学校生活 52−2 慶應義塾普通部 保護者会 1、2、3年生7月
次にお話をすることは普通部のスタンスです。
私も学校説明会でいつもお話させて頂いておりますが、入学してしまうと改めて普通部のスタンスの話はしないですね。
ましてや幼稚舎からの方はなじみのない話かもしれません。
そのスタンスは「あくまでもゆっくり」勿論、世の中の速度にも。
これですね。
そして、伝統を守っていく、学ぶ、自ら学ぶ。この辺がキーポイントになっております、いつも学校説明会で言っていることです。
この中で学ぶということについてお話したいのですが、昨日も終業式がありまして子供たちに「教わるということと学ぶ」ということの違いについてお話したのですが普通部の校歌の中にも「よく学び」という一節がありますが、「学ぶ」ということは一生かけても学ぶ、つまり現在進行形なのですね。
深い言葉です。
それに対して「教わる」と言うのは一過性のもの。教科やその他で色々な教えがありますね。
つまり教わる、授業を通して教わる、これは一般に行われていることなのですが普通部は伝統的に教わるということよりも「学ぶ」ということに力を入れている学校です。
ここがもしかしたらある意味では点数が取りにくい学校なのかもしれません。
各教科も「学ぶこと」に力を入れているのでただ知識を習得するだけではだめですね。
レポートが大変、色々なところで普通部は大変、特に内容が教科書を超えてというよりも独自のものになっている。
これは何がそうさせているかというと、あまりこんなことを話した事はないのですがこれが「学ぶ」ということを意識した教育なのですね。
先ほどからいってますように「教わる」と言うのは一過性のことなのでもしその時に情報が欲しっかったら教われば良い、または調べれは良い。
勿論、教師だけでない今はネットもあります。検索も出来ますね。
しかし、「学ぶ」ということは一生を通じて行われる行為です。
この姿勢を普通部時代に、この「大切な宝」を皆に手に入れてもらいたいと懇願しているのです。
これが将来にわたってより良い社会人になってもらう、あるいは学者、芸術家、運動家などあらゆる分野で。
これが普通部のスタンスなのです。このためと申しましょうか。
普通部はある意味で「やぼい学校」ですかね。
色々なことがございますよね、
最近はIT革命、先端技術など色々世間では言われます。
しかし、普通部はあくまでもゆっくりと遅く歩む学校です。
しかし、遅いと言うことは一見すると楽そうに見えます。
それでは進歩しないのでは。世の中そんなのではついていけないぞと思われる方がいらしゃるかもしれませんが、実は遅いと言うことはものすごくエネルギーを使うことなんです。
つまり変化に対して頑なに真実を守るということは。
ま、身近な例で言いますと週休二日制、あれも普通部はやってませんね。
ゆとりの時間、これにも全然組していません。
こういう世間の流れ、流行りに戦くと言っては大袈裟ですがこれが世の中のグローバルスタンダードだよということに対して熟考して真の正しさを貫くことは、今の世の中、物凄くエネルギーがいるのです。
でも何とか普通部はやっております。
そこで皆さんが気になりますことは例えば何でパソコンをガンガン導入しないのかなとか、逆に今あるのを何故、積極的に使わせないのか、何故インターネットに繋げないのだとか色々な不思議がでてくるかもしれませんが、我々も十分それも承知していながら世の中の流れに遅い、遅くしています。
その中の一番のポイントは先ほどから言っていますように何かを教わることは簡単、情報を取ってくればいいのですから。
でも自分から学ぶと言うことは、それ以上に難しいけれど、将来に渡って役に立つことだと、どうしてもそちらに主眼を置きたい学校なのですね。
だから外から見ると野暮い。
インターネットもあまりやらせない。
実際は慎重にやらせていますけどね。
過度にはやらせない。
携帯電話も持たせない。
そんなことなのですね。
52−3へ 続く
※ この話はあくまでも水先案内が普通部部長時代に語った話 です
現在の慶應義塾普通部とは何ら一切の関係はありません