学校生活45        卒業式 本物に出会う 

式辞、慶應義塾普通部長

 今、正に卒業した諸君、おめでとう御座います。その諸君が今、手にしている卒業証書のこの一番上に金色に輝いているているペンマーク。

 

これの重みを心にしっかりと刻み込んで下さい。

 

普通部のこの細いペンマークを。

 

保護者の皆様、本日はおめでとう御座います。

 

ご子息がここまで来るには本当に大変な道のりであったと思います。

 

今、彼らは無事に卒業証書を手にすることが出来ました。

 

本当に心からお祝い申し上げます。

 

さて諸君、今回諸君の同胞、234名が卒業することができました。

 

内訳は219名が慶應義塾高等学校、6名が慶應義塾志木高等学校、9名が慶應義塾湘南藤沢高等部にそれぞれ進学することが出来ました。

 

大変慶びに満ちた瞬間です。

 

普通部卒業生となって旅立つ諸君はこの普通部で何を掴みそして高校に行ってそれをどう花咲かせるか、本当に楽しみです。

 

この学年はわたくしが一年生の時に担任をした学年です。

 

それも影響してか非常に今日は胸に粛々と思いがこみ上げられます。

 

先程、諸君に卒業証書を手渡しした際、最後の○○君で終った時に保護者席の方から掛け声の言葉がありまいしたね。

 

本当に嬉しいばかりです。

 

今、諸君の姿を拝見していると本当に端正という言葉が相応しい。

 

端正な普通部生を久しぶりに拝見します。

 

この端正さを持続しつつ是非、高校に進学しても普通部生活3年間のこの経験を大切にして下さい。

 

卒業にあたってわたくしの方から諸君にお話ししたいことがあります。

 

それは常に本物に出会う機会を多くしなさいということ。

 

この言葉を諸君に送りたい。

 

本物、どんな側面でもいいから本物本物に常に出会っていれば、逆に偽物は寄せ付けない。

 

スポーツでも知識や経験でも芸術でもどんな場面でもいいから常に本物に出会うことを心がけて下さい。そうすると偽物に会った時には違和感を覚えます。

 

本物に出会って下さい。これがわたくしからのお願いです。

 

普通部生諸君は保護者の方の不断の努力の賜物で実は、本物に出会えるチャンスに大変多く恵まれています。

 

また多くの友人を持っている。慶應義塾という社中。

 

これは諸君が持っている大きな宝です、財産です。

 

青春の間はいろんな知識や経験をまだだまだ沢山吸収しなくてはなりません。

 

その中には今は無駄と思はれる物も多くあるかもしれません。

 

恐らく高校に進学しても、まだまだ多くの知識を詰め込めなくてはならない部分もあるでしょう。

 

この先やっと大学を卒業して、徐々に人は逆に不要な知識を精査していく。

 

蓄えた知識の中で自分がこれだと認めた道筋が見えた時に、最後に何かにたどり着く。

 

これが人生なのではないかと今のわたくしは思っております。

 

まだまだそういう意味で諸君は大忙しです。

 

それが少しずつ道が開けた時、諸君自身が正に「本物」になっていく。

 

これがわたくしの言葉です。


 卒業おめでとう。

 

※ この話はあくまでも水先案内が普通部部長時代に語った話   です

 現在の慶應義塾普通部とは何ら一切の関係はありません