おはようございます。

100年企業を作りたい組織開発コンサルタントの小川です。


日曜日、『半沢直樹』が最終回を迎えました。

最終話の視聴率は32.7%だそうです。
前作の42.2%(平成のドラマ最高視聴率)には及ばなかったものの、
すでに令和の最高視聴率ではないかという声も。

 

 


7年前のシーズン1は、
半沢直樹の「やられたらやり返す、倍返しだ!」
というセリフと土下座に注目が集まりましたが、
今回の半沢直樹2には、
7年前とは趣の異なったいろいろな楽しむポイントがありました。



ポイント① 原作には登場しない大和田常務
シーズン2の原作は『ロスジェネの逆襲』と『銀翼のイカロス』の2冊。
シーズン1で半沢直樹の魅力に取りつかれた私は、
2冊とも読みましたがここに大和田は登場しません。
「続編には登場しないんだ・・・」と少しセンチメンタルな気持ちになったのですが、
そこは脚本を書き換えてねじ込んできましたね。そして、あの存在感。
シーズン1では半沢の完全な適役でしたが、
ちょいちょい共闘シーンを入れることで
原作にはない面白さを醸し出しています。


ポイント② 「倍返し」に変わる流行語大賞候補の挿入
シーズン2は流行語大賞を大和田に託しているのだろうか。
「施されたら施し返す、恩返しです!」(第1話)
 「お・し・ま・い・DEATH!」(第2話)
「死んでもイヤだねー!!!」(第4話) 
「銀行沈没!頭取もチンヴォツ!!」(第6話)
「債権放棄は絶対だ! 絶対に・・・ 絶対です! です、です、DEATH!」(第7話)
と彼の口から多くのインパクトフレーズが登場しています。
シーズン2から登場した伊佐山の「詫びろ」の8連発も印象的。
白井大臣の「い・ま・じゃ・な・い」も笑わせてもらいました。
肝心の半沢は、大和田に共闘を持ちかけられたシーンでみせた
「おーねーがーいーしーまーす!!」くらいでしょうか。
「大事なのは感謝と恩返し」など、仕事に対する名言はたくさん登場していますが。


ポイント③ エスカレートする歌舞伎役者陣の演技
シーズン2では、前作から出演の香川照之さん、片岡愛之助さんに、
伊佐山役の市川猿之助さん、瀬名社長役の尾上松也さんが加わりました。
『顔芸』という言葉を生み出した香川照之さんのDNAは、
パワーアップして実の従兄弟である市川猿之助さんに受け継がれていました。
尾上松也さんが剣道場から出るシーンで奇声を発したのも、
先輩方に負けじと見せ場を作りたかったからだとテレビで発言していました。


ポイント④ シーズン1の適役との共闘
原作に登場しない大和田を登場させたことで、
シーズン2では半沢と大和田が共闘するシーンが生まれました。
また、終盤で黒崎が半沢に有力な情報を与えたり、手助けしたりと
前作では完全な適役だった相手と協力するシーンが

多いのもシーズン2の特徴になっています。
もともと、ノーサイドの精神が好きな日本人には
昨日の敵は今日の友を感じられる場面は合っているのだと思います。


ポイント⑤ 昭和な女性の描かれ方
これについては不愉快に感じている方もいるかもしれませんが、
おもな女性キャラクターの描かれ方が、前時代的といいますか、
お世辞にも未来的ではありません。
結婚記念のディナーをすっぽかされても、夫を責めることなく、

仕事に精を出す夫を見守る妻、
どこか陰のある気立てのいい女将、

党の集票アイコンとして大臣に担ぎ出された元アナウンサーなど。
男が男の都合で牛耳ってきた政治や銀行が舞台のドラマですから、
こういう描かれ方になりやすいのかも知れません。
そういう意味では開発投資銀行の帝国航空担当を演じた西田尚美さんは、
その役の位置づけも趣が異なり、債権放棄を拒絶した時の小さなガッツポーズが
多くの共感を集めたのも頷けます。


ポイント⑥ マニアにはたまらない小さな仕込み
池井戸ドラマでは定番となった伏線。シーズン2では初回から全開でした。
東京セントラル証券の株価ボードには、

陸王でお馴染みのダイワ食品、アトランティスの名前が。
シーズン1で登場した伊勢志摩ホテルの社長からメールを受信するシーンもありました。
帝国航空の社員の受入れ候補企業として、リストにあがったのは

ノーサイドゲームに登場したトキワ自動車やカザマ商事。
半沢が使用したICレコーダーは、

19年2月公開の映画『七つの会議』に登場する企業「ゼノックス」の製品。
この7年の間に池井戸作品にハマったファンには気づけたら嬉しい仕込みが盛りだくさんなんです。


ポイント⑦ 原作にないエンディングストーリー
第9話の頭取、大和田、美濃部幹事長の会食、半沢直樹の辞表提出、
会見での白井大臣の逆襲など、これらは原作にはありません。
ラストを原作と変えるという手法は、
1~3月期の『テセウスの船』でも使われました。
テセウスでは見事に最終回の視聴率を上げるのに奏功しましたが、
ストーリーとしての疑問符はつきました。
『半沢直樹』は、原作を超える“スカッと感”があったと
個人的には思います。



シーズン3はいつになるのでしょうか?
原作になるであろう『アルルカンの道化師』は
シーズン1の時代より更に前です。
もしかすると、役者は一新されてしまうのかもしれません。


最後に・・・
このお化けドラマのシーズン2を期待に違わぬ仕上がりにしてくれた
TBSのドラマ担当の方には心より御礼を言いたいと思います。