読み聞かせ、ダンス、劇……今回のオリジナルとして一応…ミュージカル』
拓実が恥ずかしそうに読み上げるのを順は黒板に書いていった。クラスのみんなは乗り気ではなく、話をつまらなそうに聞いている。
『ミュージカルって…前音楽で見たようなやつ?』
『ミュージカルなんて面倒くさいしー、時間かかるし簡単なやつにしよーよー』
当然だ。毎年そんな面倒くさいことはやっていないし、部活にも力の入っている時期だから手間のかかることはしたくないのだ。
(だからミュージカルなんてできるわけ…)
『まぁまぁ、そういうなよ…俺っち音楽教師だからさあ?バックアップしちゃうよ~?』
しまっちょがやる気なさそうにそういうと、
『ミュージカルやるっていってもよ、そこの喋れねぇ女どうすんだよ!委員に喋れなくて使えねぇ女いて、ミュージカルとか謎すぎんだろ!』
『田崎、いい加減にしろ』
大樹が文句をつけているのを、しまっちょは普段見ない形相で怒る。
もう一人、普段しない顔をしている生徒がいた。
『使えねぇのはどっちだよ』
拓実だった。感情をあらわにすることのない拓実が珍しく感情を全面的に出して怒っていることに驚きクラスは静まる。
拓実は教卓の段から降り、大樹の方へ歩きながら続ける。
『お前、知ってるか?お前の後輩、お前のこと甲子園かかった試合で肩ぶっ壊したポンコツで部活くんなっていってたぞ!!!可哀想だな後輩もそんな先輩に怒られて!!!!』
『あぁ?!』
そういって声を張り上げたのは大樹ではなく三嶋 樹だった。
樹は野球部のキャプテンであり、大樹の親友で、大樹の無念を察して野球部を引っ張ろうとしている大樹にとっても親友である、
『お前なにいい加減なこといってんだ!大ちゃんの何がわかる!お前に!!!!』
そういって拓実の目の前までいき、胸ぐらを掴む。
『お前らいい加減に…』
『わーたーしーはー、やーれーーるーよー…、不安は、あるけーどーきっと…でき…る…』
クラスが全員静まった。綺麗な声だった。
途中で恥ずかしくなってしまったのか、声が小さくなっていった。
クラスみんなが順の方に視線を集めると、順は顔を赤くして、教室を出て行ってしまった。
『あれ、もしかしてミュージカル?』
『前の授業で聞いたやつじゃない…?』
『綺麗な声だったね…』
クラスの話題の中心が、大樹や拓実ではなく順に移り三人とも落ち着いたのか
やりすぎたわ、俺こそごめん。
などと、謝罪の声が聞こえた。
菜月が順を探しに廊下に出ると、拓実もそのあとを追いかけた。
