釣書

主人の実家の

火災保険が切れた

と

お義父さんは 

もうええかな
と

でもまた

加入することになり
作ってもらった

見積りを持って
週末に行った

地震保険に

土地建物の権利書の写しが

必要というので

捜索

ついでに

出てきた書類

不要な物を捨てよう
と

その中に 

30年も前の
「釣書」があった

父の筆跡の
身上書と家族書

もらって帰って来た

小学校では
新学期に 

教科書などに
父が記名してくれた

裁縫箱の中で

箱に入ったままだった
「くけ台」と「かけはり」の箱

書いてくれた

父の文字と
別れがたく

それだけは

裁縫箱に
残している

30年以上も経って
手もとに帰ってきた
「釣書」

丁寧に書いてくれた

父の文字も
御守りか

穏やかな

結婚生活

デス