼すると、その世界では非常に著名なノンフィクション作家が「安倍総理は会見で発表した談話で、極めて重要なことを言った。およそ1400年の日本の歴史と発言した。これは皇国史観の否定であり、安倍総理にしては評価できる。皇国史観では、二千六百七十何年かという歴史になっているのだから」という趣旨を発言なさった。 ( 逐語ではなく趣旨です )

 事実ならたいへんです。
 不肖ながらぼくは「安倍総理の発表なさった談話の、およそ1400年というのはそりゃ、最初の元号の大化(西暦645年~650年)から、およそ1400年近くという意味であり、日本全体の歴史ではなく元号だけの歴史だろう」とすぐ思いましたが、談話の正確な中身と総理の発言ぶりを、もう夜遅くではあったけど、あえて問い合わせてみました。
 するとやはり、元号の歴史でした。日本全体の歴史ではありません。
 この作家は歴史、特に現代史に基づいての著作で知られていて、もともとは左翼の学生運動家だったこともご自分で語られています。現在の、つまり論調の変わった文藝春秋や、NHKなどに重宝される存在でもあります。
 考えや思想は別にして、丹念な著作をものされるかただと客観的に言えると思います。
 しかしゆうべは間違いなく、安倍総理が日本の歴史全体を1400年と表現したというトンデモ趣旨で仰っていましたね。
 キャスターはもちろん、聞き返したり、修正したりしません。この番組にレギュラー出演しているコメンテーターらも何も問いません。
 なにせNHKでも民放でも、日本型リベラリズム ( 世界のリベラリズムとはまったく異質です ) の著名人の仰ることに、まさか疑問を差し挟んだりしません。「そういう方々は右派の論者と違って誤謬 ( ごびゅう ) があるはずはございません」が彼らの不動の思い込みですから。

▼このちいさなエントリーのタイトルには「呆れる、とはこのことなり」と記しました。
 その通りなのですが、これは実は、人間は願望によって、とんでもない事実誤認、誤解を誰でもしかねないという普遍的真実の一例でもあるのです。
 だから個人攻撃をするために、このエントリーをしたためているのではありませぬ。

 安倍総理は国会の委員会で最近、皇位継承の安定をめぐって「GHQのやったことを全否定するつもりはない」という趣旨の答弁をし、すわ、旧宮家の復活はやらないという宣言だ、女性宮家の創設だと、なんちゃってリベラル、自称リベラル、リベラリズムなきリベラルという日本国内だけのかたがた、あるいはまごうことなき左翼のかたがたには、盛り上がっている人もいらっしゃいます。
 そして、保守とされる、あるいは保守を自認されるかたがたには、心配や懸念も広がっています。

 こういう流れが背景にもなって、現代史を研究して著作を発表してきた著名作家にも、誤解が生じたのではないかと拝察しています。
 ちなみに、ぼくは安倍総理と意見の違いも多いですが、件 ( くだん ) の国会答弁の真意は、まったく違います。

※より踏み込んでのことは、非公開の場でしか話せません。
 そのための場である独立講演会で話します。
 よろしければ、そしてもしも可能でいらっしゃるなら、どうぞ。こころ待ちに待っています。
 

第88回 独立講演会@神戸 (2019年 4月27日 : 4月5日(金)正午までお申し込み受付中!)

【講演日】2019年4月27日(土)【講演時間】14時30分~19時00分 予定
【会場】神戸芸術センター 芸術劇場(指定席) 神戸市営地下鉄・JR山陽新幹線『新神戸駅』より徒歩5分こちら
【受講料】一般 5,000円 / IDC(インディペンデント・クラブ)会員 4,000円(税込)
【申込期間】4月5日(金)正午まで