こころのとまり木 2     広瀬珈琲店 

 

 

京都嵯峨野、渡月橋から歩いて10分。

 

広瀬珈琲店がある。

 

25年前に偶然見つけた店。

 

家内がここの厚切りバター・トーストにえらく感激。

 

それから彼女は厚切りトースト・フリークになった。

 

今では厚切りバター・トーストなしには生きられない。

 

店にあったパン屋さんの箱からトーストのパンがどこからやってくるのかわかった。

 

山科にあるベーカリー。

 

それか25年。

 

この店を訪れた。

 

マスターは80を完全に超えているに違いない。

 

モーニングを注文。

 

感激の厚切りトーストは健在。

 

サイフォンのコーヒーも変わらない。

 

でも、何故が厚切りのトーストの真ん中がへこんでいた。

 

バターを塗るのに力が入るのかな。

 

健康のために「足を組むな」とマスターの言葉がカウンターに書いてある。

 

いつも笑顔とも。

 

老女が一人カウンターの一番奥に座った。

 

水とおしぼりが彼女の前に置かれた。

 

彼女は何も注文していない。

 

彼女は仕切りに紙に何か書いている。

 

腕には数多の腕輪、手にも足にも真っ赤なマニュキア。

 

お顔はしわくちゃ。

 

常連と思しき年配の客がモーニングを注文。

 

彼女と挨拶を交わした。

 

また常連らしき年配の男性が来た。

 

コーヒーを注文。

 

カウンターにある老眼鏡を手に新聞を見ている。

 

ここは私設老人デイサービスか?

 

また初老のご婦人が現れた。

 

マスターは常連と気ままな会話。

 

こんな空間で老後のデイサービスを受けたい、今日この頃。

 

広瀬珈琲店。

 

不思議な空間。

 

久しぶりの渡月橋。

 

帰りに名物の中村屋という肉屋さんのコロッケとローストビーフを買った。

 

何故、観光地のこの肉屋にローストビーフ?

 

家内の言ではこのあたりは高級住宅街、染色家の「志村ふくみさん」も住んでいたらしい。

 

だからローストビーフか。

 

関東の鎌倉山のローストビーフと重なるな。